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PK決着になった大決戦。満員のスタンドが見守りたかった。決勝2校の雄姿はいつまでも忘れない。高校サッカー

高校サッカーで最後を締める決勝戦。90分でも延長でも決着がつかず、最後はPK戦による幕切れとなった。これほどの大熱戦を、満員のスタンドが見守りたかった。

埼玉スタジアムで行われた頂上決戦。陸上トラックがないので、試合を間近で見られる。臨場感はハンパない。ボールを追う選手が、すぐ近くにいる感覚。

過去2回、高校サッカーの決勝を埼玉スタジアムで見たことがある。試合内容も良かったのだが、スタンドから間近で見られる感覚は、実に良い。

そして、今年は優勝経験校同士のカードとなったので、観客を入れた環境ならば、例年通り、ほぼ満員のスタジアムとなっただろう。山梨学院―青森山田。これだけの好カードを現地で見ないのはもったいない。

しかし、今年、誰の責任でもない理不尽な状況で、無観客での決勝となった。

テレビで試合観戦しながら、「例年だったら」というスタンドを空想して、熱戦を見続けた。ベンチ外の控え部員らのメガホンを使った声援。チアリーダーがポンポンを振りながら踊る姿。ブラスバンドがアップテンポで続ける演奏。そして、観客の歓声、どよめき、ため息、拍手。

選手とスタンドが一体となって、試合内容をより一層高めていく。それは、ライブならではの醍醐味。

演劇では「俳優と観客の共犯関係」という言葉もあるほど、ライブならではの感動が作り上げられていく。

しかし、それが今年は許されなかった。誰も悪くない。この状況下では。それでも、決勝の舞台を華やかに彩ってあげたかった。それこそが厳しい戦いを勝ち抜いてきた選手らへの最大のプレゼントであっただろうから。

6万人が入る大スタジアムだけに、無観客で行われると、寂しさが一層増す。しかし、選手たちは日本一になるという夢を叶えるために、キックオフから最大限の力を振り絞って、戦い続けた。

PK戦の末に、優勝した山梨学院、おめでとう。あと一歩で涙をのんだ青森山田、良く頑張った。きみたちの決戦は、高校サッカー史上、歴史に残る好試合だった。全力を尽くした雄姿を忘れることはできない。

もしも、スタンドが観客でいっぱいだったら、きみたちの限界まで走り続けた姿に、惜しみない拍手が送られていたはずだ。それは間違いない。

来シーズン、全国サッカー選手権は100回目の記念大会となる。この時には、何の制限もなく、満員のスタンドがきみたちの全力プレーを見守れることを願っている。


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