SDGsに関わる食品ロスが起きる原因とは|日本における現状の問題点
安いからとついつい買いすぎてしまった食材や作り過ぎて残してしまった料理などを、みなさんはどうしていますか?
日本で問題となっている食品ロスは、どうやら企業と生産者だけでなく、一般家庭からも多く排出されているようです・・・!
なぜ食品ロスが発生してしまうのでしょうか?
食品ロスの発生原因と合わせて、SDGsとの関係性も見ていきましょう。
■食品ロスってそもそもなに?
食品ロスとは、食べられるのに捨ててしまう食品のこと。
「もったいない」という気持ちを持っている方は多いはず。
しかし、日本で排出される年間の食品廃棄物2,550万トンのうち、4割を超える612万トンもの食品ロスが発生していて、一般家庭からは284万トンも出されています。
事業系食品ロス:328万トン
家庭系食品ロス:284万トン
この数値を現実的に表すと、国民1人当たりお茶碗一善分(132g)の食品が毎日捨てられているのとほぼ同程度!しかも、国連世界食糧計画による食糧支援量320万トンの約2倍の食べ物が捨てられていることになります。
事業と家庭では、なぜ多くの食品ロスが発生してしまうのでしょうか?
■事業系食品ロスが排出される原因
事業系食品ロスは、業種によって原因はさまざま。
例えば、農家では収穫した野菜が規格外であった場合は出荷されずに多くの農作物が捨てられてしまいます、レストランではお客さんの食べ残しによって食品ロスが発生してしまいます。
【事業系食品ロスが発生する主な理由】
・生産段階で過剰な量を生産してしまうため廃棄量も比例して多くなる。
・生鮮食品には外観品質に基準が設けられている。
・飲食店におけるお客さんの食べ残し。
上記のほか、3分の1ルールも食品ロスの原因に。
3分の1ルールは、食品の賞味期限が1/3を切る前に卸業者が小売店に納品するという商習慣のこと。賞味期限の1/3を切ってしまった食品は食品メーカーに返品されてしまうケースがほとんど。
食品メーカーは従業員販売やフードバンクへの提供などで、少しでも食品ロスを出さないように取り組んでいますが、多くは処分されてしまいます。
3分の1ルールはあくまで商習慣。
法律でしばれられているわけではありません。
農林水産省では、ルールの緩和に向けて影響力のある大手小売業からアプローチを実施、日本を代表する多くの企業がルールの緩和に同意。現在は地方の小売店へのアプローチを進めています。
【ルールの緩和に同意した主な企業】
・イオンリテール株式会社
・株式会社イトーヨーカ堂
・ユニー株式会社
・株式会社イズミ
・マックスバリュ8社
・株式会社サッポロドラッグストアー
・イオンビッグ株式会社
・株式会社セイコーマート
・ミニストップ株式会社
・株式会社セブン‐イレブン・ジャパン
・株式会社ファミリーマート
・株式会社ローソン
■家庭系食品ロスが排出される原因
家庭系食品ロスは、賞味期限切れした食品や作り過ぎた料理の廃棄によって多く出されています。
家庭系食品ロスを調査では、手つかずの食品が2割もあり、さらにそのうちの4分の1は賞味期限前にもかかわらず捨てられていることが判明。多くの自治体で食品ロス削減に向けた取り組みを呼び掛けています。
まずは賞味期限と消費期限の違いをチェックしてみましょう。
・賞味期限:開封せずにメーカーが推奨する保存方法で保存した場合に、「品質が変わることなく美味しく食べることができる期限」のこと。
・消費期限:開封せずにメーカーが推奨する保存方法で保存した場合に、「安全に食べることができる期限」のこと。
家庭で排出される食品ロスを削減するためには、「買い過ぎない」「使い切る」「食べ切る」を意識することが大切です。
食材を余すところなく使うことも食品ロスを減らすのに効果的!
日頃の料理を考えることで、野菜は皮のあたりに栄養が豊富にあるなどの食材のちょっとした知識が付いたり、献立を考えてから購入することで食費の節約に繋がったりするんですよ♬
消費者庁では、レシピサイトのクックパッドに食品ロスを防ぐためのレシピを公開しているのでチェックしてみるのもオススメです。
■SDGsと食品ロスの関係
2015年の国連で、社会問題の解消と持続可能な社会の実現を目指し採択されたSDGsは、2030年を期限とした国際目標です。
SDGsを構成している17個の目標を以下にまとめました★
【SDGs17目標一覧】
・目標1「貧困をなくそう」
・目標2「飢餓をゼロに」
・目標3「すべての人に健康と福祉を」
・目標4「質の高い教育をみんなに 」
・目標5「ジェンダー平等を実現しよう」
・目標6「安全な水とトイレを世界中に」
・目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
・目標8「働きがいも経済成長も」
・目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」
・目標10「人や国の不平等をなくそう」
・目標11「住み続けられるまちづくりを」
・目標12「つくる責任 つかう責任」
・目標13「気候変動に具体的な対策を」
・目標14「海の豊かさを守ろう」
・目標15「陸の豊かさも守ろう」
・目標16「平和と公正をすべての人に」
・目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」
世界では人口を賄うのに十分な食料(年間40億トン)が生産されていますが、そのうち約13億トンは食糧廃棄物に。また、多くの食糧を先進国が買い占めているため、食糧不足を生んでいます。
食糧自給率が37%と低い日本において、食品ロスが多いという現状は、世界全体で見ても大きなマイナスと言えます。
食品ロス問題として、もうひとつ知っておきたいのが環境への悪影響。
日本では食糧廃棄物を焼却処分していますが、海外の多くの国では埋め立てによる処理をしています。
埋め立てによる食糧廃棄物の処理は、温室効果ガスのひとつであるメタンを発生させてしまい地球温暖化の原因にもなってしまうため、地球環境にとっては好ましい処理方法とは言えません。
農林水産省では、食品ロス対策のための取り組みは、SDGsの目標2、4、8、9、12、13、17の達成に貢献するとしています。
なかでも目標12「つくる責任 つかう責任」のターゲット12.3には、「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる」としっかりと明記されているんですよ♬
SDGsによって、世界中で食品ロス削減への取り組みが実施されています。
■まとめ
食品ロスが発生する主な原因と合わせてSDGsとの関係をご紹介しました。
【今回ご紹介した内容】
・食品ロスとは食べられるのに捨ててしまう食品のこと
・事業系食品ロスの主な原因
・家庭系食品ロスの主な原因
・SDGsと食品ロスの関係について
食品ロスが飢餓や地球温暖化を悪化させる原因になっていたことに驚かれた方も多いのではないでしょうか?
飲食店では料理を食べ残さない、購入した食材をしっかりと食べきるなど、無理のない範囲でできることを意識して食品ロスを減らしていきましょう!
▼参考サイト
・SMART AGRI 農業とITの未来メディア|「食品ロス」の原因とは? 軽減に向けた日本と世界の取り組み
・SMART AGRI 農業とITの未来メディア|日本の「食料自給率」はなぜ低いのか? 食料自給率の問題点と真実
・ノハム SDGs(持続可能な開発目標)をもっと身近にするメディア|SDGs達成のために解決すべき食品ロスの現状とは?【日本編】
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