幸野清太郎

40代で「中年の危機」に直面し、自己否定の沼に沈むも、およそ100日で回復。「どうやっ…

幸野清太郎

40代で「中年の危機」に直面し、自己否定の沼に沈むも、およそ100日で回復。「どうやって克服したんですか?」と聞かれることが多くなり、そのプロセスを書き残しておきたいと思うようになりました。願わくば、同じ苦しみを抱える人のお役に立ちますように。校正やってます。

最近の記事

信頼できる心療内科に行く【「中年の危機」を生き延びる(17)】

「できれば行きたくないなあ……」 これが、精神科や心療内科に対する私の率直な気持ちでした。 けれども追い詰められて行ってみれば、それは溺れている人に投げられた救命浮輪のように、私を危機から救ってくれたのでした。 今回のうつ症状の原因のひとつは離婚でしたが、実は結婚した直後にも、同じ心療内科に通っていたのです。 結婚してはうつになり、離婚してもうつになる……。 「何がしたいねん」と自分でもあきれてしまいますが、その経緯を書くと話がややこしくなるので、ひとまず今

    • 不眠のメカニズムとその対処法【「中年の危機」を生き延びる(16)】

      うつ状態のときに一番しんどかったのは、なんといっても「眠れないこと」でした。 一時は心療内科で処方された睡眠薬を使ったりもしましたが、結局すぐ目が覚めてしまい、そこから朝まで覚醒状態が続きます。目が覚めたまま起床時間のアラームを聞くのは、本当に辛いものです。 ちょうどその頃、派遣で校正の仕事が始まり、一睡もできないまま職場へ向かうこともありました。「これは居眠り確定やな……」という心配をよそに、なんと全く眠くなりません。あくびひとつ出ないのです。これには恐怖を感じまし

      • 自分と他人を比較しない【「中年の危機」を生き延びる(15)】

        他人との比較。人間の苦しみの多くは、ここから生まれている気がします。 「自分は自分。他人と比較するのをやめよう」 口で言うのは簡単ですが、それができれば苦労はありません。「比較しちゃダメだと思ってるのに、どうしても比較してしまう」。そこに、社会的動物としての人間の悲しさがあるのかもしれません。 「今日は子どもと一緒に公園へピクニックに行ってきました!」 知り合いがSNSにアップする幸せそうな画像。それを見た自分の心に、暗い影が落ちる。素直に祝福したいのに、それ

        • 「とげぬき地蔵」に参拝する【「中年の危機」を生き延びる(14)】

          自分の人生に絶望したとしても、絶望しているのはあくまで自分自身。 だとすれば、「自分に自信がない」とか「自分はいつも間違ってしまう」と言っている人ほど、「自分の絶望なんかアテにならん」と思わなければ筋が通りません。 自分では「絶望」と思っている状況も、神とか仏から見れば「よしよし、このフリがないと人生盛り上がらんのよ。こっからおもろなるでぇ〜!」という感じかもしれません。そこでうっかり物語を終わらせてしまったら、「何やっとんねん!」とあの世で説教間違いなしです。

        信頼できる心療内科に行く【「中年の危機」を生き延びる(17)】

          メンタル系YouTubeを見過ぎない【「中年の危機」を生き延びる(13)】

          「中年の危機」に陥ってから、メンタル系YouTubeにはずいぶん救われました。けれどもその一方で、「うつになった原因のひとつに、メンタル系YouTubeの影響があったのではないか」という気もしています。 矛盾するようですが、今回はそのことについて書いてみたいと思います。 私は「中年の危機」に陥る前から、メンタル系YouTubeをよく視聴していました。その理由としては、「自分が過去にうつを経験していた」ということもありますし、単純に「人間の心理に興味がある」ということもあり

          メンタル系YouTubeを見過ぎない【「中年の危機」を生き延びる(13)】

          太陽の光を浴びる【「中年の危機」を生き延びる(12)】

          生き延びるための超絶鉄板スキル、それが「太陽の光を浴びる」です。 ご存知のように、日光浴の効果は数え上げればきりがありません。 体内時計がリセットされることで睡眠の質が向上する、ビタミンDが生成されることによって骨が丈夫になる、免疫機能が高まる、さらには認知症の予防にもなるそうです。また、セロトニンが分泌されることで精神が安定し、うつ病の改善にも効果があると言われています。 と、わざわざそんな科学的っぽいことを言わなくても、太陽の光を浴びると単純に「気持ちいいな〜

          太陽の光を浴びる【「中年の危機」を生き延びる(12)】

          サナギからチョウになるイメージを持つ(「完全変態」のすすめ)【「中年の危機」を生き延びる(11)】

          うつ症状がひどい時は、体が鉛のように重く感じられ、横たえた体がベッドにどんどん沈み込んでいく感覚がありました。 「このままだと、本当に動けなくなってしまうかもしれない……」 そんな苦しさの中、私の心を救ってくれたもののひとつに、「サナギからチョウになるイメージ」がありました。 ご存知のように、チョウは最初からあの姿ではなく、最初は似ても似つかぬイモムシの姿。そこからサナギを経て、生まれ変わったかのように華麗な大変身を遂げます。 このように、幼虫からサナギを経て

          サナギからチョウになるイメージを持つ(「完全変態」のすすめ)【「中年の危機」を生き延びる(11)】

          現状を「ゲームのスタート地点」だと思い込む【「中年の危機」を生き延びる(10)】

          みなさん、ゲームは好きですか?私は大好きです。 「人生をゲームだと思って楽しめ」という言葉を聞いたことがありますが、確かに人生におけるさまざまな困難を、ゲーム感覚で楽しむことができれば最高です。 人生をゲーム化するために必要なのは、まず「目的」を設定することでしょう。RPG(ロールプレイングゲーム)でいう「大魔王を倒して世界に平和を取り戻す」みたいなやつです。それを自分の人生の目的に置き換えて、実現するプロセスを楽しむ、みたいな感じでしょうか。 この「目的の設定」に

          現状を「ゲームのスタート地点」だと思い込む【「中年の危機」を生き延びる(10)】

          YouTubeでお金の勉強をする【「中年の危機」を生き延びる(9)】

          お金を貯めていくにあたり、YouTubeがとても役立ちました。なんといっても無料というのがありがたいです。 「節約術」みたいなベタな内容のものから、お金の知識を総合的に学べるチャンネルまで、とにかく役立ちそうな番組は片っ端から見まくり、できることから実践しました。 そんな中でも、「お金について学ぼうとする人に、ひとつだけおすすめするとすれば?」と聞かれれば、「両学長 リベラルアーツ大学」(以下、「リベ大」)でしょうか。アイコンは若干怪しい雰囲気ですが、だぶん大丈夫です

          YouTubeでお金の勉強をする【「中年の危機」を生き延びる(9)】

          人の縁から仕事をもらう【「中年の危機」を生き延びる(8)】

          短期派遣(校正)の仕事を再開した私でしたが、それだけでは心もとないところがありました。 フルタイムといっても派遣ですので、ボーナスはありませんし、なんといっても借金総額は約830万円……。正社員でそれなりに稼いでいたとしても「うへぇ」となる額ではないでしょうか。ひとまずの目標は約340万円(奨学金の利子あり分)でしたが、それだけでもなかなか険しい道のりです。 「他にも稼ぎが欲しいけど、週末アルバイトとかはキツいしなあ……」 そんな状況を救ってくれたのは、やはり人のご縁で

          人の縁から仕事をもらう【「中年の危機」を生き延びる(8)】

          失業給付期間を捨てて仕事をする【「中年の危機」を生き延びる(7)】

          借金返済に専念することを決めた私ですが、では具体的には何をしたのか。その内容について、ここから何回かに分けて書いていこうと思います。 ちなみに、これはあくまで「私の場合、こうしました」という話で、多くの人にとっての最適解、というわけではありません。それぞれの人ごとに、それぞれの異なる状況があって、それをふまえた上で「どうするか」ということが大事です。「そこは一緒やな」というところがもしあれば、参考にしていただければと思います。 まず最初は、「失業給付期間を捨てて短期派遣

          失業給付期間を捨てて仕事をする【「中年の危機」を生き延びる(7)】

          コントロールできることだけにフォーカスする【「中年の危機」を生き延びる(6)】

          借金問題の解決に「ウルトラC」がないことはわかりました。となれば、まずは足元を固めて、地道に返済していくしかありません。これまでの私に一番足りなかった考え方、と言ってよいでしょう(笑)。 さしあたっての目標は、「奨学金第二種の340万円を貯めること!」 このようにして、ひとまず「お金の問題だけに集中する」ことには、次のような効用がありました。 それは、「無力感の緩和」です。 私はお金の問題のほかに、離婚の問題(ここには「元妻に申し訳ないことをしてしまった」という罪悪感

          コントロールできることだけにフォーカスする【「中年の危機」を生き延びる(6)】

          「ウルトラCはない」と知る【「中年の危機」を生き延びる(5)】

          さて今回は、借金問題の解決までのプロセスです。 まずは当時の状況を整理しておきましょう。 ちなみに利子付きの借金は、奨学金第二種の約340万円(固定金利1.4%)だけで、あとは無利子。なので優先順位としては、まずはこの340万円をやっつけなければなりません。こいつさえ先にやっつければ、余計な利子を払わずに、あとは時間をかけてゆっくり返していけます。 「さて、どうしたもんか……」と、たまたま郵便ポストに入っていた区の広報誌を眺めていると、「多重債務110番」という見出しが

          「ウルトラCはない」と知る【「中年の危機」を生き延びる(5)】

          大富豪アニキの言葉を思い出す【「中年の危機」を生き延びる(4)】

          当時の私の借金総額、およそ830万円。 内訳はざっくりこんな感じです。 友人に軽く話したらドン引きされました(笑)。 中でもヤバいのは奨学金の額。約640万円。 「ま、いつか徳政令が出るやろ」と思いながら延納手続きを繰り返していたのですが、なかなか出そうな気配がありません。「おかしいなあ……」と思っているうちに、延納期限の10年が迫ってきてしまいました。典型的な破滅型の発想です(笑)。 自分ひとりで破滅するぶんにはいいのですが、あいにく両親が連帯保証人になっています

          大富豪アニキの言葉を思い出す【「中年の危機」を生き延びる(4)】

          「この苦しみが6年は続く」と思う【「中年の危機」を生き延びる(3)】

          私が体験した苦しさのひとつに、「終わりが見えない」ということがありました。 「いつかは克服できるはず」と思っていても、それがいつになるのか全くわかりません。 「もしかすると永久に克服できないのではないか」 「この苦しみが死ぬまで続くのではないか」 そんな恐怖に襲われることもありました。 原因が明確で、その原因を取り除く目処が立つのであれば、そこを目安に生き延びることができそうです。でも、その原因を取り除くことが不可能であるようなときは、どうすればいいのでしょう

          「この苦しみが6年は続く」と思う【「中年の危機」を生き延びる(3)】

          「そうだ 肉、食おう。」【「中年の危機」を生き延びる(2)】

          「中年の危機」に陥り、絶望的な気分で日々を過ごしていると、しみじみ自分のことが嫌になってきます。 ネガティブなことばかり考えてしまう自分。 暗い顔をしながらクヨクヨしてしまう自分。 過去を後悔し、未来に絶望してしまう自分。 「嘘でもいいから、明るく楽しく、日々を過ごしたい……」 そんな私の脳裏に浮かんできたのは、なぜか「陽気な欧米人たち」のイメージでした。ビール片手に「イェーイ!」「フォー!」などと叫びながら、誰彼ともなくハイタッチ……。どうやら私の中に「欧米人≒

          「そうだ 肉、食おう。」【「中年の危機」を生き延びる(2)】