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養生やまと歌 - 江戸の養生書を読む 03

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和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。
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2020年6月の記事一覧

むこうずね膝とももはぎ痛つつ立居ならずは金門の穴 - 養生やまと歌 030

金門は、転筋(こむらがえり)の治療穴としも知られていますので、脚がつりやすい方や、脚の疲れを取りたい場合に使ってみてもよいでしょう。立ち仕事の多い方はぜひ覚えておいてください。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!  https://twitter.com/seishindo89  https://www

薤よく水をば去りて腎を益し中温めて冷瀉治すなり - 養生やまと歌 029

ラッキョウは歌中の効能に「水を去る」とあるように、梅雨や湿気に弱い方に良さそうですね。また、お腹を下しやすい方にも向いています。 漬け物でたまに食べる程度の存在かもしれませんが、実はかなり優秀食材で、多くの効能があります。「身を軽くする」や「老いに耐える」と記載する本草書もありました※。 ラッキョウといえば漬け物ですが、本草書の中に紹介されている食べ方は、煮たり、炙ったり、お粥にしたりとさまざま。火を通したのは食べたことがないので、今度試してみたいです。 __ ※唐慎微

養生の要は骨をおるるにあり動く扇に風ぞ生する - 養生やまと歌 028

扇子はあおがなければ、風を生ずることがなく、身体は動かさなければ、気血がうまく循環しません。湿気の多いこの時期は、心身ともにだるくなり、ただでさえ血のめぐりが悪くなりやすいので、積極的に体を動かしましょう。 と、偉そうなことを書きましたが、今の僕は、まさにこんな感じです。運動して負の連鎖を早めに断ち切らねば。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twit

脾胃虚して大便難く腸も鳴身寒(みひえ)ためいき出ば商丘  - 養生やまと歌 027

商丘は胃腸と関係の深い、足の太陰脾経という経絡上にあるツボです。今回の和歌では、お腹が鳴って張る感じがあるのに、便が出づらい時によいと歌われています。脾経のツボの中でも分かりやすい場所にあるので、セルフ灸や指圧刺激をしてみましょう。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!  https://twitter.

茶こそただ少し冷えもの小便を通じて眠りさますものなり - 養生やまと歌 026

お茶には利尿作用があり、眠気覚ましによいというのは、誰もがご存じのことですね。他に「頭痛の薬」とも歌われ、昔の人がカフェインの作用を、すでに明確に知っていたことに驚かされます。 こういった古人の知恵の集積が本草学なわけで、現代人も有効に活用したいところです。古典はだいじ。 ちなみに、お茶を「頭痛の薬」とする歌は、『和歌食物本草』にあります。オマケで以下にご紹介します。 「茶こそただ 白痢(なめ)赤腹を止むるなり 頭痛の薬 熱さますもの」 ******* 養生やまと歌

朝ごとに髪を百くしけずらなば目も明らかに気血めぐらん - 養生やまと歌 025

櫛による頭皮の刺激は、さまざまな養生書に見られ、「気血の通りをよくする」「毛根を堅くする」「頭痛予防」などの効果があると考えられています※1。湿気が多く頭が重くどんよりしやすい今の季節にもよいですよ。使用する櫛(くし)のタイプや、やり方は以下の通りです。 【時間】 歌の中では朝にブラッシングするとなっていますが、あまりこだわる必要はありません。『達生録』という明代の養生書には「凡そ夜臥すとき髪を披(ひら)きて梳(くしけず)ること百通すれば、平日頭風少なし」と記載され、頭痛な

肩よりも指さき痛筋ゆるくものを持こと遂ぬは曲池 - 養生やまと歌 024

曲池は肩こり治療定番のツボで、肩から上肢にかけて広範囲でほぐしてくれます。長時間のお仕事の際、時々押すだけで疲れ方が全然違ってきます。ツボを取る時は肘を曲げますが、押すときは肘を伸ばした状態でやりましょう。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!  https://twitter.com/seishindo

そらまめは胃を快く蔵腑をも利するものとぞ心得るべき - 養生やまと歌 023

胃が重い時や、食欲が落ちた時にソラマメを食べてみてはいかがでしょうか?本草学的には、胃をスッキリする作用があると考えられています。葉酸が豊富なので妊婦さんにも人気の食材ですね。‬ ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!  https://twitter.com/seishindo89  https://ww

繰り返すしずの苧環見ても知れめぐる心に結ぼれはなし - 養生やまと歌 022

悩みごとの多くは、運や、過去・未来、他者に左右されるものです。どうにもならないから悩ましい。 でも、いつか必ずどうにかなるものです。 その間、悩みっぱなしは心身に毒。心が結ぼれてしまわないよう、会話したり、体を動かしたり、娯楽にハマったり、何でもいいので心を循環させましょう。 歌の中の「しずの苧環」とは、イラストにあるような糸を巻いたもののことです。心も気血と同じく、流れめぐらせることが大切ということですね。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物

肩せなか痛臂もあげがたく気さかのぼらば雲門の穴 - 養生やまと歌 021

背中が凝った時は、こりの強い場所の胸側を押してみましょう。うまくツボにあたると、背中にじんわりと響いて、ビックリするくらい楽になることがあります。なお、胸部のツボは強く押すとかなり痛いので、軽めの刺激にしましょう。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!  https://twitter.com/seish

豆腐こそ中をゆるくし気をまして熱を清して血をちらすなり - 養生やまと歌 020

豆腐は『本草綱目』にも「脾胃を和し、脹満を消し、大腸の濁気を下す」とあり、胃腸によいものですが、冷やす性質のものなので食べ過ぎに注意です。この冷性のせいで下痢をすることもあるからなのか、本草学的には「小毒有り」とされます。そして、ダイコンにはこれを中和させる働きがあります。 豆腐の薬味には、ダイコンだけでなく、ネギやショウガもありますが、これらも食べ合わせ的に良い意味があるのかもしれないですね。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から

若き身の丈夫だのみの不養生やがて老後の後悔となる - 養生やまと歌 019

「年老いてから養生し始めるのは、貧しくなってから貯蓄をし始めようとするようなものだ。」という、ある儒者の言葉があります。 養生貯蓄は若いうちからはじめたいですね。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!  https://twitter.com/seishindo89  https://www.insta

煩心からえずき吐き涎沫うなじ引つり頭痛強間 - 養生やまと歌 018

強間は後頚部の緊張をとりたいときに使ってみましょう。首の後ろの筋肉を上から下まで揉んでいかなくても、効率よく全体を緩ませてくれます。歌の中にある、煩心(むねいきれ)とは胸部の不快感のことになります。 このツボは押しすぎると逆に気持ち悪くなることがあるので、数秒圧迫するのを5回程度にしましょう。ほとんどの場合、ツボ押しは即効性を求めてグイグイいくと、やりすぎになります。刺激後、数十分かけてじわじわ効いてくるので、足りないと思うくらいがちょうどよいです。 ******* 養

にらはよく五蔵安んじ腰膝を常に温め気を下す也 - 養生やまと歌 017

ニラも補益食材として優秀なので、食卓のレギュラーメンバーにしてみてはいががでしょうか。江戸時代の本草書『本朝食鑑』には「野菜の中で最も人によいものである。」と記載されています。 また、同書には飲食物が嚥下できずに吐き出してしまう人の治療食として、卵白とニラの味噌じたて粥のレシピが紹介されていました。お腹がちょっと弱っている時にも良さそうですね。 参考:人見必大『本朝食鑑』巻三、菜部(国立国会図書館所蔵、意訳は筆者による) ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養