96|たまに書き物をする蠍。セクシャルはシス・ヘテロ、もしくはクエスチョニング。性的指…

96|たまに書き物をする蠍。セクシャルはシス・ヘテロ、もしくはクエスチョニング。性的指向はアロマンティック・ アセクシャル/サピオセクシャル。|本と映画の感想散文も|今年の目標は「服を捨てる」「人に会う」「健やかである」

マガジン

  • 悩ましきかな人生

    価値観や生活、人間関係、エトセトラエトセトラ。 広大すぎる「人生」についてツラツラ綴っています

  • 本と映画の感想散文

    本や映画の感想を記録することにしました。基本的にネタバレしていますのでご注意を。

  • Aro/アロマンティックの恋愛と結婚

    アロマンティックを自認する私のセクシャルと、それにまつわる恋愛・結婚のアレコレについて。

最近の記事

「今年で28歳です」と言わない年にしたい

年齢を聞かれると、なぜか「今年で27歳です」と答えてしまっていた26歳の私。おかげで、実際に27歳になった頃にはもう「28歳」の気持ちでいる。私の26歳はいったいどこへ行ったんだ。 年齢は時になにかを測るには持ってこいの定規になる。結婚・出産なんて分かりやすい例だ。「そろそろ結婚適齢期」なんて、もはや死語ではなかろうかというワードが、年齢の話をすれば自然としゃしゃり出てくる。なんとなく、それを許す空気がある。 しかし、「今年で27歳です」という顔をした大人の私には、それら

    • 父母へ 結婚しない私より

      地元は結婚・出産ラッシュ。父母が結婚し私を産んだ歳は当に過ぎた。 私を想ってなにも言わないあなたたちも、きっと思うことが増えてきたことでしょう。 これでも大変申し訳ないと思っているのです。 大学へ行かせてくれ、留学までさせてくれ、国の権威にも選出され、果ては大手企業か国家公務員かと好き勝手言う親戚をよそ目に、地方のベンチャー企業に就職したこと。 そのときも、やはりあなた達はなにも言わず、ただ私の門出を祝福し、「好きにしなさい」とだけ。でも知ってます。近所の口さがない世

      • 奢られてきた私は割り勘派

        男性と出かけたとき、「割り勘」というものをしたことがない。 私は九州生まれ九州育ち。いわゆる「九州男児」がいる環境で幼少期から大学生時代を送った。だからなのか、たまたまなのか、もしくは私の態度がなにか問題があったのか。 これは恋人だけじゃない。友人としての長い付き合いで、「私達ナイよね」と互いのポジションを明確に確認し合っている男友達ですら、「割り勘」ではないのだ。 さすがに全額支払ってもらうことはないものの、食事へ行けば、男性側が千円札を多めに出すとか、食事は割り勘で

        • 幼馴染の出産に、私は人生の価値を問う

          私はこの人生において、基本的に出産しないつもりでいる。自分の子とは言え、十月十日のあいだ精神と身体を他人に明け渡すなんて考えられない。 自分自身の出産に対する希望の有無がはっきりしているので、幸い妊娠・出産に対する妬み嫉みはない。だから、大丈夫だろうと、だれかの幸せを一点の曇りなく祝えると信じていた。 幼馴染が出産した。彼女は、地元を出るまで人生のほとんどを共に過ごしてきた、友人とはまた違う、「幼馴染」としか表現できない大切な存在。彼女の母としての新たな門出と、愛おしく輝

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        • 本と映画の感想散文
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        • Aro/アロマンティックの恋愛と結婚
          13本

        記事

          30代バイト勤務・恋人ナシ・年収200万ぽっちの幸せな生活

          偶然に偶然が重なり、ひょんなことから6年ぶりに年上の友人に会うことになった。 手にしたのは週4日労働・17時帰宅 彼女は以前から軽やかなひとだった。大学を卒業した直後に単身でオーストラリアへ移住して会社を立ち上げてしまうくらいにはパワーもあり余っていた。知らない土地で、母国語以外で、経営をしながら、ひとり生活をやり繰りする。びゅんびゅん風を吹かせ、人を巻き込んで、彼女や彼女の周りはいつも楽し気だった。 それが、コロナを機に帰国し、しばらく実家で過ごしたあとに、今は地方で

          ¥100

          30代バイト勤務・恋人ナシ・年収200万ぽっちの幸せな生活

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          「魔の25歳」を抜けた26歳独身が、結婚について思うこと

          両親の25歳と私が描いた25歳、そして現実の25歳。 結婚について、一番身近なのは両親だと思う。 私の両親は小中学校を同じ場所で過ごし、19歳で付き合い、22歳で結婚、25歳で私を産んだ。”とんとん拍子”とは彼らのための言葉なんじゃないか。そう思えるほど、順風満帆。実際のところは知らないけれど。 だからなのか、私が結婚について未来予想図を描くときも、なんだかんだでスムーズに事が進むと思っていた。 大学もあるし22歳で結婚は早すぎるけど、25歳にはきっと結婚するか、もし

          「魔の25歳」を抜けた26歳独身が、結婚について思うこと

          感想散文 #2 漫画『三日月とネコ』

          「この本は壁に投げつけたりくちゃくちゃに丸めたり~にも使えます。」 そんな後書きがあったものだから、思わず抱きしめるように買ってしまった。私には珍しく漫画4巻、つまり全巻まとめ買い。 抱きしめて帰ったものの、結局抱きしめられたのは私だった。 そこにあるのは理想。信頼し尊重し合える人間との共同生活。舞台が勝手知ったる九州・熊本だということも個人的には楽しかった。地名や風景に「あらあそこね」とにこにこしてしまう。 物語は、主人公・灯(40代)を中心に、震災やセクシャリティ

          感想散文 #2 漫画『三日月とネコ』

          感想散文 #1 映画『土を喰らう十二ヵ月』

          2023年、映画初めにふさわしい1本だった。 信州長野の山あいに佇む古民家に、ひとりと一匹で暮らすツトム。彼の家と周辺の山里ほかに登場する場所はなく、ただつつがなく進む彼の生活を、二十四節季ごとに綴っていく。 音 まず、音が良い。 雪をぎゅっと踏みしめる音、山のなかで葉と葉がこすれあう音、台所の冷や水(温度感は映画では分からないけど絶対あの山から引いている水は冷たい)で野菜を洗う音。知っているけれど聞き落としがちな音が、丁寧に丁寧に拾い集められている。 食 人里離

          感想散文 #1 映画『土を喰らう十二ヵ月』

          アロマンティックの私とこれからに向き合う ~できれば誰かと手を繋ぎたい

          「アロマンティック」という概念に出会ってから2年が経ち、さらにこの1年間でいろいろと気づくこともあったので、年末にかこつけて振り返りつつ素直な心境をまとめたい。かなり超大作になってしまったので読む際は飛ばし飛ばしでどうぞ。 アロマンティックにたどり着くまでとその心境は以前つらつらと書いたので、ここでは省略。 第一の選択は、他人と共に生きるか、独身街道を爆走するか。 恋愛以外の方法で信頼関係を結んだ他人と人生を共に歩む、又は独身街道をこのままひた走る。アロマを知ったとき、

          アロマンティックの私とこれからに向き合う ~できれば誰かと手を繋ぎたい

          いつも異性との距離感を間違えるのだけど

          全くどうしたものか、私はまた同じ間違いを犯そうとしていると気づいて、立ち止まったのは昨夜のこと。私はどうも他人との距離感を、とりわけ異性との距離感を間違える。 私の世界にはふたつしか箱がない。すなわち「大切な人」と「興味のない人」。「大切な人」に分類された人は、当然分け隔てなく接する。世間一般で言えば家族のような感情に近いと思う。ちなみに、「興味のない人」はただの有象無象(たまにしゃべる)である。 「大切な人」の分類に対する態度は非常に親密だ。もっと具体的に言えば、ふたり

          いつも異性との距離感を間違えるのだけど

          子宮内膜症と診断され、女性をやめたくなった

          原因不明の微熱が数日続き、仕事を休んで内科を3軒回った。コロナの疑いがある発熱者は車内でのPCR検査のみで病院に入れない。医師とまともに話すこともできないまま、ただの風邪だと診断された私は、そのまま家で倒れた。 ちょうど手元にスマホはなかった。一人暮らしなので助けてくれる人もいない。救急車…と朦朧としながら考えるも、冬なのに滝のように流れる汗、全身の震え、お腹の痛みで動けなくなり、そのまま意識を失った。 * 受診先は、内科ではなく婦人科が正解だったと分かったのは翌日。ま

          子宮内膜症と診断され、女性をやめたくなった

          友人の結婚と出産を、私はいつまで喜べるだろう

          私にとって結婚や出産はそれほど重要ではない。 そうは思っていても、世の中には結婚式のキラキラ広告や幸せいっぱいな子供のいる家族像が溢れている。とうとう私のインスタにも、結婚式場の広告が入るようになり、やはり一般的にターゲットとされる年齢になったのだと実感する。 「多様性」という言葉が闊歩するようになったところで、目や耳に否が応でもでも入ってくる情報というのは、どうしたってマジョリティに基づいていて、それらは(特に20代~30代の女性に対して)幸せな家庭像に集約しがちだ。

          友人の結婚と出産を、私はいつまで喜べるだろう

          アロマンティックの"結婚"について -NHK夜ドラマ「恋せぬふたり」-

          NHK夜ドラマ「恋せぬふたり」をみて、アロマの私が思ったことを書き綴る。※ドラマ感想ではありません 私はアロマンティックを自認している。 アロマだとわかったのはここ最近。これまで"恋愛フラグ"が分からなかったり、距離感を間違えたりして、傷つけてしまった人たちにとても申し訳ないと思いつつ、ずっと感じていた世間との微妙なズレはこれか!と大いに納得した。感動すらした。 でも、そこが始まりだった。 恋愛感情がないというのは、例えだれかに恋愛的好意を持ってもらえても応えられない

          アロマンティックの"結婚"について -NHK夜ドラマ「恋せぬふたり」-

          「恋せぬふたり」をみて思い出した、私の”あるとき”

          あるとき、友人宅に泊まりに行った。学生来の付き合いで、私の気の置けない友人のひとりだった。 結婚・出産の話になった。私は買ってきたいつもより少しお高めのビールを開けながら「出産したくないし、したい気持ちもあまり分からない」と言った。すると、生物学上おかしいと全否定された。いろんな方面から私の考えを“正そう”とする話のあとに「いつかそういう人に出会えたら分かるよ」と言われた。翌日、私はなんとなく足早に彼女の家を出た。 * あるとき、会社の上司からプレゼントをもらった。食器

          「恋せぬふたり」をみて思い出した、私の”あるとき”

          「どこにいても愛してるよ」と言われたので一人でいる決意ができた

          2021年は私にとっては珍しく、恋愛、もとい人間関係に対する考え方において激動に1年だった。ことの発端は、夏。これから長い時間を共に過ごすだろうと(勝手に)思っていた人が私のもとを去ったから。 この出来事に、私はかなりのダメージを受けた。身勝手で、我儘で、相手を慮りもしないくせに優しさに甘えて、そういう自分自身を認めては、激しく自己嫌悪する。ことあるごとに不正解を選んできたように思えて、これまでの楽しい時間すら振り返るのが辛くなる。 これじゃあ駄目だと私はマッチングアプリ

          「どこにいても愛してるよ」と言われたので一人でいる決意ができた

          アロマに恋人ができるまで

          マッチングアプリで実際に会ってみた人のことを徒然なるままに書き留めようと思う。脚色なしのオールノンフィクションでお届けする。 1.まずはマッチング ひとり目は同い年の大学院生だった。 マッチングアプリをしたことのある女性なら分かると思うけれど、初めは「私って実はモテるんじゃない?」とバカな勘違いをうっかりしそうになるくらいにイイネがくる。特に登録初期は恐らく優先的に男性側の画面に表示されるような仕組みになっているのだろう、イイネの嵐だ。彼はその中のひとりだった。 顔写

          アロマに恋人ができるまで