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石の上にも「3年目」。地道な努力が花開く。プロ野球新人王にセは阪神・村上投手、パはオリックス・山下投手。日本一、リーグ3連覇に貢献

「石の上にも3年」という言葉があるが、今年のプロ野球新人王は両リーグでプロ入り3年目の選手が受賞した。セリーグは阪神の日本一に貢献した村上頌樹投手(25)、パリーグではリーグ3連覇に貢献したオリックスの山下舜平大投手(21)が受賞した。2人とも3年目は異例と思われる。努力を重ねて3年目に花開いた。2人の受賞を心から祝福したい。

新人王はプロ野球取材歴5年以内の記者による投票で決まる。支配下登録から5年以内の選手が対象で、前年までの1軍登板が30イニング以内、1軍の打席が60打席以内という条件がある。

多くは入団1年目の選手が受賞しているのだ。その中で、セパともに3年目の選手が受賞するのは異例ともいえるだろう。

阪神の38年ぶり日本一の原動力ともなった村上投手。2021年がプロ1年目。この年、1軍で2試合に登板し5回3分の1を投げた。2年目は1軍登板がなく、3年目に一気にブレークした。

今季は22試合に登板し、10勝6敗。防御率は1.75と飛躍した。防御率で初タイトルを獲得し、奪三振137はリーグ4位、勝利数はリーグ5位と文句なしの結果を残しての受賞だ。

山下投手は今年が初の1軍マウンド。16試合に登板し、9勝3敗。防御率は1.61と安定していた。勝利数はリーグ10位。奪三振101はリーグ14位だった。

2人のプロまでの経歴は対照的だ。村上投手は奈良の智弁学園高では1年夏からベンチ入りし、1年の夏と3年の春夏の計3度甲子園に出場した。東洋大に進学後は3年春に6勝無敗で投手3冠、ベストナインにも選ばれた。

一方の山下投手は福岡大大濠高卒。甲子園出場経験はない。最後の夏は社会禍により高校野球選手権大会が中止。「失われた世代」の選手だ。

ただ、身長189センチの長身から投げ込むストレートは高校時代でMAX153キロ。ストレートとカーブのみで打者を抑え込むピッチングは目を見張るものがあった。ドラフト1位指名を受けての入団も期待の表れだった。

村上投手は今季、最優秀選手(MVP)と新人王のW受賞だ。1980年の木田勇さん(日本ハム)、1990年の野茂英雄さん(近鉄)以来3人目となる同時受賞となった。セリーグでは初めてだ。

日米通算201勝を挙げた「レジェンド」野茂さんと並ぶ快挙。村上投手の未来は明るそうだ。

山下投手は社会禍で高校最後の夏を失意の中で過ごさざるを得なかった。山下投手の活躍は「失われた世代」の人たちへのエールともなるだろう。自分ではどうすることもできない悔しいことも、いつか人生のバネにできると。

村上投手、山下投手は来年以降も活躍してほしい。2人の投げるボールには、さらなる夢が詰まっているのだ。

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