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センバツとWBCに見る「日程優位」か「チームの勢い」か。「関東対決」の準々決勝は山梨学院が春夏3度Ⅴの作新学院を下し初の4強入り

春の甲子園は4強が決まった。日本が3大会ぶりに「世界一」となったワールド・ベースボール・クラシック(WBC)と重ねて、「日程優位」か「チームの勢い」か、どちらが優位かを考えたが、「チームの勢い」に勝るものなしと思う試合があった。

29日にあった選抜高校野球の準々決勝。第1試合では「関東対決」が行われた。山梨学院が春夏3度Ⅴの作新学院(栃木)を下して、初の4強入りをつかんだゲームのことだ。

山梨学院は春6回目の出場。夏の10回出場と合わせて計16度の甲子園出場がある。しかし、これまで甲子園では「2回戦の壁」に阻まれてきた。一方の作新学院は春夏計26度の出場を誇り3度頂点に輝いている。

実績で不利な山梨学院だが、今大会では開幕戦を制して勢いに乗ると、「2回戦の壁」も突破。3回戦も制して初の8強入りを果たした。1回戦で3得点だったが、2回戦で4得点、27日の3回戦は7点と打線が上昇傾向にあった。

一方の作新学院は1回戦がなく2回戦からの登場。19日の初戦で8-6と打ち勝ち、25日の3回戦も9-8と打撃戦を制した。29日の準々決勝まで「中3日」空いたのは、「中1日」で戦う山梨学院と比べて日程的に優位だった。

今大会を「中5日」「中3日」で戦っている作新学院。投手に球数制限のルールがあることを考えると、準々決勝は作新学院が山梨学院よりも分があるように思われたのだ。

しかし、準々決勝では打線に勢いのある山梨学院が12-3で作新学院に大勝し、初の4強入りを果たしたのだ。

この試合結果に、WBC決勝を思い出した。日本が米国を3-2で下した試合だ。選手の年俸400億円の「銀河系軍団」と言われた米国。21日(日本時間22日)に行われた日本との頂上決戦では両チームに試合間隔に差があった。

19日(日本時間20日)に準決勝で圧勝した米国は「中1日」で決勝に臨んだ。一方の日本は20日(日本時間21日)からの連戦。日程では不利だった。

しかし、日本には勢いがあった。準決勝で1点を追って迎えた九回裏。先頭の大谷翔平選手が二塁打で逆転への口火を切る。チャンスを拡大した日本は、不振の村上宗隆選手が逆転サヨナラ打を放って、決勝に駒を進めた。侍ジャパンはこれで勢いがついた。

決勝では、勢いに勝る日本が粘る米国を振り切って3大会ぶりの「世界一」をつかんだ。最終回にマウンドに上がった大谷投手が、最後にマイク・トラウト選手から空振りの三振を奪ったシーンは記憶に新しい。

4強入りを果たした山梨学院には、侍ジャパンのような勢いを感じる。準決勝では優勝候補の一角、広陵(広島)と対戦する。山梨学院の勢いが続くのか。31日の試合に注目したい。

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