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風待ち日記

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水無月のほとりで風を待つ、いつかその日が来るまで
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#小説

音楽と小説について

音楽と小説について

好きな音楽の話をしようと試みるとき、どうもことばを連ねるだけでは表現し得ないことがあって記事を書くのをやめた経験が何度もあるけど、それが一体なぜなのかはいつも曖昧なままだった。

好きな小説を紹介するのと同じように音楽についても紹介すればいいのに、それはいつもなんともいえないもやもやによって阻まれてきた。

しかしそれがなぜなのか、最近ようやくわかった。
音楽とは聴覚に依拠するものだからだ。

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ゆらゆらり

ゆらゆらり

今年はよく熱を出した1年だった。

2月には家族全員でコロナにかかり、11月にはよく分からない風邪に負けて熱が出た。

そしていま、私はまた熱が出ている。

妹の机からこっそり失敬した「ねじの回転」を問題なく読めるくらいには元気なのだ。

午後からの授業も出るつもりだった。今日から授業で扱う小説が小川洋子の「余白の愛」にうつるのだし、私はこの小説をとても好きだと思ったから、授業も楽しみにしていたの

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コスモス色に頬を染めて

コスモス色に頬を染めて

空に浮かんでいる雲が秋のそれになり、風の温度とか匂いとかも、少し落ち着いて穏やかな、どこか涼しい感じになりつつある。

近ごろ、金木犀のさわやかで甘い香りが外の空気を満たしていて、かと思えば足元には真っ青な露草がちょこんとたたずんでいたり、コスモスが咲いて花畑のようになっていたり、秋ってなんて色彩がうつくしいのだろう。

そのうち銀杏の葉が黄色に染まるのが楽しみだ。1年のうち最も穏やかで深みのある

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