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長いトンネルを抜けると、雪のように輝くプロ入り2勝目が待っていた。西武・隅田投手が自身の連敗を12で阻止。チームを12球団一番乗りの10勝に導く

長い長いトンネルを抜けると、プロ2勝目が待っていた。昨季の「ドラ1」左腕、西武の隅田知一郎投手(23)が今季初勝利、プロ入り2勝目をつかんだ。昨季から続いていた自身の連敗を12で阻止。フォーム変更が実った。首位ソフトバンクに「待った!」をかけ、これでチームは12球団トップとなる10勝目に到達した。

19日にホームの所沢で行われたソフトバンク戦。プロ入り2年目の隅田投手にとって、なんとしても勝利をつかみたい一戦だった。

大分・波佐見高時代に甲子園に出場、西日本工業大に進み、4年春には全日本大学選手権のマウンドに立った。

「大学ナンバーワン投手」と期待された左腕。2020年のドラフト会議では「ドラ1」で西武、広島、巨人、ヤクルトの4球団から指名された。

この逸材が2021年3月のプロ初登板初先発で初勝利をつかんだ時には、二桁勝利を挙げて新人王間違いなしと思ったものだ。

しかし、そこからが長かった。好投しても勝利につながらない。勝利はこの1勝のみ。逆に10敗を喫する厳しいルーキーイヤーとなった。二けた勝利どころか、1勝10敗という結果に終わった。

今季も勝ち運に見放されていた。開幕ローテーションに名を連ねながら、2連敗。西武の先発陣で唯一勝ち星のない投手となっていた。

自分だけが取り残された感覚。自身の連敗は12になっていた。それだけに、19日のソフトバンク戦にかける思いは強かった。

昨季オフにフォームを変更。へその位置にセットしたグラブを大きく左肩の上に動かすフォームにした。

それが今季3試合目の先発で実った。初回2死一、二塁のピンチを迎えたが無失点に抑えた。今季は2試合ともに初回で失点していただけに、無失点で切り抜けたのは大きかった。味方打線も初回に若林楽人選手の先制本塁打で、悩める左腕を援護した。

隅田投手は毎回走者を出しながらも崩れない。四回に同点にされながらも最少失点で切り抜ける。

隅田投手を勝たせたい。同点に追いつかれた直後の攻撃。西武はマキノン選手がツーランを放って、再び勝ち越した。粘り続ける隅田投手への大きなサポートとなった。

六回に1死三塁のピンチ陥りながら、隅田投手は踏ん張った。最後は8番打者をショートゴロに打ち取り、リードを守ったままマウンドを降りた。

6回98球を投げ、5安打3四球を与えながら、1失点で切り抜けた。そして、西武はリードを守り抜いて、両リーグ一番乗りとなる10勝目を挙げた。

隅田投手は長い長いトンネルを抜けて、昨年3月プロ入り2勝目をつかんだ。試合後のヒーローインタビューでは「長らくお待たせしました」とあいさつ。「初勝利ぐらいうれしい」の言葉には重みがあった。

大きな大きなプロ入り2勝目。長い長いトンネルをようやく抜けた。隅田投手には、ここからは白星街道をまっしぐらに突き進んでほしい。

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