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大阪桐蔭高の府内連勝が56で止まった日。2018年甲子園春夏Ⅴの「3番手」投手がプロで勝利投手となった。巨人の横川投手がプロ3勝目

野球選手の人生はジェットコースターに乗っているようなものかもしれない。「諸行無常」の言葉が似合う。甲子園の強豪、大阪桐蔭高の府内連勝が56で止まった日。2018年春夏連覇を達成したチームの「3番手」投手がプロで勝利投手となった。巨人の横川凱投手(22)。紆余曲折を経ながらも確実に成長を遂げている。

5月18日。大阪桐蔭は高校野球春季府大会決勝で敗れた。金光大阪に1-2で競り負け。これで府内連勝が56で止まったのだ。

大阪桐蔭と言えば甲子園の強豪。昨秋の明治神宮大会で優勝し、今春の甲子園でも優勝候補に挙げられていた。選抜は準決勝で敗れたが、「負けてなお強し」の印象を強烈に刻んだ。

春の府大会ではエース投手を使わず、新戦力を試す狙いで戦い続けたが、「最終決戦」で敗れた。

その同じ日。東京の神宮球場では、巨人の横川投手が先発マウンドを上がり、プロ3勝目を挙げたのだ。

プロ5年目の左腕はドラフト4位で入団。過去4年は1軍での登板は5試合のみ。機会に恵まれず、育成選手契約を2度経験する不遇も味わった。

その不遇は高校時代でも同様だった。強豪の大阪桐蔭では「3番手」投手の位置づけ。春夏4度の甲子園を経験したが、聖地での登板は4試合のみ。2018年に春夏連覇のメンバーだったが、比較的楽な相手との試合に投げていた。

甲子園のマウンドで好投を続けた根尾昴選手は中日から1位指名。大阪桐蔭のエースナンバーを背負った柿木蓮投手も日本ハムへ進んだ。大阪桐蔭から3人の投手がプロ入りしたのだ。

横川投手は巨人に入団後も1軍での登板機会に恵まれない。2度の育成契約も経験した。それでも腐ることなく、自分の可能性を信じて、腕を磨き続けた。

それが5年目の今季、実を結んだ。3月に支配下登録選手に復帰すると、公式戦では先発登板のチャンスを与えられ続けた。

そして今季3度目の先発登板となった4月23日にプロ初勝利を挙げたのだ。長い道のりだった。当時の大阪桐蔭投手陣3人の中で、プロ勝利を唯一挙げているのが横川投手だ。「高校3年間一番下だった。一番になりたいと思っていた」と語った。

「府内無双」を続けていた大阪桐蔭。5月18日に府内連勝が止まった日。プロでチャンスをつかんだ「3番手」投手は、昨季リーグ優勝のヤクルト相手に6回1失点。プロ3勝目を手にした。

テンポ良く、丁寧に投げるピッチングで、許したヒットは2本のみ。四球も2と安定したピッチングが光っていた。

連勝が止まった大阪桐蔭。しかし人生は何が起こるか分からない。それを先輩の横川投手がプロの舞台で見せてくれている。いいお手本となるだろう。

高校時代が不遇でも、プロで成長を遂げる横川投手。ジェットコースターのような野球人生だが、腐らずに鍛錬を怠らない。その活躍に、これからも注目だ。

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