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核 《詩》

「核」

誰かの意見に

対抗出来るような意見も人格も

持ち合わせていない僕は  

ただうなずく事しか出来なかった


時には誰かの意見を借用して

さも自分自身の考えであるかの様に
振る舞っていた


自分の価値観を持たず 

いつも 

他人の視点と 
尺度を借りて来なければ

何ひとつとして

判断出来ない人間だった

他人の目に良く映る僕の形を

自分の中に創り出していた

人畜無害を装い 
心の中の悪魔に蓋をした


歪な世界の枠組みの外

もうひとりの僕が立ち尽くしている

不確かではあるが感じる事が出来る


その単純な思考の一面性の裏にある

もうひとつの
現実から乖離した思考が

終わりに向かう歩みを止める


本来 保持するべき核は表には無く

表面に有るものは
凡庸な思考の維持に過ぎない

読解困難な難解な文章を

何度も読み返していた


その悪文の中に全てが存在する

僕の核が其処にある

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