白い月の光 《詩》
「白い月の光」
夜明け前の白い月に
僕達ふたりの
それぞれが抱える
事柄の差異が映し出される
その白い月は夜空の端っこで
暗示的な光を微かに放つ
僕は迷いの中で朝を迎える
其れは圧倒的な混乱とは違う
確信のある答えが
欲しかっただけなんだ
彼女は時計を見つめている
その針は宿命的な時を示す
僕は彼女の背中をそっと
指先で撫で
君は静かにうなずいた
所有し所有される事の無い
僕等に答えは無かった
好きだと言って 別れて行った女
其処には君の為の世界と
僕の為の世界が別々に存在している
すれ違った時 確かに目が合った
僕等は何も話さず 通り過ぎた
叶わない約束にうなずいた日
其れをわかっていて微笑んだ君の顔
僕はあの夜の
白い月の光を思い出していた
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