【声劇台本】044「弱虫クーラー」
友達に恋人ができると、なんだか一人取り残された感じがしませんか?
今日は、愛されたいけど愛されない、そんな女子二人の青春ドラマです。
早速、どうぞ!
■人物
さおりちゃん(17)高校2年生。
ゆかちゃん(17)高校2年生。
■本編
さおりのMO「弱さをさらけ出せる人間は、誰かに抱きしめてもらえる。それができない私は誰にも抱きしめてもらえない。愛って難しい……」
ゆか「さおり! 報告があります!」
さおり「何?」
ゆか「私、彼氏できました!」
さおり「え? また?」
ゆか「またってなによ!」
さおり「だって、またはまたじゃん! ゆかの月替わり彼氏でカレンダーできちゃうよ」
ゆか「まあ、それだけ私が魅了的ってことだね!」
さおり「まあ魅力的ではあるけど……」
ゆか「ってか、さおりはなんで彼氏作らないの?」
さおり「え?」
ゆか「作ったことないよね?」
さおり「まあ……」
ゆか「なんで?」
さおり「ゆかが苦労しているの見てるから」
ゆか「えーっ。理由になってないよ。まさか、彼氏は作らない主義とか言わないよね?」
さおり「まさか!」
ゆか「じゃあ、なんで? 本当のとこ!」
さおり「そういう存在って、必要かな? 私、彼氏の存在意義がわからないんだよ」
ゆか「それを作らない主義って言うのです!」
さおり「とにかく。必要ないの!」
さおりのMO「そう言ってゆかを突っぱねてはみたけれど。本当は、作らないんじゃない、作れないのだ。私は他人に弱さを見せることができない」
さおり「ゆかはよく弱味とか人に見せられるよね」
ゆか「そう? 逆にそこを男子に好きになってもらうんだよ! 作戦作戦!」
さおり「へえ……」
ゆか「さおりもやってみればいいんだって」
さおり「ゆかみたいにはできないよ。ゆかが羨ましい。たくさんの人に愛されて」
ゆか「でも私、浅くて小さな愛はいらない! 深くて大きな愛が欲しい!」
さおり「大きな愛?」
ゆか「なかなか見つからないんだよね。本当の愛ってやつ」
さおり「そうなんだ……」
ゆか「さおりも恋すればわかるよ」
さおりのMO「それは、私には無理な話だ。クーラーの冷たい風に当たりながら。やっぱり愛って難しいと私は思った」
(おしまい)
今後の執筆と制作の糧にしてまいりたいと思います。