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スカイツリーとウクレレ 《詩》

「スカイツリーとウクレレ」

其の機能は全て 

論理的で倫理的であり

其れに伴う取り扱い説明書と

保証書が添付されている

スカイツリーはいつに無く

高くそびえ立ち

今もなお天高く 

伸び続けている様に見えた


救世主教会の尖塔 

頭頂部には其れが有り

地上の僕等を見下ろしている

街の路地裏は砂利で出来ており 

草すら生えない荒地だった

其処には 
無能、無知、馬鹿や偽善は

犯罪では無いと書かれた立札を見た


猫を連れた老人が路上で
反戦の詩を朗読している

僕は其れを聞いていた

嫌いなものは好きになれない

炎天下に歩みを
進めなくてはならないなら仕方ない

其れ嫌いなんだと口にするより

僕も好きだよ其れ…

そんな言葉を口にしたい


何処からか
海の匂いと波音が聞こえる

貿易風に心地良さそうに揺れる

椰子の木が見えて来た

ウクレレを手に持つ髪の長い女性

左肩に小さな花柄の刺青

太陽の匂いのする

不思議な果実をくれた


ウクレレの音が青い空に溶けて行く 

彼女は微笑んだ

僕等は砂浜で綺麗な貝殻を
拾い集めてポケットに入れた

このまま時間が止まればいい 

そう思った

Photo : Seiji Arita

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