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【中年の危機を生き延びる】(5)「ウルトラCはない」と知る

さて今回は、借金問題の解決までのプロセスです。

まずは当時の状況を整理しておきましょう。

・奨学金:約640万円(第一種:約300万円、第二種:約340万円)
・コロナ生活福祉資金特例貸付:約155万円
・生活福祉資金貸付:約35万円
【合計】約830万円

ちなみに利子付きの借金は、奨学金第二種の約340万円(固定金利1.4%)だけで、あとは無利子。なので優先順位としては、まずはこの340万円をやっつけなければなりません。こいつさえ先にやっつければ、余計な利子を払わずに、あとは時間をかけてゆっくり返していけます。

「さて、どうしたもんか……」と、たまたま郵便ポストに入っていた区の広報誌を眺めていると、「多重債務110番」という見出しが目に飛び込んできました。こういうのを半自動的に発見してくる脳のメカニズムは、本当にすごいなと思います。

さて、この「多重債務110番」は、弁護士に無料で債務相談ができるサービスらしく、区が主催する期間限定イベントだそうです。よく考えてみると私の借金も、複数の借入先がある「多重債務」には違いありません。

「これは使えるかも……」

ただ私の場合、高金利な消費者金融を利用しているわけではありません。「そういう方は対象外なので」と門前払いされるかもしれませんが、ここはそんなこと言ってる場合じゃありません。ともすれば、「そんな裏技があったのか!」という、ウルトラCが見つかるかもしれないのです……!藁にもすがる思いで電話してみました。

行政の担当者は私の説明を聞くと、「それでは、連絡先をご案内します」と、相談窓口への電話番号をすんなり教えてくれました。どうやらがっつり「対象者」として扱われたようです。門前払いの心配が杞憂に終わり、なんだか複雑な気持ちになりました。

さっそく電話してみると、担当の弁護士さんが相談に乗ってくれました。まず選択肢として提示されたのが、かの有名な「自己破産」。その存在はかねがね伺っておりましたが、まさか実際にお会いできる日が来るとは……。もちろん全然うれしくありません。

ちなみに、それなりの収入があると自己破産はできないらしいのですが、幸か不幸か当時は無職。これができれば借金は全てチャラになります。

「830万円の借金が、全てチャラ……」

最初はうれしくなかった「自己破産」ですが、急に輝いて見えてきました。あまりに魅惑的な提案。いや、これぞウルトラC。

「じゃあ、それで」と言いたいところでしたが、そううまくいかないのが世の常です。弁護士さんの説明を聞いて、私はその案をあきらめました。

というのも、自己破産して私の借金がゼロになったとしても、連帯保証人は返済義務を負います。要するに奨学金については、借金が両親のところに移るだけなのです。これでは何の意味もありません。

「うーん、それはちょっとできないですね……」

「でしたら、奨学金に関してはご自身で返済していくしかありませんね」

弁護士さんの言葉に落胆しつつも、そうとわかれば開き直るしかありません。残念ながら「ウルトラC」は見つかりませんでしたが、方向性は明確になりました。これはこれで、大事なことだったと思います。

心のどこかで「いや、もっといい方法があるんじゃないか……」と思っていると、推進力が損なわれてしまう気がします。私のように、お金や法律について無知な自覚のある方なら、専門家の知見を借りて、余計な選択肢を潰していき、方向性を固めるのもひとつの手だと思います。

本来ならお金がかかる相談も、役所の職員さんに聞いてみたり、公共施設のチラシを手にとってみたりすると、案外、無料で利用できるサービスが見つかったりするものです。インターネットを最大限に利用するのは大前提として、こうした身近なアナログ情報にこそ、本当に使えるものがあったりします。

なにはともあれ、「ウルトラCはないらしい」。これを知ることが、借金問題解決のための、一丁目一番地となりました。

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