見出し画像

[小児科医ママが解説] 胃腸炎のあと、いつから登園できる?

全国的に流行している、感染性胃腸炎。
急にお子さんが吐くと、本当に焦るし、吐物の処理も大変ですよね…

治ってきたかな?と思ったら、今度は「いつから登園できるんだ?」問題が出てきます。

厚生労働省は、ウイルス性胃腸炎の登園目安として

「嘔吐、下痢等の症状が治まり、 普段の食事がとれること」

厚生労働省「保育所における感染症対策ガイドライン (2018 年改訂版)

と発表しています。

ただ「下痢がダラダラあるけど、もう元気なんだけど…登園させちゃだめ?」みたいなケースも多くありますよね。

ということで、もうちょっと現実的な「登園の目安」をお示しします!


1.発熱なし。嘔吐なし。

38度以上の発熱がなく、24時間すごせた。
吐かずに、24時間すごせた。

これはマストです。さらにいえば、

解熱剤を飲んでいない
吐き気止めを飲んでいない

という状況で、ですね。

2.下痢…は完全に回復しなくてもOKな場合も。

一番判断がむずかしいのが、下痢かと思います。
胃腸炎の経過として、

嘔吐する
→ 下痢がでてくる
→ 嘔吐は治ってきた
→ 下痢だけ、だらだら続く…

という場合も多いです。

下痢がいつまで続くかは、ウイルスによっても異なるので、一概にはいえません。

またロタウイルスやノロウイルスも「数日で治る」という記載がよくありますが、これは下痢が完全になくなるというわけではなく、
嘔吐がおさまる、というニュアンスで使われている印象です。

実際のケースでは、下痢が1週間以上つづくことはザラにありますし、
場合によっては2〜3週間かけて少しずつ治っていく
、ということもあります。

でもだいたい、お子さんは数日すると、全身状態としてはすごく良く、元気なんですよね。
親御さんの仕事の都合で、2〜3週間も休んでなんかいられない!という現実的な事情もあると思います。

外来では、下痢が完全に回復していなくても、

お子さんが排便のたびに不機嫌になる・泣く 
オムツから漏れるほどの下痢が、1日複数回ある

というのに当てはまらなければ、登園許可書をお書きすることもあります。

※胃腸炎に登園許可書が必要かどうかは、園によって異なります。園の先生にご確認ください。
下痢をどこまで許容するかも、園によって方針が異なります。上記はあくまで一医師の対応としてお受け止めください。

3.食事は普段の60〜70%くらい


冒頭の厚労省ガイドラインでは「普段の食事がとれること」とありますが、
具体的な量については記載がありません。

まずは、お粥などではなく、普段とっている硬さのご飯や、
他のおかずなどが食べられることにこしたことはありません。
園で出ているような食事内容が食べられるか、ということですね。

食事の量については、これは医学的な決まった見解はありませんが、
だいたい普段の60〜70%の量が食べられれば、十分かと思います。

胃腸炎のあと、すぐに食欲が改善するお子さんもいますが、
だいたいは1〜2週間くらいかけて、食事量が少しずつ回復していくケースが多いです。

もちろん食欲が完全に戻るまで、園をお休みできる環境なら良いですが、
親御さんのお仕事があると、なかなか難しい場合もあると思います。
また、集団でみんなで食べるほうが、食欲が出るというお子さんもいらっしゃいますよね。

感染力の高いウイルスが多いため、どんなに気をつけていても、胃腸炎にかかってしまう時はやってきます。
胃腸炎のあと、お子さんが登園できる一つの目安として、参考になれば幸いです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?