人事トラブル相談所⑰「2代目社長の会社で部長たちから未払賃金請求がきた!~愛情も結婚も役職も金で買う時代でしょ?~」
先代の社長が立ち上げた「関東のスーパーマーケット」を受け継ぎ・・・
精肉店にルーツがあるため、お店の売りは「肉の品揃え」で・・・
「一般男性」というブランド枠を最大限ステルスで活用し・・・
「3代目の芸能人」と交際期間が絶対ダブっていたけど・・・
元カノも女子アナだし「女子アナ大好き路線」で結婚を決めた・・
「2代目社長」をちょっと尊敬してる、プラダを着た悪魔の人事です。
今回はそんな話題の「2代目社長」から相談を受けました。
未払賃金の請求
加藤パンなちゃんとの結婚報告かと思って電話に出たら・・・
随分鼻息を荒くしていたので、女性関係で個人「メドレー」をやっていた社長みたいに、もう文春に撃たれたのかな?と・・・思ったのですが・・・
どうも話を聞くと部長たち3人から、突然・・・
「過去2年分の残業代 合計2,000万円 を払ってください」
と、言われたそうです・・・。
いわゆる「名ばかり管理職」問題でしょうか?
「来月より管理職だから、残業代出ないよー!」ってやつですかね。。
とりあえず、今噂の2代目社長にヒアリングをしてみました・・・。
部長たちの言い分
2代目社長が言うには、部長らの言い分は下記のとおりだそうです。
どうも課長の有田、上田、福田にそそのかされていたようですが・・。
名倉部長(1人目)の言い分
自分は2年前から仕入担当の部長になりました。
給与は月額70万円の年俸制で、部下は数名おります。
朝はゆっくりと出勤ができるなど、そのあたりの裁量はあったと思います。
ただ、仕入れる商品の発注については、都度2代目社長の承諾を得ないとできない仕組みになっていたのと、部下やアルバイトの採用をする際にも全て2代目社長の判断で採用可否が決まっており、現場への介入レベルがちょっと大きすぎるな・・・と思っていました。
2代目社長には、女子アナやアイドルが参加する合コンにも呼んでいただき、そこで出会った「アイドルと結婚」し、大変感謝はしているのですが、2年前からずっと長時間残業が続いており、毎日終電で帰っていたことを考えると、ここはきちんと請求をさせていただこうと考えたしだいです。
原田部長(2人目)の言い分
自分は2年前から、店舗開発担当の部長になりました。
給与は月額65万円の年俸制で、部下は10人程度おります。
新規店舗進出に伴う、土地の仕入れや店舗設計、備品発注などいろいろと裁量があり、この仕事にやりがいを感じております。
2代目社長がサウナ好きということもあり、サウナを舞台にしたドラマにも特別出演をさせていただくなど、いろいろと業界関係者とコネクションがある社長には大変感謝しております。
ただ、1点他の部長と比べても毎日出勤時間も他の社員と同様で残業の命令や夜の会議など、社長命令でずっと残るなど恒常的な長時間労働が続いておりました。
休みを多くとりたいとか、そういう気持ちではないのですが・・・
「曲がったことが大嫌い」という性格なもので・・・
もう少し勤怠については、管理されずにある程度自由にさせてもらいたかった・・・という感じです。
堀内部長(3人目)の言い分
自分は2年前から、品質管理担当の部長になりました。
主に仕入れ商品の衛生面などを中心に商品の品質管理や消費者対応などを対応させてもらっております。
スーパーマーケットもここ最近で60店舗くらいになったため、色々なお問い合わせをいただくこともあり、部下も30名を超えており、組織としても大きな部門で非常にやりがいがあります。
年間を通して忙しいのですが、朝・夜は自身の都合にあわせて出勤・帰社できており、趣味の「パラグライダー」もできているので毎日が楽しいです。
ただし、気になる部分について・・・
月額給与が45万円+賞与となっており、賞与は年間1ヶ月程度のため、実質600万円手前の年収になります。
この前たまたま、税金に詳しい部下の徳井君が「賞与を入れると年収が600万を超えるくらい」と話していたのを聞いてしまったのです。
管理職としてきちんと仕事をやっているつもりでしたが、労働時間も部下より多いのに、結果的に年収が下回るのはどうも納得がいきませんので、今回お話をさせて頂きました。
管理職=管理監督者???
どこかで聞いたことのある名前ばかりの部長で、徳井君が税金について正しく理解出来ていたのかは知る余地もありませんが・・・
世の中って多いですよね・・・「管理職」という人。
改めてですが2代目社長には、「管理職 ≠ 管理監督者」は理解をしてもらいましょう。
いわゆる法律上の管理監督者と各企業でいう管理職は、似て非なるもの。
企業の中の「管理職」って、いわば対外的によく見せるため呼称として存在しているものも圧倒的に多いです。
たとえばですが・・・
「◎◎マネージャー」「担当部長」「◎◎責任者」
のような感じですね。
世間で思われてるより法律上の「管理監督者」ってもっと狭い領域になると考えられます。(下記イメージ図参照)
「管理職」を「管理監督者」にしてしまい、結果的に「名ばかり管理職」という問題につながり、後から未払賃金を請求されるという結末です。
各部長の意見について考察
名倉、原田、堀内の部長3名の言い分を「管理監督者」の要件に即して考えると・・・下記のようなイメージになりますね。
(1)重要な職務内容、責任および権限がある (名倉部長の言い分) → 企業経営に関する重要な権限や責任を有しているか
(2)勤務態様の裁量性がある (原田部長の言い分)
→ 出退勤の管理を受けていないか、遅刻、早退などで賃金減額されていないか
(3)給与につき、その地位にふさわしい処遇がある(堀内部長の言い分)
→ 一般労働者と比較して給与、賞与などが優遇されているか
というわけで・・・
1つだけでなく、すべての要件を客観的に具備している必要があります。
上記の言い分のみですべてを判断されるものではないですが、どの企業にもあり得る内容としております。
過去にも「マクドナルド」や「コナミスポーツ」などで「管理監督者」についての裁判や未払賃金請求がありましたね。
大企業はもとより、中小企業の方が刺される可能性は高いですよ。
一説によれば、本気で労働者が戦ったら・・・
日本の管理職の80%は管理監督者性を否認される。
というものもありますからね。
管理監督者とは、上記の諸要件を充足した場合に適用され、役職名や呼称により判断するものではありませんのでご注意ください。
法律が大好きな「実態にあわせて判断する」というやつです。
(2代目社長は外見で判断しているようにも見えますが・・・)
管理監督者問題は、チャイニーズエステの摘発に似てません?!
外見:管理監督者 実態:一般社員(→この両者の隙間で未払賃金発生)
外見:エステ店 実態:風俗店 (→この両者の隙間で風営法違反)
と、こんなところで今日はおしまい。
お堅い先生たちが判例ばかり引用して書くような内容を如何にくだいて身近な問題として見れるか・・・という視点で書いてみました(∩´∀`)
でもね、事業会社にいると・・・
「名ばかり管理職」として、しかるべきお金をもらってなくて仕事をしている人はまだいいんですよ・・・仕事頑張っているので。。
「名だけのバカ管理職」の方が困るんですよね・・・
ポンコツのくせに、その名のとおりバカな管理職で・・・
無駄に高給取りになっている人たちですよ。。( ゚Д゚)( ゚Д゚)
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