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北京大学修士課程卒業後の人生に関して考えてみる~下り坂を下る高齢者の国と勢いに乗る独裁者の国の狭間で生きる

どうも!
セイタです!!
北京大学の修士課程で社会学を学んでいます。

この記事では、北京大学を卒業した後どうしていきたいかについて書いていこうと思います。


下記記事では、なぜ自分が社会人を辞めて大学院に入学したかについて書いています。



人生設計に関しての考え方変遷

自分はそもそも綿密な人生プランを立てて、プラン通りに生きていくというタイプではありません。なので、「総理大臣になるためにまずは〇〇市の議員になる」と言って有言実行している先輩や「〇〇で働きたいから◇◇に入って経験を積む」といったキャリアプランを持った同期、「ここに家を買って、○人子供を作って、老後はこうしていきたい」と言っている地元の知り合いを見ると、よくそんな先の未来の計画を建てれるなと思います。

対照的に、自分はライフプランがコロコロ変わります。悪く言えば「流れに身を任せる」、よく言えば「時宜に合わせた判断を下す」といえます。なので、自分の今の考えも将来的には変わるかもしれません笑 というかこの半年ですでに変わっています。

具体的には以下のように考え方が少しずつ変わっていってます。


北京大学受験時点

自分が北京大学を受験した時には、北京大学修士課程という学位、定量分析のスキル、仮説構築と検証の考え方、中国での経験を活かして、日中問わず活躍できるデータサイエンティストのようなキャリアを想定していました。

前提として、自分は意思決定におけるエビデンスを非常に重要視するタイプです。そのエビデンスが数字をもって語られる方が、より説得力が増すと4年半の社会人経験を経て感じたことがそのようなキャリアを志すようになった要因です。


北京大学入学時点

入学するときには考えがすでに変わってました笑
「類は友を呼ぶ」ではありませんが、もともと学部生だった時や社会人をしていたころから、自分の周囲には修士課程や博士課程の取得者在籍者が多数います。自分が北京大学に行くと決めた後は、彼らとアカデミアのキャリアについて話すことが多くなりました。その結果、考え方が変わりました。

自分が「博士課程に進学してアカデミアとして働いていく」ことを考えるようになった理由としては、主に2点あります。


1点目が、博士号取得のコストが思ったよりも安く済みそうだということに気づいたからです。サークルの同期がデンマークで博士号を取得しているのですが、税金の高い北欧で手取りが25万円といっていました。また、noteの記事をいろいろ見ていても、「フィンランドならば35万円もらえるよ」などの記事もありました。この話をアメリカのトップスクールで修士課程を取得した友人に話すと「アメリカのアイビーリーグクラスならば博士課程で授業料を払う学生は存在しない。あと年収で5~600万円は支給される」と言い、北欧の基準が決して高くないということを強調していました。ちなみに、中国政府奨学金の場合は「学費免除、寮費無料、月額3,500元(約70,000円)」となります。北欧や欧米と比べると見劣りしますが、物価がそこまで高くはないので、生きていくだけならば余裕です。しかも非常に受かりやすいです。

2点目が、どんなに狭い分野でも自分が学んだ証をこの世に残していきたいと思ったからです。博士号を取得することの意味とは、人類の叡智をほんの少しだけ拡大させるということなのです。人類の未知の部分にほんの少しだけ光を当てることなのです。そのような知的作業に取り組みたいと思ったきっかけは、筑波大学の教員である落合陽一氏の本を2冊ほど読んだことにあります。落合氏の書籍の中で書かれていて印象深かったのが「欧州はアーティストと博士を大事にする」といった言葉でした。つまり、何か物を実際に作る人というのは尊いという価値観があるのです。対照的に、落合氏は現代社会で金融業界が暴利をむさぼっていることには否定的です。

以上より、コストの安さと博士課程を取ることの意味に気づけたことにより、自分は博士課程に進学したいと思うようになりました。どこの国で取得するかということに関しては引き続き中国で取得するか、日本で取得するということを考えていました。理由としては、それ以外の国でとるとなると、英語の学習が必須となり、学習コストが高くなってしまうからです。また、自分は中国の研究がしたいので、他の国に行く必要性を感じませんでした。


第一セメスター終了時点

2022年9月に北京大学に入学し、4か月の月日が流れ、第一セメスターももうすぐ終わりかけとなっています。とはいっても9月と10月は日本でオンラインにて受講しており、中国入国後も1か月近く隔離されていたので、校舎内に足を踏み入れられたのは12月に入ってからです。

この時点でまた考え方が変わってしまいました笑
現在は




日本でも中国でもない新たな場所を探したい
と考えています。

つまり、
短期的には博士課程を上記2か国以外で取得したい
長期的には世界中を視野に入れてノマドのように生きていきたい
と考えています。



今後の人生設計に関して

冒頭でもライフプランが二転三転すると述べていましたが、ここまで記事を読んでいただけると理解していただけたかと思います笑
自分が生まれ育った国日本でもなく、かれこれ10年近くかかわってきた中国でもない国を志向するようになった理由は主に3点あります。


欧米で博士課程を取得するメリット

第一に、欧米で博士課程を取得するには上述したようにたくさんのメリットがあります。繰り返しにはなりますが、博士課程でも十分な賃金が出ること、欧州においては一定のリスペクトを得られることなどです。さらに、北京大学社会学の教授陣を見ても、若い先生はほぼ確実にアメリカの大学にて修士か博士をおさめています。つまり、アカデミアにおいての競争力を高まることできます

この理由は唯一のポジティブな要因になります。
後の二つの要因は日本と中国に対するリスクヘッジといった意味合いが強いです。



日本_下り坂を下る高齢者の国

ここでようやくタイトルの回収です。そしてそのまんまです。端的にいえば、日本は過去30年において成長しておらず、ここから先も成長しない国である可能性が高いということです

まず、過去数十年の日本を見てみましょう。見るべき数字はいろいろあるのですが、一市民にとって最も重要な賃金の推移をみていきましょう!
赤い太線に注目です!!

熊野 英生:平均賃金で見た「安い日本」

基本的にどこの国も順調に上がっている中、日本と南欧だけが横ばいです。
ちなみに南欧って財政破綻したギリシャや失業率が基本的に10%を超えているスペインも含まれます。

自分がこのような日本の停滞を肌で感じたのが、ソウルに1か月滞在した時です。食べ物も娯楽も高くて、しんどいなと思ったのが、きっかけでした。
ちなみに一人当たりGDPは韓国に抜かされる寸前とのことです。


ただ、現状が衰退しているからと言って、未来がないというわけではありません。そんな日本の未来を若者の数を人口動態上見ていくと、以下のようになります。

国立社会保障・人口問題研究所:『人口ピラミッド』

見事に若者が減っていますね笑

これから先の未来がどうなるかはわかりませんが、これまでの歴史を鑑みると、人口が如何に重要かがわかります。特に人口ボーナスと呼ばれる15歳から65歳の間の人口が多いときにその地域や国が発展してきました。その点からいえば、日本はやはり未来がない国と言えます。

ついでに言えば、このような人口動態と民主主義が組み合わさって、構造的に日本が変われなくなっています。というのも、現在の女性の人口分布を見れば、50歳以上が半分を占めるそうです。つまり、もし仮に明らかに高齢者有利な政策さえ出し続けていれば、政権を維持し続けられるという構造になってしまっています。若者の投票率の低さなどももう関係ありません。すでに構造的にオワコンなのです。

打開するには「納税していない高齢者の選挙権剥奪」などのドラスティックな改革が必要になりますが、実現不可能だと思います。そもそも民主主義の根幹にかかわる部分であり、必ず実現すべきとも言えません。ただこの構造が変わらない限り、少子化も止まらないでしょう。

そのような政府・政策が続いていく中で、日本という国は長期的には没落していくと考えています。その兆候の一つとして、学問や研究の領域でも日本の大学はここ10年くらいでTimes Higher Educationという世界大学ランキング上でどんどん順位を落としています。没落していく国の大学で学位を取得するよりも、未来のある国学位を取得した方が長期的にはコスパが良いと感じました。



中国_勢いに乗る独裁者の国

日本と対照的にこの30年間の中国の成長には目を見張るものがあります。日本が0~3%しか成長できていない中で、10%超えの成長を続けてきました。2012年に日本のGDPを追い越して以降も5%以上の成長をキープし続けています。(コロナ渦を除く)

JBIC:『経済概況』

実際に自分が2015年に北京大学に交換留学した時も中国各地を旅行したのですが、いたるところで開発が進んでおり、非常に活気があるように感じました。成長している国はやはり楽しいなとも思いました。

次に中国の未来を決める上で重要な人口動態を見ていきます。
以下2021年時点での人口ピラミッド

世界の人口ピラミッド『中華人民共和国』

現状だとそこまで高齢化しているという感じはしませんが、今の40代が高齢者の仲間入りする20年後くらいには立派な高齢化社会になりそうです。長らく続いた一人っ子政策がその現象に拍車をかけるでしょう。

ただ中国において高齢化は日本ほど大きな問題とはなりえないのではないかと思います。なぜなら、日本政府のような手厚い補助は中国には存在しないからです。早い話が、「生きたければ生きろ。自分の力でな」といったところでしょうか?

中国では伝統的に子供が年老いた両親の面倒を見るという傾向が強いです。ただ、テクノロジーや資本主義がすでにどの程度中国人の伝統的価値観を解体しているかは完全に把握することが難しく、コロナ渦での3年間という月日は中国社会の家族構造に変容をもたらすには十分だと思います。

まとめると、中国は現状上りゆく国であり、ここから先の20年くらいを中国で暮らすという選択には一定の合理性があると考えています。


ただ、経済的には非常に安定して成長しているように感じられる中国ですが、政治的な不安定さが目立ちます。その最も典型的な表れが習近平国家主席の異例の3期目です。中国共産党には主席を担当するのは2期までという不文律がありますが、それを破って、習近平政権は3期目に突入しました。

nippon.com: 3期目の習近平体制にどう向き合うか

上記画像は中国共産党の神セブンで常務委員の7名です。この7名のうちの1名を除いて、すべてが習主席の派閥であり、かなり権力が集中しているという見方が一般的です。

第20回中国共産党大会の閉幕式で、退席する胡錦濤前総書記に声をかけられる習近平総書記(右)。左は李克強首相=2022年10月22日、北京の人民大会堂(共同)

上記写真は習主席の独裁を象徴する1枚です。胡錦涛前総書記が無理やり退場させられているところです。この日以降、胡錦涛派閥は権力を失ったという話をたまに聞きます。又聞きなのですが、胡錦涛の息子がどこかの省で役職についていたのですが、この日以降HP上から名前が消えていたそうです。

このような独裁が最も顕著なのが行き過ぎたコロナ対策ではないかと思います。2020年の段階で、中国は徹底的なコロナ対策を実施しており、当時はコロナ対策がうまくいっている国の一つでした。

ただ、ほぼすべての国がアフターコロナに移行した今日においてもいまだにゼロコロナに固執しており、さらにはそんな状況に誰も何も言えない状況というのに、独裁政権のある種のリスクを感じていました。しかも、2022年12月13日時点でのコロナ対策は大幅に緩和されています。その要因として、国民の大規模なデモが挙げられます。(それだけではないとは思いますが、)
このように朝三暮四に政策がなってしまうこともある種のリスクであるように感じました。

自分は独裁政権を否定するつもりはありません。韓国やシンガポールの開発独裁などは確かに国民に豊かさをもたらしました。そして、言うに及ばず、中国の独裁は中国国民を豊かにしました。自由と民主を偏愛するのは西洋人だけで十分だと考えています。

ただ、民主主義国家に比べて、ある種のカントリーリスクが大きいような気がします。特にこの5年は権力の集中に比例して、リスクが今まで以上に高まっていくと思います。

自分に関わることでいえば、研究内容によっては当局の規制の対象になる可能性があります。また、現在実施されている非科学的なコロナ対策のような政策に翻弄されるかもしれません。また習近平政権第三期による第二十大党大会で述べられていたような台湾有事の可能性も否定はできません。そうなると、敵国として日本人への風当たりが強くなる可能性もあります。

まとめると、中国はほぼ間違いなく世界で最も権勢を誇る国に向けて邁進していくと考えていますが、その一方で中国には政治体制から生まれる一定のリスクがあるということです


まとめ

ここで、いったん総括してみます。
・日本は今後V字回復する可能性は低い。
・中国は独裁政権特有のリスクがある。

上記2点より、ある種のリスクヘッジのような意味を込めて、別の国で生きていけるような基盤を作っていきたいなと思いました。

このようなライフプランを現状立ててはいるのですが、それもすぐに変わるかもしれません。上述のようにすでに二転三転しているので笑
自分の考えが変わる要因としてありそうなのは、「思いのほか自らの研究スキルが低い」「中国という国への愛着がふつふつと湧いてきた」「アジア圏以外の国に出たところカルチャーが合わなかった」「英語ができないし、やっぱり日本語で学問をおさめたい」「中国の政治体制や環境が変わった」などです。

一度しかない人生なので、よい意味で挑戦しつつ、危なくなったらすぐに損切りするという気持ちで人生エンジョイしたいなと思います。

長い長い文章を最後まで読んでいただきありがとうございました。
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