道化師の告白 《詩》
「道化師の告白」
現実を何も語らない事により
何かが語られている
色彩を失くした平板な世が血を流し
人格の一部を欠損した歪な夜空が
消えそうな月を映し出す
感覚を喪失した星は輝き方を忘れる
僕の固定された視界には
道化師の告白が終わり無く
文章化されて行く
彼は決して真実を語らない
モノクロの街で薔薇を売る女
暗室での祝祭 完結された愛
純文学とは無関係な風が
真夜中を彷徨う
目覚めと共に悪夢の跡をなどる
最も汚いやり方の全てで
眉間を撃ち抜く
無垢な祈りが掲げた旗を
闇色の幻影が黒く染める
奪い合う街 最後の欠片
黒き国旗がはためく下で
道化師の告白は続いてゆく
真実無き其の告白を
誰かが戯言だと呼んだ
僕は其の言葉を想い詩と呼ぶ
心の中の道化師が また語り始める
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