新卒採用の早期化に対する疑問と企業が取るべき施策とは
キャリタス就活が「7月1日時点の就職活動調査」の速報値を発表。25卒の採用選考は6月1日が解禁となりますが、7月1日時点で内定率は「89.7%」という結果となりました。
https://www.career-tasu.co.jp/wp/wp-content/uploads/2024/07/202407_gakuseichosa_sokuho.pdf
１．現在の就職活動の状況
以下、この記事の要点です。
・内定率は89.7％（前年同期比3.7ポイント上）
・就職活動終了者は全体の79.7％。継続者は「内定あり」「内定なし」を合わせて20.3％
・就活を継続する学生の方針として「新たな企業を探しながら、幅広く企業を広げる」という項目は、6月調査より増加（23.6％→28.5％）
・売り手市場だと感じる学生は55.0％（コロナ禍前と同水準）
下記の通り、23卒・24卒・25卒の＜内定率の推移＞をご確認いただくと、新卒採用の早期化が鮮明に表れています。
25卒は昨年を上回るペースでしたが、特に2-4月あたりは驚異的です。
２．キャリア形成と就活は別物
今後、益々採用の早期化が予想されていますが、インターンシップも含めて、キャリア形成と就活が、若干曖昧になっているように思います。
本来、学生の就活というのは、2段階に分けられると考えています。
①キャリア形成活動
社会的・職業的自立に向け必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す（キャリア教育の定義より）※本来、インターンシップはこちらに含まれる
②就職活動
企業の採用試験を受け、内定を得て、就職先を決める。
↓
そして、入社し、企業で活躍する
キャリア形成支援活動は早期に始めるべきであり、就職活動はしっかりとした土台の上で始める必要があると考えています。
例えば、現在インターンシップに関しても採用直結型に移行しているのですが、本来のインターンシップの定義は「職業体験」です。
つまり、インターンシップに関してもキャリア形成活動として、就職活動の前にしっかり取り組んでおくべきものであり、学生は、学業や実践的な学びも含めて、キャリア観やスキルを身に付ける期間を経た上で、就職活動に臨むのが理想です。
そのため、採用直結目的のインターンシップは違うのではないかと考えています。
３．新卒採用の早期化の問題点
しかしながら、現在はインターンシップも採用直結型への方針に向かっているだけでなく、現在の採用活動において企業も「採用」を前面に出しているのですが、これにより、学生も企業も互いに構えてしまっている状況も起こっています。
勿論、人口減少に伴い、新卒の母数は減少するため、企業が採用に急ぐのも無理はありませんが、そうなると新卒のスキル問題が出てくると考えています。
現在、早く戦力化できるように、中途だけでなく新卒も「専門能力や技術を持つ人材の獲得」を理由に、採用活動を実施する企業は増えてきています。
そうなれば、学生時代にしっかりとしたスキルを身に付ける環境を作るべきではあるのですが、採用の早期化が進めば進むほど、学生の育成環境が整えることができないのではないかと思っています。
４．まとめ
採用難の時代となり、企業が早い段階で動く気持ちは人事部に所属していた分、痛いほど分かります。
ただ、学生がキャリア形成活動や学業を通じて、企業が本来必要とするスキルを身に付けるためにも、そうした環境を支援することは必須ではないかと思います。
勿論、それなりの労力はかかるのも事実ですが、そうした投資というのに、学生は恩義を感じ、ご縁が続いていくという事例は何度も見てきましたし、私自身もそのような環境を企業に与えていただき、内定をもらい、育ってきました。
新卒採用は投資の側面が強いですが、「採用」を前面に出し過ぎず、社会貢献・人材育成という面も含めて変わっていければと思いますし、私はその変える一人になるつもりです。
５．お問合せ先
私は現在、株式会社AaaSとして、新卒採用支援事業を展開しております。
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