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改めて考える、自立するって何だろう

本校の教育方針は「社会で活躍できる、自律・自立した女性の育成」です。
自律とは、他人に頼らず、自分自身で立てた規範に従って「行動」することを指しますよね。つまり自律は自立のための手段にもなるものだと思います。
そこで今回は、目指すべき「状態」である、自立について書いてみたいと思います!



なぜ私たちは「自立」を目指すのか

教育理念や教育方針に「自立」という文字が含まれている学校は、多いのではないかと思います。しかし、なぜ自立が大切なのか、をはっきりと示している学校は少ないような気がします。なぜでしょうか?
たぶんそれは、自立はマジックワードだからなんです。誰からもそれが悪いことだと反対されることのない、説明不要のマジックワード。
でも、だからこそ、その根っこの意味が腹落ちした形で浸透していないという側面もある、ふわふわしたミステリーワード。
今回はこれをクリアにしておきたいと思います。一緒に考えていきましょう!


幸せって何だろう?

私たちは教育者ですから、生徒たちに「将来幸せになってほしい」と心から考えています。ここに嘘偽りはありません。
でも厄介なのは「幸せ」の定義です。具体的に、どうしたら、何がどうなったら、幸せになったと言えるのか。学校にも他校との競合がありますから、卒業生がどのくらい幸せになったのかどうかを示す必要性に迫られます。それをわかりやすくするには数字で示さざるを得なくなって、〇〇大学〇名…という進学実績を出すわけです。

でもですよ。偏差値の高い大学に進学するというルールのゲームで勝者になれるのは、例えば偏差値60以上といったところではないでしょうか。偏差値というのは母集団全体の中の相対的な位置で決まりますから、偏差値60以上の人は全体の約15%と決まっています。ということは、残りの85%は敗者なのでしょうか?? いやいや、そんなことはありませんよね。残りの85%の人は、別のルールのゲームに参加すればいいだけです。と言うか、むしろこっちの方が多数派です。(勉強しなくていいという意味ではありませんので、念のため!)

だからこそ、幸せって何?を改めて考えてみましょう。皆さんもご存知のとおり、幸せは人それぞれです。お金がたくさんあって裕福であることが幸せと考える人。美味しいものをたくさん食べられるのが幸せという人。出世して偉くなること、人のために尽くすこと、家族や親しい友人に囲まれて過ごすこと、朝から晩までのんびりすること。。。あー、本当に様々で、これではまったく定義できません!!

ですが、逆に言えば、実は一つ共通点があることに気がつきませんか。
それは「幸せは主観的なもの」だということです。ある人が、出世して偉くなることを幸せだと思っていても、他の人がそれを幸せと思うとは限りません。でも、その人がそれを幸せだと思っていれば、それでその人は幸せです。幸せとは、本人がそう思っているかどうかで決まる、とっても主観的なものなんですね。


主観的にとらえるために

自分が幸せかどうかは、主観的にとらえられればいい。言うは易しですが、これは単純にして難しい命題ですよね。なぜなら人間はどうしても人と比べたくなってしまうし、人から言われたことに引っ張られることも多々あるわけで。
でも、自立した大人になれれば、これができると思うのです。なぜなら、自己が確立しているので、他人や周囲の価値観に惑わされることなく、自分の基準で自分で判断できるから。
自立=自分が幸せかを自分で判断できる状態。こう考えると、なんだかすっきりしませんか? 自立とは、幸せになるための必要条件だったんだと。

ちなみに、自立は3つに分けることができます。一つは生活的自立です。自分で食事の用意をしたり洗濯や掃除をして生活する力です。二つめは経済的自立。親のすねをかじるのではなく、自分で収入を得て生計を立てていくことです。そして三つめが精神的自立。いま話をしている自立はまさにこれです。

では、さらに掘り下げましょう。どうしたら精神的に自立できるようになるのでしょうか。んー、残念ながらこの問いに答えはありません。自立するための方法は千差万別、一つとして同じ方法はないでしょう。ただ、精神的に自立した人たちの共通点なら、見つけられるような気がするのです。

それは、人生において「やりたいことがある人」です。それは何だっていい。地元の町をもっときれいにしたい。畑で作ったおいしい野菜をお届けして皆に喜んでもらいたい。小さい子どもたちが自由に遊べる場所を増やしたい。自分の作った歌で多くの人を元気づけたい。新しい薬を開発して病気で苦しんでいる人を助けたい。代々受け継いだのれんを守りたい。何でもOKです。社会の一員として、社会に貢献する何か「やりたいことがある」人は、私が見てきた限り、精神的に自立できていて、自分が幸せだと感じているような気がしています。


85%の人たちのためのキャリア教育

だからこそ、本校では「将来やりたいことを見つける」ためのキャリア教育に力を入れています。なりたい職業はあくまでも「なりたいもの」なので、やりたいことをするための手段です。なりたいものを選ぶ前に、やりたいことを見つけよう。これが本校のキャリア教育の軸になっています。そして、教科学習も、自主研究も、表現プログラムも、キャリア学習も、部活動も、学校行事も、学校活動の全てをキャリア教育にリンクさせています。

さあ、私たちと一緒にやりたいことを見つけましょう!
自立するために、幸せになるために。

(H Sakamoto)

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