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なぜカロリー制限で痩せられないのか

30代と40代の女性を対象に、毎日片手に山盛りのウォルナッツ(くるみ)(約300カロリー)を普段の食事にプラスして、30日後に測定するという研究が対象者4,000人をもとに行われた。

普段の食生活はそのままにしての結果、ウォルナッツを足したのに、体重が増えたものはいなかった。しかも体重が減った人が約20%いた。これは何もウォルナッツ協会が支援しているような調査ではない。

普通なら毎日300カロリー増えた分だけ、体重に反映すると考えられそうだけれど、数学みたいに1 +1 =2 にならないところが面白い。人の体は数学ではなく、化学的に作用するのだ。

カロリーにとらわれすぎて失敗することは多々ある。例えばシンプルカーブと呼ばれる白米やパスタ、うどんや精製パンは、ステーキよりもカロリーが低いものの、食べた直後に血糖値を急激に上げるため、身体にさまざまな影響を与える。

ローラーコースターのように上がって下がる血糖値は、インスリン対抗性を連続的に上げ、体をだるくさせ、頭をにぶらせ、そしてもっとひどいのは、またすぐにお腹がすいて、食欲が治まらなくなる

さらに言えばこのインスリン対抗性は、細胞のパワー発電所であるミトコンドリアを弱化させ、糖尿病や心臓病、アルツハイマーや癌につながる大変重要なメタボリックシンドロームの根源と深く結びついている。

カロリー制限で体重が減っていくのはごく最初のうちだけで、しばらくすると、体重は変わらなくなる。あるいは元に戻ってさえしまう。これは身体の代謝が、少ないカロリーでも生存維持できるようなメカニズムに切り替わっていくためで、少ない食料でも万遍に食べていると(ファスティングするのではなく)代謝効率を変えて現状維持しようとする身体の働きによるものだ。

食事量を制限することで、体がだるくて、エクササイズも続かなくなる。そしていつもお腹を空かせて、体重は相変わらずのままになってしまうという悲劇がおこる。

それではどうしたらいいのか。食後血糖値を急激に上昇させる、シンプルカーブと加工された食品を避けることだ。

白米やパスタ、うどんやパンは、インスリン対抗性を連続的に悪化させる。そして加工食品には驚くほど多くのオメガ6の油や、人口甘味料が使われている。

二つ目は繊維質。海藻や野菜、キノコ類を多く食べること。そして三つ目はオイル。カロリーが高いからといって避けるのではなく、サバやサーモン、イワシから摂取する。オメガ6の多い植物油(コーン油、ヴェジタブルオイルなど)は避けて、上質のオリーブ油とあまに油を摂るようにする。

ファーストフードや缶ジュースなど、エンプティ(空白の)カロリーと呼ばれるものは厳禁。糖質が高く(しかも砂糖よりももっとひどい甘味料が使われていることが多い)血糖値をスパイクさせる。

食事の内容を変えると、これまでの偏った食生活によって歪められた身体が、リプロミングされて、すべてのホルモンや細胞内の重要な因子が活性化される。長寿因子のスイッチが『入る』に切り替わり、IGF-1などのホルモンが抑制される。

繊維質の多い、またはオメガ3の多く含まれた食事を腹八分目(年齢が高くなるにつれて、腹七分、腹六分)にする。そしてできれば一日に一食か二食に制限して、こまめに体を動かすこと。実際に行動してみれば、それはいたってシンプルだ。

最後に、カロリー制限が全く無駄かと言うとそうではない。マウスの実験によると、カロリーを20%少なく与えられたマウスはそうでないマウスに比べて30%長く生きるという研究結果が出ている

マウスと人間はもちろん同じにできないけれど、この研究結果が長寿研究の一つの鍵になることは間違いない。






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