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静脈 《詩》

「静脈」

時間が不規則に揺らぐ

僕が心の中の牢獄に

閉じ込められている事を

誰も知らない 

其の牢獄を出る事は 簡単だ

自分自身の意志で出てゆけば良い


鍵をかけたのも
鍵を開けるのも全ては自分自身

周りの声達は

もう僕に話しかける事を辞めていた


僕は誰にも

見る事の出来ない風景を睨みつける

其処には枯渇した水脈がある

僕が解き明かすべき暗号を
君は持って居る

現実と仮説の狭間にある

静脈が青く浮かび上がる

架空の世界で君と出逢う 

そして牢獄の扉を開けた

脈打つ血管と水を湛えた水脈

無限に送られて来る

ジャンクメールから

真実だけを抽出する様に

目を凝らし君の姿を探す


誰も知らない深く暗い場所で
魂の相互開示が行われる

僕等は遥かに深い場所で

お互いを理解し合った

世界の両端に立つ

ふたりを結びつけるのに

言葉は意味をなさない


痛みの感覚を鈍麻させる

精神の防御作業を人は
強さと呼ぶのだろうか

西に傾いて行く太陽

何処までも垂直で高い壁

其の日の世界は

特筆すべき事は何も無い

そう書かれていた

何もかもが違うのに そう言って

君の手を強く握りしめた

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