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「玄米菜食」より最強なもの

長期でエジプトに滞在していると、玄米が手に入らない。ニューヨークに住んでいると、健康フェチのアメリカ人が多いせいで結構、手軽入手できる。ニューヨーカーは、マクロバイオティックスにも関心が高い。しかし、エジプトだとそうはいかない。

エジプトの伝統的な朝ごはんは、フールとファラフェル。どちらもヴィーガンで、栄養価が高いことは知っていたが、さて玄米と比べてどうなのだろうと調べてみた。

中東のソウルフードとして、ファラフェルは日本でもよく知られるようになってきたが、「フール」はどうだろう。

日本語ではそら豆。英語ではFava Beans。新鮮なものは鮮やかなグリーンだが、乾燥させて売っているものは茶色。枝豆の大豆と、乾燥大豆の違いのようなものだ。

この乾燥させたそら豆を一晩水に浸しておいて、翌朝圧力釜で煮る。
とは言っても、エジプトでは町中にフールとファラフェルを売っているストアがあって、しかも非常に安価だ。

スノッブなエジプト人は、フールとファラフェルは貧しい人の食べ物、と言い捨てて見向きもしないけれど、やはり国民的なソウルフードであることに違いない。

柔らかく炊き上げた乾燥そら豆にオリーブオイルとレモンをたっぷりかけて食べる。トマトやパセリの刻んだものを色に添えて、ピタパンと一緒に食べる。

エジプトの国民的朝ごはん、フール

「玄米菜食」より最強なもの


さてその栄養価には目を見張るものがある。筆者はこれまでずっと玄米支持派で、「玄米菜食」が最強だと思ってきたのだけれど、フールを見直す機会になったので、ここでシェアしたい。

100グラム中の玄米とそら豆を比べてみた場合、食物繊維ではそら豆は玄米の5倍、カルシウムは12倍、鉄分は3倍、そして、がんを 予防する 物質 として 研究され ている ビタミンb複合体 。 「 folic acid ( 葉酸 )」は、16倍もある。

下の図では、マグネシウムや亜鉛などのミネラルの比較がなされている。
左側がそら豆で、右側が玄米だ。


ビタミンの比較でも目を見張るものがある。食物からは摂取しにくいとされるビタメインKや、上記で述べた抗癌効果の高い葉酸が、そら豆には多く含まれている。

ちなみに、玄米ではなく、白米と比べてみるとどうか。
栄養価だけでみると、もう話しにならないという感じだ。

農薬の影響はどうか


さらにもう一つ。玄米の場合は、米の殻ごといただくので、そこに含まれる農薬はどうかということになる。無農薬の玄米が簡単に入手できるなら良いけれど、スーパーで買うにはちょっと心配な点もある。

そら豆は頑強なサヤに包まれているので、農薬は中まで浸透しにくいということを聞いたことがある。あるいは水で薄めた酢をスプレーするだけで、害虫を退治することができるらしいので、それなら農薬の心配もないだろう。


もちろん、食べる楽しみは栄養だけではないので、こんな栄養価の数字は無視して、食べたいものを食べるという方法もある。

ただそら豆の食感には、ふくよかな、癒されるものがある。
ふわっと口の中に広がる、太陽のめぐみのようなもの。

今回はそら豆の勝ちとしたい。



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