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ダッシュ、ストップ、ジャンプ…。コートから響く「キュッ」。それは青春を奏でる「コンサート」だ。高校バスケ

「キュッ」。この音はバスケットボール独特のものだろう。コート上を10人の選手が駆け抜ける。そしてストップ、ターン、ジャンプも。バスケのスピード感を象徴する音だ。高校バスケのウィンターカップが開催中。青春の足音を聞いて、気持ちが高ぶってくる。

25日に行われた女子3回戦の桜花学園(愛知)対明秀日立(茨城)の試合をネットで観戦した。場内の応援はベンチの仲間の掛け声ぐらい。この社会的状況では、スタンドから声を出せないのは仕方ない。

その分、選手たちの青春を刻む音がくっきり聞こえてくる。あちこちから聞こえてくる「キュッ」「キュッ」「キュッ」。各選手が攻撃に守備に即座に入れ変わり、スピード感が伝わってくる。

スピードを出して駆けているからこそ、止まるときの摩擦で、「キュッ」という音が強まる。その響きは、選手たちの青春の燃焼を伝えてくれる。

序盤から桜花のペース。リードはどんどん広がっていく。今年のインターハイ優勝校の貫録を示す得点差だ。

リードされている明秀日立も懸命に食らいつこうとするが、いかんせん相手は王者だから力量差を埋める戦略は簡単に出てこない。

それでも、勝ち負け以上に重要なのは、どれだけ、コートに青春を刻めたかだ。その物差しこそ「キュッ」と響く音ではないか。

バスケはスポーツであるとともに、クラシック音楽でもあると、私は思う。自チームと相手チームが「キュッ」という音を、いかに奏でられるか。

音量が足りなければ、その試合、そして「コンサート」は失敗なのだ。どれだけ走って、止まって、ターンして、ジャンプしたか。そこから高らかに発せられる「キュッ」が重要なのだ。

試合は桜花が104-72で大勝した。しかし、コートから聞こえた「キュッ」は、あちこちから最後まで鳴り響いた。両校の青春のハーモニーは、ネットを通じても伝わってきた。

「コンサート」は大成功だったのだ。画面の向こうにいた両校の「演奏家」たちに、「ブラボー」と喝采でたたえたい。

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