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風待ち日記

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水無月のほとりで風を待つ、いつかその日が来るまで
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#冬

レース編みの光を浴びて

レース編みの光を浴びて

午後の光というのは、どこか穏やかなようでいて情熱を秘めていたりするので、なんとも好ましいなあと思う。

桜が散ったあとの季節の太陽の光は、春にしてはやや強すぎて、夏というにはまだまだ未熟だけれど、私にはちょうどいい。やさしくてほがらかでさわやかで。風がぬるくて気持ちがいい。木かげがひんやりしていて気持ちいい。

大体、季節というものは総じてたちが悪い。季節は私の手をとって巧みにエスコートし、心底楽

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ゆらゆらり

ゆらゆらり

今年はよく熱を出した1年だった。

2月には家族全員でコロナにかかり、11月にはよく分からない風邪に負けて熱が出た。

そしていま、私はまた熱が出ている。

妹の机からこっそり失敬した「ねじの回転」を問題なく読めるくらいには元気なのだ。

午後からの授業も出るつもりだった。今日から授業で扱う小説が小川洋子の「余白の愛」にうつるのだし、私はこの小説をとても好きだと思ったから、授業も楽しみにしていたの

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