CI(コーポレートアイデンティティ)その2 CIの本当の役割:利益を得て人に喜ばれるためには

前回はCIの構成要素について記しました。これはCIを行ううえで、最初から考えなければならない、基本的な視点であり、絶対に守らなければならない基本です。これについては、前回の記事でご理解頂けたと思います。
今回はもう少し進んで、CIの開発について記したいと思います。

・CIの開発計画
CIの開発計画は、①企業の理念開発と②デザイン開発の2段階に別れます。僕がCI開発を行う時は、①の理念開発を担当し、その結果や付随する情報を、契約しているデザイン会社に伝えて②のデザイン開発を行います。そこでここでは、①の理念開発について説明しようと思います。

理念開発は以下のものを開発します。
・コーポレート・フィロソフィ
・コーポレート・ステートメント
・コーポレート・スローガン
・コーポレート・メッセージ

コーポレート・フィロソフィは経営理念、企業理念と言われるものです。これについては以前記しましたので、説明を省略しますが、だいたい3ヶ月。6回で策定をお手伝いします。
次にコーポレート・ステートメントですが、状況によって順序を変えます。僕が受ける以来の場合、会社の何らかの問題を解決したいという場合が多いので、コーポレート・スローガンが先になることがあります。
コーポレート・ステートメントは、企業が考える価値や経営理念を策定した背景、将来に向けての方針、伝えたい思いなどです。大企業のホームページを見て頂ければわかりますが、かなり長い文章を掲載しているものも少なくありません。
コーポレート・スローガンは、日本語では社是と言います。簡単に言えば、その会社で働く人が、常に心がけるべきスローガンやモットーだと考えて下さい。
最後にコーポレート・メッセージです。実はこれを理念だと勘違いしている事例がとても多いです。簡単に言えば、大企業のテレビコマーシャルなどで、常に流れる消費者に向けたコピーです。

これらは全て役割が異なります。しかし全てを策定する必要はありません。コーポレート・スローガンとコーポレート・メッセージが同じ企業もありますし、理念も同じ企業もあります。
それで機能するのであれば問題ありません。しかしこの機械ですから是非社会的評価の高い企業のホームページを参考にして下さい。これらはちゃんと分類して掲載されています。

また、これらを会社全体に浸透させるにはCI教育が必要になります。これは継続的なワークショップやケーススタディで行います。
こうした概念の策定から浸透教育の流れ全てをCIと呼びます。

例を挙げましょう。これは残念ながらうまくいかなかった事例です。
とある自動車とオートバイの販売会社を訪問した時です。僕は会社の問題からいくつかの提案を用意していました。しかしこの会社では実現できないと思いました。
この経営者さんは、毎年ご自分で方針の文章を考えておられましたが、単なるキャッチコピーで、正直に言って意味が解りません。また顧客満足に対しても、個人的な体験に基づく感情で、共通の価値観として説明できるものではありませんでした。
この仕事では、専務さんから提案をしっかり見せてほしいと言われましたが、経営者の方は見向きもせず、早々に諦めました。

ちなみに今、この会社は社員さんの離職に苦しんでいるそうです。

CIは見た目ではなく、組織と品格をかくりつすることで、品質を高める行為であると理解してください。

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