見出し画像

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」|私たちにできることとは

夏は海水浴、冬場は浜辺を散歩。
おいしい海の幸も魅力のひとつですよね♪

季節を問わず私たちを楽しませてくれる海が今危険な状況に!

今回は目標14「海の豊かさを守ろう」にスポットを当てて、海の現状や企業の取り組み事例、私たちにできることをご紹介します。今、海はどんな状況にあるのでしょうか?!

■SDGsとは2030年を期限とした国際目標

画像1

SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標、エスディージーズ)は、「誰一人取り残さない」ことを原則とした国際目標です。

それまでの国際目標であったMDGs(ミレニアム開発目標)が期限を迎えたことを受け、2015年に開催された国連サミット「持続可能な開発サミット」にて採択されました。

現代社会の問題解消を主な目的とするSDGsを構成するのは、17の目標と169のターゲットです。

2030年までに目標をクリアすることを目指し各国が取組んでいるんですよ♪

【SDGs17目標一覧】
・目標1「貧困をなくそう
・目標2「飢餓をゼロに
・目標3「すべての人に健康と福祉を
・目標4「質の高い教育をみんなに 
・目標5「ジェンダー平等を実現しよう」
・目標6「安全な水とトイレを世界中に」 
・目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
・目標8「働きがいも経済成長も」
・目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」
・目標10「人や国の不平等をなくそう」
・目標11「住み続けられるまちづくりを」
・目標12「つくる責任 つかう責任」
・目標13「気候変動に具体的な対策を」
・目標14「海の豊かさを守ろう」
・目標15「陸の豊かさも守ろう」
・目標16「平和と公正をすべての人に」
・目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」

ターゲットは目標毎に設定されていて、何を解決、実現することが目標達成に繋がるのかが明確にまとめられています。

■目標14「海の豊かさを守ろう」の内容とターゲット

画像2

目標14「海の豊かさを守ろう」は、”持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する”ことを目的とした目標です。

地球の7割を占めている海は、地球上の水の97%を蓄えています。

海は「生命の泉」とも呼ばれ、生物にとってなくてはならない存在ですよね。しかし、産業革命や環境破壊によってダメージを受け続けており、海洋環境が悪化の一途を辿っているのが現状です。

SDGsでは、どのような海洋環境を改善するために、どのような対策が必要だとしているのでしょうか?

【目標14のターゲット一覧】
14.1) 2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。

14.2) 2020年までに、海洋及び沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、強靱性(レジリエンス)の強化などによる持続的な管理と保護を行い、健全で生産的な海洋を実現するため、海洋及び沿岸の生態系の回復のための取組を行う。

14.3) あらゆるレベルでの科学的協力の促進などを通じて、海洋酸性化の影響を最小限化し、対処する。

14.4) 水産資源を、実現可能な最短期間で少なくとも各資源の生物学的特性によって定められる最大持続生産量のレベルまで回復させるため、2020年までに、漁獲を効果的に規制し、過剰漁業や違法・無報告・無規制(IUU)漁業及び破壊的な漁業慣行を終了し、科学的な管理計画を実施する。

14.5) 2020年までに、国内法及び国際法に則り、最大限入手可能な科学情報に基づいて、少なくとも沿岸域及び海域の10パーセントを保全する。

14.6) 開発途上国及び後発開発途上国に対する適切かつ効果的な、特別かつ異なる待遇が、世界貿易機関(WTO)漁業補助金交渉の不可分の要素であるべきことを認識した上で、2020年までに、過剰漁獲能力や過剰漁獲につながる漁業補助金を禁止し、違法・無報告・無規制(IUU)漁業につながる補助金を撤廃し、同様の新たな補助金の導入を抑制する。

14.7) 2030年までに、漁業、水産養殖及び観光の持続可能な管理などを通じ、小島嶼開発途上国及び後発開発途上国の海洋資源の持続的な利用による経済的便益を増大させる。

14.a) 海洋の健全性の改善と、開発途上国、特に小島嶼開発途上国および後発開発途上国の開発における海洋生物多様性の寄与向上のために、海洋技術の移転に関するユネスコ政府間海洋学委員会の基準・ガイドラインを勘案しつつ、科学的知識の増進、研究能力の向上、及び海洋技術の移転を行う。

14.b) 小規模・沿岸零細漁業者に対し、海洋資源及び市場へのアクセスを提供する。

14.c) 「我々の求める未来」のパラ158において想起されるとおり、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用のための法的枠組みを規定する海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)に反映されている国際法を実施することにより、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用を強化する。

海洋環境を改善することを前提に、海洋生物の保護や漁業者が生計を立てるための持続可能な漁業制度や環境を構築する必要があるとしています。

■目標14が必要な理由①「プラスチックごみ問題」

画像3

このnoteを読んで下さっている方の中には、ウミガメがエサと間違えてレジ袋を食べてしまう動画を見たことがある方もいるではないでしょうか?

海洋環境で今もっとも問題視されているのがプラスチックごみ問題!

海に漂う海洋プラスチックごみは年間800万トンとされており、世界経済フォーラム(WEF)の年次総会、通称「ダボス会議」で、2050年にはプラスチックごみの量が海の生物を上回るとの予測を発表して世界を驚かせました。

▼海洋ごみとマイクロプラスチックに 関する環境省の取組

海洋プラスチックごみは、海の中で削られ、5mm以下のマイクロプラスチックごみとなることが知られており、海洋生物が命を落としてしますほか、魚介類を餌とする陸地の動物や私たち人間に健康被害を及ぼします。

■目標14が必要な理由②「海洋生物の減少」

画像4

海洋生物の減少と聞いても、スーパーマーケットで多くの魚介類が売られていますし、お寿司屋さんでもたくさんのネタを頂くことができるので、なかなかピンッとは来ませんよね?

しかし、実はお刺身やお寿司でも人気のマグロは、2014年以降、IUCN(国際自然保護連合)が絶滅危惧種に指定していますし、水産庁は『平成28年度 我が国周辺水域の資源評価』にて、漁獲可能量制度の対象魚種のうち50魚種84系群が枯渇しているとの評価を発表しています。

▼平成28年度 我が国周辺水域の資源評価

■目標14が必要な理由③「違法・過剰漁業」

画像5

魚介類は、人を含めた多くの生物にとって貴重な食糧です。本来であれば、自然な生態系の循環により個体数は崩れませんが、漁業者による過剰・違法漁業によって循環が阻害され、生態系の数が減少してしまいます。

先進国では、「規格外」や「キズあり」などを理由に捨ててしまう分もあり、現在は世界で約33%の魚介類が余分に獲られているんだそう。

JAICAF(国際農林業協働協会)では、2016年現在の海洋資源を以下のように評価しています。

・十分利用している海の資源:58.1%
・魚を獲りすぎている海の資源:31.4%
・魚を獲る余裕がある海の資源:10.5%

(参照:JAICAF|要約版 世界漁業・養殖業白書2016年

海の環境と生物を保全し、未来に向かって海洋環境を残すためには、サスティナブルな漁業の仕組みを構築しなければなりません。また、合わせて適切に漁獲量を管理することで生じる漁業者の収入低下の可能性を考慮することも必要です。

最近では、サスティナブルシーフードというものも登場しました★これは、海洋環境や海洋生物のことを考慮して獲られた魚介類のこと。

▼サスティナブルシーフードについて

サスティナブルな取り組みをしている漁業者さんを応援したいですね!

■私たちができること①「マイアイテムを持ち歩く」

画像6

海洋プラスチックごみは、海水浴客が出したものだけではありません。実は、街中でポイ捨てされたり、ゴミ箱から零れ落ちてしまったりといったごみも、雨や風によって飛ばされ、川を下り海に流れ着いてしまいます。

そのためマイバッグやマイカトラリー、マイボトルの持参は大切!

なるべくプラスチックごみが出ないように心掛けるだけでも海の環境にとってはプラスとなります♬

もちろん、海に遊びに行った時のごみもキチンと捨てることを忘れずに★

■私たちができること②「サスティナブルシーフードを食べる」

画像7

サスティナブルシーフードは、『MSC認証』と『ASC認証』の2種類の認証マークが付与されているので、スーパーマーケットでも見分けがつきます♬それぞれの違いは、天然(MSC)か養殖(ASC)かの違いです。

とくに注目されているのはASC認証。

養殖は、近い将来に起こると懸念されている食糧不足を解消する上でも重要な役割を担っています。

現在では水産生産量の約半分が養殖になっているだとか!

しかし、育てている魚に大量の天然魚をエサとして与えたり、養殖場がそもそも自然環境にダメージを与えたりすることも。

ASC認証は、人や環境、社会にとってプラスとなる養殖場を認証しているため、消費者の手に届く魚介類は安心して頂くことができますよ♪日本では、現在67の養殖場がASC認証を受けています。

■企業の取り組み事例①「パナソニック」|サスティナブルシーフードを社員食堂で提供開始!

画像8

パナソニックでは、2018年3月から本社の社員食堂でサスティナブルシーフード・メニューの提供を開始しました。

テレ朝プラスに掲載されている社員インタビューによると、社員食堂のメニューで初めて海の危機的状況やサスティナブルシーフードを知ったという方もいるそうです。

社員食堂運営会社チーフは、普段は注文率が5~15%ほどの魚メニューが、サスティナブルシーフードに変更後30%に上がったと報告。

目標14への取り組みの一環として導入したサスティナブルシーフードによって、社員がSDGsを自分に関係のあることとして意識するようになるキッカケにもなったようです。

■企業の取り組み事例②「コーセー」|「SAVE the BLUE」プロジェクトの発展

画像9

コーセーは、地球温暖化によって危機的状況にある沖縄のサンゴ礁を守り、美しい海を次世代に残すことを目的とした「SAVE the BLUE」プロジェクトを2009年からスタート★

毎年夏のキャンペーンを実施しており、対象商品が購入されるごとに、その底面積分のサンゴを植えつける費用を沖縄の団体に寄付。

植えつけられたサンゴの定着も確認できていることが報告されています♬

SDGs採択後、2018年には「青い地球を守る活動」に発展させ、拠点を5つに増加。日本を含む10の国と地域でプロジェクトの規模を拡大させたほか、海だけでなく冬の期間の森林保全活動も開始し継続されています。

■目標14「海の豊かさを守ろう」まとめ

今回は、SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」についてご紹介しました。普段私たちが食べている魚介類が、実は危機的状況にあるということに驚いた方も多いのではないでしょうか?

【この記事でご紹介した内容】
・SDGsの内容と定められている17個の目標
・目標14の内容とターゲット
・海洋プラスチックごみの脅威について
・海洋生物の減少を食い止めよう!
・違法、過剰漁業
・マイアイテム持ち歩きのススメ
・サスティナブルシーフードを積極的に食べる
・パナソニックの取り組み事例
・コーセーの取り組み事例

目標14に貢献する行動は、マイバッグ・マイボトルといったマイアイテムを持ち歩いたり、サスティナブルシーフードを積極的に食べるようにしたりと、気軽に行動に移せるものが多いのも特徴です♬

みなさんも、ぜひ海のための行動を考えてみてください。

▼参考サイト
みらいい|SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」の現状と私たちにできること
KAYAKURA|SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」とは?現状・企業の取り組み・解決策などを解説
SDGs JOURNAL|SDGs|目標14 海の豊かさを守ろう|プラスチックの量が魚を超える?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?