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細くて白い月 《詩》

「細くて白い月」

カーテンの僅かな隙間から

骨の様な細くて白い月が見えた


カフェオレとポテトサラダ 

スクランブルエッグとトースト

バターは付ける? 
それとも苺ジャム?

僕は煙草を咥えたまま 
バター そう答えた


彼女の部屋の

テラスからは川が見えた 

水面に映る歓楽街のネオンが見えた

朝は苦手だって そう彼女は言った


ユニットバスのトイレには

膣内を洗浄する

見た事も無い道具が置いてあった

彼女の仕事には必要なんだと 
そう言った

彼女の仕事が終わるのは深夜になる

待ち合わせた場所 

ふたり軽い食事を済ませて
彼女の部屋に泊まる


明け方 僕は仕事に向かい 

彼女は また少し眠って 
夜の仕事に向かう

いつまで こんな事が続くのだろう

答えも無いのに囁いた

彼女もまた 

僕の入り口から入り
出口から出て行った


半年くらい経って 
彼女から電話があった

結婚しますと


過去は忘れる為に作られて

振り返る場所には僕独りが居る

今夜も細くて白い月が

剥がれそうな夜に張り付いている

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