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有言実行は難しい。 〜「話す」と「放す」ことになる話〜

 私はこうします!と宣言して叶えられる人ばかりではありません。昨年の抱負は叶いましたか?毎日note宣言はどうですか?実現できない人がたくさんいらっしゃいますね。何故でしょうか。

●まず、歴史から振り返りましょう。

 そもそも「有言実行」は新しい言葉で、本来の四字熟語は「不言実行」です。心に思っていることをペラペラと話さずに只実行する姿であって、それは美徳だとか信頼できるとか、そういう肯定的な意味で使われていました。
 さらに遡ると「不言実行」の起源は「論語」の「里仁篇 (りじんへん)」の一節にあります。

 子曰、君子欲訥於言而敏於行。

 「訥言敏行(とつげんびんこう)」と四字熟語にされますが、端的には「最高にクールなヒューマンはグダグダ言わずに実行するんだぜ。」という意味です。論語は楽しいですね。

 誰も有言実行が良いなんて云っていません。
 
 有能な人ほど仕事がはやく、メールの返信の速さなど目を見張るものがありますね。それは信頼を築きながら実績を積んでいく方法です。

●次に心理学的に考えてみましょう。

 言葉にすると実現しそうな気がしてきます。実際にそれで頑張れるようになったり、周りの人は「よく言った!」と褒めてくれるかもしれません。ここに落とし穴があります。

 言葉にしただけで、もう実現したかのような錯覚に陥ってしまう心理効果が働くのです。そこに他者からの「よく言った!」という称賛が寄せられようものなら、自分はよくやった、と錯覚しかねません。結果、まだ実現していないことを宣言するだけで「代償的に」満たされた気持ちになる。これでは目標から遠ざかってしまいますね。

 加えて、せっかく良いことをしても「宣言した内容」に届かなければ評価されません。すると余計なストレスを感じ、自分の言葉に自分が縛られていくのです。有言実行は宣言した瞬間がモチベーションのピークなのだと思います。

●さらに、形而上学的に考えます。

 悪いことがあったとき、悪い夢をみたときなど、人に「話す」ことでそれを「放す」のだという主張があります。実験のしようもありませんが、これは直感的に事実です。
 そしてこれを事実と仮定するなら、なぜ目標や意志の宣言が「放れていかない」と思えるのでしょうか。

 ここに、ふたつの力が働きます。

 宣言すると、それを実行しようという意志が強くなります。「言ったからにはやってやるぞ」と。しかし一方で、「話した」内容には「放す」力が働きます。相当の胆力をもって、その意志を離さないように掴んでおかなければ、容易く逃げられてしまいます。
 宣言の回数よりも、後になって自分の心の中で宣言内容を繰り返す方がずっと多いでしょう?

●結局どうすれば良いのでしょうか。

 人は言葉ではなく、行動で評価されます。如何に感動的な演説をしたところで、行動と実績が伴わなければ虚しいだけです。

 宣言する暇があったら即行動した方がいい。

 本日の結論です。

 もちろん有言実行できると格好良いですが、実現できなければゼロどころかマイナスです。有言実行できるほど、私は強くありません。
 今年の抱負はありますが、決して人には言いません。昨年の抱負は実現できましたが、これも人には言いません。見れば分かることをわざわざ人に言うのは野暮というものです。
 

 さて、貴方の目標は何ですか?

 是非、声に出さずに反芻してみてください。

 ふつふつと「やる気」が湧いてきます。

 どうかそのまま行動を。

 思い出してください。論語の中に、かの有名な孔子の言葉がありましたね。

「最高にクールなヒューマンは、
     グダグダ言わずに実行するんだぜ。」


 拙文に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、貴方の「願い」「夢」「目標」が、達成を以て皆に知れ渡り、称賛の嵐に包まれますように。



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渡邊惺仁
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