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子どもたちに伝えた「最後まで全力で戦う」姿勢。11本塁打の乱打戦。敗色濃厚のヤクルトが首位DeNAに逆転サヨナラ勝ち

神宮に花火の大輪11発が舞った。ヤクルトが乱打戦を制して、首位DeNAに逆転サヨナラ勝ち。敗色濃厚だった試合展開を終盤にひっくり返した。こどもの日だった5月5日。スタジアムを埋め尽くした観客の中には、子どもたちの姿も多かった。この一戦を記憶に刻み、将来プロ野球選手になる子がいるかもしれない。夢を後押しする試合となった。

18勝8敗のDeNAは首位を快走中。一方のヤクルトは前日にサヨナラ負けを喫して5位に沈んでいた。チーム状況が真逆の中で、「こどもの日」の一戦をどう繰り広げるのか楽しみだった。

この日は「侍ジャパンの左腕対決」。ヤクルトは高橋奎二投手、DeNAは今永昇太投手。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で3大会ぶりに「世界一」となったメンバー。この2人が投げ合うのだから、息詰まる投手戦になるだろう。

しかし、この予想はもろくも崩れ去った。二回裏、ヤクルトのサンタナ選手がセンターへのホームランで口火を切った。乱打戦の幕開けだ。

直後の三回表。DeNAがお返し。佐野恵太選手にソロが飛び出すと、ソト選手も2ラン。アーチ2発で逆転した。

この展開に、ヤクルトの主砲、そして侍ジャパンの主力打者の村上宗隆選手が黙っていない。打った瞬間に入ったと分かる同点2ランを左翼席へ放った。この一発を楽しみにしていた子どもたちは多かっただろう。村上選手にとって「こどもの日」に打つ初めての本塁打となった。

DeNAは四回表。再び佐野選手が一発を放った。3ラン。再び勝ち越し。打たれたら打ち返す。まるでボクシングのヘビー級の試合を見ているようだ。

五回裏に1点を返したヤクルト。これも濱田太貴選手のソロ。前半の五回を終えて、両者3発ずつ花火を打ち上げた。

DeNAは七回に2発の打ち上げ。京田陽太選手がライトスタンドに一発を放つ。そして侍ジャパンメンバーの牧秀悟選手。打撃戦の展開に「それなら、侍のオレも一発打たねば」。そう言わんばかりにレフトスタンド上段へソロを放った。

この段階でDeNAが9-4とリード。ヤクルトは敗色濃厚のゲーム展開だ。しかし、きょうは「こどもの日」。簡単に負けるわけにはいかない。「最後まで全力で戦う」。これが子どもたちへのメッセージになるからだ。

その思いは八回に伝わったはずだ。侍ジャパンの中村悠平選手がソロ。そして濱田選手にこの試合2本目のアーチが飛び出た。今度は3ラン。これで一気に1点差に詰め寄った。

そして、最後は九回裏。長岡秀樹選手が2死一塁からライトへ逆転サヨナラツーランを放って試合を締めた。10-9の乱打戦。3時間48分の大熱戦だった。

この日飛び出た本塁打は両者合わせて11本。セリーグ記録の12本まで、あと1本に迫る乱れ打ちの試合だった。

ヤクルトは10点すべてが本塁打によるもの。DeNAも9点のうち8点がホームランがらみだった。

そして「最後まで全力で戦う」。ヤクルトの姿勢が子どもたちに伝わったはずだ。アーチ合戦、逆転サヨナラ劇。子どもたちが十分に楽しめたゲームだった。

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