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思う人に思われず、思わぬ人に思われる。ドラフトの「関西シリーズ」。報徳学園の堀選手がオリックスから4位指名。意中の球団は阪神。会見では大爆笑誘う「ボケ」も

恋愛において「思う人に思われず、思わぬ人に思われる」という名言がある。意中の人の心をつかめず、思っていない人からラブコールを受けることだ。これが今年のプロ野球ドラフトであった。しかも、この思う、思わぬの2球団が28日に開幕する日本シリーズの出場チームだから面白い。報徳学園のスター選手の意中の球団は阪神だったのだが。

26日に東京都内で行われたプロ野球ドラフト会議。支配下選手、育成選手として計72人が指名を受けた。その中で、ドラフトの「関西シリーズ」ともいえるドラマもあった。

今春の選抜で準優勝を達成した報徳学園。強肩捕手で打撃、走塁にも秀でた堀柊那(しゅうな)選手がオリックスからドラフト4位で指名を受けた。二塁送球が1.8秒台前半で50m6秒1の俊足。さらに選抜大会では主軸として打率4割の活躍を見せた。

堀選手の意中の球団は阪神だった。中学時代にプレーしたのは兵庫夙川ボーイズ。近鉄、オリックスで活躍した水口栄二さんがGMだった。現在、阪神の1軍打撃コーチを務めている。

堀選手は「水口さんに教えていただいて、すごく打撃が良くなり、自信を持てるようになった。そのおかげでプロをめざすようになりました」と振り返る。

恩師が今、指導している阪神が意中の球団になるのも当然だろう。さらに報徳学園は阪神の本拠甲子園球場から車で20分ぐらいと近くにある。高校野球の強豪で甲子園が最も近くにあるといえる。

その堀選手を指名したのがオリックスだった。今年の日本シリーズは阪神とオリックスが対戦する。ドラフトをめぐっても「関西シリーズ」があったのだ。

ドラフト会議で指名された後、珍事が起こる。対戦したい投手について、報道陣に問われると、堀選手は思わず沈黙。同席した大角健二監督が「『パリーグってどっちですか?』って言っている」と伝えると、保護者や同級生のいた場内で大爆笑の渦が起こったのだ。

本人は会見後に「あんまりプロ野球を見ないんです」とコメント。地元の阪神ぐらいしか見ていなかったそうだ。パリーグの投手と聞かれて「頭が真っ白になった」。これぞ関西流のボケなのだろうか。完全につかみはOKだ。

もっともオリックスでのプレーに前向きな姿勢を見せている。「森友哉選手のような打撃も良くて守備もいい捕手がいる。森選手を越える目標ができてよかった」と意欲的だ。チームの主砲でマスクをかぶる名選手を目標に頑張ってほしい。

また「日本のエース」ともいわれる山本由伸投手、WBCで活躍した宮城大弥投手の球を受けてみたいと早くもオリックスの一員となる気構えができている。

オリックスの中嶋聡監督は捕手出身。堀選手がさらに成長する環境としては万全だろう。

59年ぶりに行われる「関西シリーズ」の頂上決戦。ドラフト会議が「前哨戦」となった。いずれ堀選手が日本シリーズの舞台に立つ日も来るだろう。

思う人に思われず、思わぬ人に思われる形となったが、堀選手はオリックス愛を深めて、どんどん活躍してほしい。高校時代には選抜準優勝。あと一歩で逃した日本一。プロの舞台でつかみ取ってほしい。

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