清華苑

社会福祉法人 三幸福祉会です。 明石市大久保町で清華苑という高齢者総合福祉施設を運営しています。 職員が仕事を通じて体験した心温まるエピソードを掲載します。どうぞご覧下さい! HP https://seikaen.jp/

清華苑

社会福祉法人 三幸福祉会です。 明石市大久保町で清華苑という高齢者総合福祉施設を運営しています。 職員が仕事を通じて体験した心温まるエピソードを掲載します。どうぞご覧下さい! HP https://seikaen.jp/

    最近の記事

    • 固定された記事

    はじめに

     令和4年に三幸福祉会は設立35年周年の節目を迎えました。この節目にあたり、法人内職員に心温まるエピソードを募集しました。  世間では介護の仕事は重労働で報われることが少ないという評判が多く、求職してくれる人が少ない現状がありますが、実際にはそんなことはありません。  介護の仕事に真剣に取り組めばいろいろと報われることも多く、とてもやりがいのある仕事であるということを多くの人に伝え、職員全体でもその体験を共有することが大切であると考えて企画しました。介護に関連する仕事に携

      • 私の宝物。

        デイケアの送迎中にF様から頂いた言葉は、私の宝物です。 「私ね、脳梗塞になって良かったと思っているの。だって、この病気のおかげでデイケア清華苑すいすいに来る事が出来たし、こんな楽しいところないよ!私はみんなに支えられて幸せ。いつもありがとうね!」 ケアハウス 清華苑シルバーライフ 村上 卓也

        • 大切なこと

          ある女性のご利用者との話です。 私は、4月に入職したばかりで右も左も分からない中、先輩方に教えて頂きながら日々の業務をこなしていました。 そんな中ある日、その女性のご利用者のトイレ誘導をする際、転倒されないように手をつなぐと「こんな男前な兄ちゃんと手つなぐの初めてで嬉しいわ」と言って頂きました。 突然のことで驚きましたが、自分や周りの先輩方も笑顔になりとても和やかな雰囲気になりました。コミュニケーションを取る事の大切さを改めて感じ、この日からご利用者との会話が楽しみにな

          • サンキュー♡

            私は入職して12年目になりますが、産休育休を2回経て現在正職員として育児と仕事を両立することができています。 私が妊娠した時、妊娠をしたら退職される職員が多く、経験者がいないため産休に入り今後復帰することに不安がありました。妊娠中の限られた業務しかできない私を上司や同僚は嫌な顔せず体調を気にしてくれたり大きくなるお腹を一緒に喜んでくれ、たくさん励まされました。 産休育休後も上司との勤務の相談を重ね、夫婦同じ法人で働いているということもあり、勤務調整してもらい育児と仕事の両

            部署を異動しても

            特別養護老人ホーム 清華苑から老人保健施設 清華苑養力センターに異動して約5年という時が過ぎました。 異動してきた初日は朝からとてもソワソワしていました。清華苑養力センターには、ほぼ同期はおらず職員も顔見知り程度の方ばっかりでした。 1か月のOJTが始まり、OJT担当をはじめ、同フロアの職員、違うフロアの職員、上長、また看護、リハ室、相談室、事務所の職員が「大丈夫・慣れた」等優しく声をかけてくださり、働き始めからとても居心地のよい環境だと思いました。 約5年が過ぎました

            股肱之臣

             平成30年9月4日、台風の影響を受けて朝から激しい雨風の荒れた空模様でした。  正午過ぎに雨風の勢いが弱まったとき、私は大久保苑の管理者(当時)にご利用者の送迎を指示しました。上長の私に対して「もう少し様子を見てから・・・」と遠慮気味に話す管理者の意見を聞き入れずに。  間もなく、私の携帯電話に管理者からの着信が入りました。雑音交じりで聞き取り難い状況でしたが、「Mさんのマンション付近で送迎車から降りようとしたら、車のドアが・・・」という助けを求めている内容であることは

            あゝ同期の絆

             職員の口から「同期」という言葉をよく聞きます。長く働いている職員のほうがその傾向は顕著な気がします。文字通り同じ期(年度)に入職した者たちを意味するわけですが、その存在はやはり特別なもののようです。  仕事を続けてこられた理由の1番は同期の存在とはっきり口にする職員も多く、入職後、喜怒哀楽を分かち合ってきた関係性がくじけそうなときに幾たびも気持ちを奮い立たせてくれたのだろうと想像します。  特に同期にまつわるエピソードで印象的なのが「Aさんのこういうところを尊敬している

            地域とつながる

             3年前、明石南高校で3年生の生徒さん達へ福祉についての授業を担当していました。    最後の授業で、「またどこかで会いましょう」と生徒達に別れを告げました。卒業してから1か月後、明石駅のバスターミナルを歩いていると遠くから「先生!」と呼ばれたので振り返ると授業を受けていた生徒が声をかけてくれました。雰囲気も変わっていたので自分が担当していた生徒とはすぐ気がつきませんでした。    「先生、元気?授業楽しかったで」と、授業が楽しかったことを伝えてくれて嬉しく感じたと同時に、地

            人生の最後に

             それは、平成20年12月1日の早朝7時頃の事だった。私は、この時の事を鮮明に覚えている。いや、忘れられないというほうが正確かもしれない。 その日、私は早出で出勤し、いつもと変わらず情報収集を行った後、先輩職員と共に朝食介助の為、東棟から離床介助を行った。  いつものようにA氏から起きていただく、「おはようございます、朝ごはんにいきましょう」と声掛けを行った。声掛けをした際、A氏は開眼、開口していた。A氏は反応されない。私は「あれ?もう起きとるんかな?聞こえんかったんかな

            タクシードライバー

             「息子に迷惑かけたくない。皆に迷惑かけたくない。できることは自分でするよ。でもどうしたんだろう。忘れることが増え、どうしていたのかわからなくなる。辛い」と言っているTさんは、認知症とパーキンソンを患いながら一人で暮らしています。  ある日、Tさんから「いつも行っている美容院なのに名前も場所がわからなくなったの。タクシーの運転手さんが何度もグルグル回って探してくれたけど、結局わからなくて、運転手さんがここの美容院はどう?と言ってくれたから、初めて行く美容院だけど、そこでヘア

            忘れられない実習体験

             高校生の時に、小規模多機能型居宅介護「大久保苑」で介護福祉士実習を経験しました。今までたくさんの施設で実習を経験しましたが、大久保苑での実習が一番思い出に残っています。  職員の皆さんは、私がやってみたいと言ったことには積極的にチャレンジさせてくれて、レクリエーションも企画段階から実践させてもらいました。とにかく一番学びが多く、充実した実習期間だったことを強く覚えています。そして何よりも職員の皆さんの実習生への寄り添った対応がとても嬉しかったです。  このような経験から

            先輩職員の一言に救われて

             入職して、すぐに始まる3か月のOJT期間の中で、先輩職員から様々なことを教わりました。  私は介助を行うことに対する不安やこれで本当に大丈夫なのかとなかなか自信が持てませんでした。元々、自分に自信が無くマイナス思考になり落ち込む事もあり、そんな自分を責めることも沢山ありました。  そんな私ですがOJT期間を最終日に迎えた日、担当の先輩職員から「基本的なことは出来ているから大丈夫。自信もって!」と言って頂き、その言葉にとても救われました。何気ない一言ではありますが、私にと

            もう後悔はしない

             A様は、男性で麻痺がありましたが、ご自身で身の回りのことをしておられました。初めは寡黙な方だという印象がありましたが、少しずつお話ができるようになり嬉しく思っていました。  その後、ご状態が急変し病院へ入院することとなりました。そして清華苑へ帰ってくることなくそのままお亡くなりになられました。その方のことをほんの少ししか知ることができていないのにお別れになり「もっとああしておけば」と後悔ばかりでした。  月日が経ち、新たに入所されてきたB様の担当となりました。B様は、女

            NOTE

             仕事を覚えていく中で、どのようにご利用者と関わりたいのかを考える日々は目まぐるしく時間が過ぎていきます。  そんな中、ほっと心が温まる時間は、ご利用者のやさしい笑顔や温かい言葉に触れた時です。ふとした瞬間に、「優しそうな顔をしているね。優しいのが一番やね。」と言って下さることや、手を握り返しながら「ありがとう。好きよ。」と微笑んでくれるご利用者の方からいつも元気をもらっています。  私自身はご利用者を笑顔にできているのか、心が安らぐような関わりをできているのかと不安にな

            友よ

             太陽のような存在でデイケアで人気者のK様。ステージ4の胃がんが見つかりました。  食べることが大好きで外食にも行かれたりしていた為、とてもショックが大きかったです。ある日、仲良くされている他のご利用者から、送迎で2人きりになったときに「聞いたよ」と突然話出されました。  その方は涙を流しながら話しをされており、どうやらK様本人が自分の病気の事を話されていたようです。どうやらK様は、自分で伝えたいと思った人には、自分から話をされていたようです。  治療で入院することにな

            A様のリハビリ日記

             「私、最近リハビリやってもらってないんだけど。」    作業療法士としてA様の担当をさせていただいておりますが、週3回毎度この言葉をいただきます。  介入の為に伺った時だけではなく、他の方の介入の為にデイルームにいるとA様から声がかかります。それは私だけではなく、他のスタッフに対しても同様です。  私はその度に「昨日もリハビリしましたよ。」「明日伺いますね。」等と対応していました。    その日もデイルームに行くとA様から声をかけられました。私は、(いつものだな)と思い