立ち止まることは 弱さじゃない
現在、美容院で働く新人スタッフの皆さんが
カウンセリングルームに多く訪れている。
相談内容は様々だが
今年度の新人さんに対して
「特徴的なこと」を感じている。
身体的反応として
寝れない・食べれない・吐き気やお腹をこわす
このような状態になり
職場でめまいやふらつきがあり
顔色も悪くなり身体もだるくなる。
心の反応として
やる気はあるのに
身体がついていかない・・・
何もポジティブに考えられなくなり
このまま仕事を続けられるか?の
不安が心を大きく支配し始める。
よく考えてみたら
このような状態でポジティブに前向きに
考えられるような精神状態が作れるはずがない。
ネガティブな自分が
弱くて、ダメな自分のように
甘えてるんじゃないか?って
自分を責めてしまうかもしれないが
美容院の中で朝から働き
慣れないお客様と緊張しながら話し
まだまだ未熟な技術を鍛錬し
トレーニングまでしている。
それなのに、ご飯が食べれていない。
食事を摂れていないんだ・・・。
こんな状態を続けていて
「力」が出てくるはずがない。
身体は、飢餓状態になっていくのは
当たり前だし、体重が減るのも
こんな生活をしていたら当たり前。
「美容院で働いたら体重が減った」
「仕事がきつくてストレスで痩せた」
・・・そうじゃない。
食べてないから体重が減ったんだ。
ただ、食べ物を摂取していないから痩せたんだ。
原因は、食べてないこと
結果は、痩せたこと。
精神的なことを複雑に絡ませてしまったら
根本的な問題が自分の中で
どんどん複雑化していってしまう。
吐き気がするから食べなくなったのか?
食べたら消化不良を起こし食べれなくなったのか?
もう、負のスパイラルに入ったら
どちらが先だったかなんて
思い出すこともできない。
ともかく、苦しい。
バランスを崩しているので
夜も寝つきが悪く
寝れないから、スマホでゲームしたり
SNSを見ていたりする。
身体の疲労と精神的疲労の
バランスが取れていないから
深く眠ることもできず
途中で目が覚めて睡眠不足になる。
その睡眠不足が慢性化していけば
仕事中にふらついたり、めまいがするのも
当たり前だと思う。
こんなことを繰り返す時間が
長くなれば長くなるほど、
自分はうつ病なんじゃないか?とか
不安は、どんどん大きくなる。
顔色は悪くなり
目に力がなく
声にもハリがなくなっている。
客観的に考えると
食べていなくて、眠れていない人が
ポジティブな思考で物事を考えられるだろうか?
元気にエネルギー溢れる顔で
接客業ができるだろうか?
問題は、自分が弱いことではなく
「食べてないこと」
「寝てないこと」
これが最初の「解決するべき課題」だと思う。
どうしたら食べれるようになるのか?
この質問を投げかけた時
一人ひとりのおかれている状況は違う。
例えば・・・
① 固形物が食べられない
➺ゼリーや飲み物フルーツを食べるようにしてみる
② 早くお弁当を食べることができなくて
食べることをやめてしまった
➺上司に、きちんと休憩が取れるように
サポートを依頼する
③ 昼休みに食べるものを買いに行く時間がない
➺朝起きれないことが原因で仕事に入る前に
食事を用意できていない。
それなら、昼食の準備ができるよう
睡眠改善も含めてまずは食事の確保の
方法を考える
このようなことを一人では
考えられないような状態になり
自分の生きる上での(生命維持のために)必要な
睡眠・食事・休息ができていないことは
職業人として、
「自分のメンテナンスができていない」
と言える。
メンテナンスの方法を一緒に考え、
共に考える相手がいれば考えて
行動したことについて
“メンテナンスがうまくいったかどうか?”
結果を共有したり
フィードバックする時間を設けることができる。
負のスパイラルに入り込んだら
なかなか1人で解決の糸口を見つけることは
難しい。
相手(カウンセラー)に「報告しよう」とか
「心配しているからLINEで今日の状態を伝えよう」
と思うと
「今日は、休憩中にプリンが食べれました」
と、送ってくれるようになる。
相手(カウンセラー)に食べれたものを
LINEにて報告するだけでも
「自分自身がどれだけ食べれていないか?」に
気づき
「どれだけ食べれるようになりたいか?」
「どれくらい食べる必要があるか?」が
明確になる。
これだけでも大きな最初の一歩となる。
カウンセリングにお越しになった
新人スタッフがカウンセリングの回を
重ねるごとに状態が良くなっていくのは
カウンセリングの技術やカウンセラーの力ではなく
本人が大したことないと思っている問題
=身体のサインに目を向け
自分の身体と対話をしてくれることにより
もともと、できていたことが
できなくなった生活パターンを
取り戻そうと努力してくれれば
必ず自分の力でよくなる。
私たちの身体は、必ずよくなろうと進み始める。
自分で、自分の心のサインに気づかないから
身体のサインをちゃんと聞いてあげないから
身体は、もっと、サインを出すようになる。
食べないなら、もっと胃を痛くするぞ。
寝ないなら、頭痛を出すぞ。
何も飲まないなら、めまいを起こすぞ。
そんな心の声と身体のサインが出た時に
※きちんと食事を摂るようにしよう。
おいしいって心が感じられる食事を
リラックスできる環境で食べよう。
※こんなに疲れているのに
眠れないことはおかしいことだから
ゆっくりお風呂に入って
リラックスをして携帯は持たず
いつもより早くベットに入るようにしよう。
こんな風に思ってくれて
行動を変えてくれたなら
心が後ろ向きになんてならず
自分は弱い人間だなんて思わなくてよくて
人と比べることなんてしなくなると思う。
食べれない、寝れないということ
こんな精神状態に陥ることを
マズローの5段階欲求で解説すると・・・
【マズローの5段階欲求】
①生理的欲求
寝たい・食べたい生命を維持することが危ぶまれ
②安全の欲求
休憩したり眠ることができなかったり
③所属の欲求
今の職場で働き続けられるだろうか?と
思い始める。
①②③がぐらつけば
④⑤の段階に進んでいけるはずがない。
生きる上での大切な欲求の
根本の3階層が守られていなかったら
4階層目の「承認欲求」は満たされるはずがない。
自分を承認することも
自分を肯定することも
できるわけがない。
できなくて当たり前。
入社した時は
希望に目をキラキラさせて
自分の美容師人生に期待を膨らませ
素晴らしい職場の仲間とともに
5段階目の自己実現に向けて
技術トレーニングをし
接客技術を学び練習に頑張った。
間違えなく5段階目にいたんだ。
でも、自分の心と体の疲れや
サインに気づかなかったから
身体が悲鳴を上げたんだ。
ただ、それだけで
それは、自分が悪いんじゃない。
弱いせいじゃない。
生きることを紐解けば
自分がどうして力が出なかったか?は
必ず理解する日が来るし
どうしたらいいかの解決方法は必ず見つかる。
だから
眠ること・食べること
当たり前のことから取り戻してほしい。
立ち止まることを
自分に許してあげてほしい。
今、少しの遅れをとっても
長い人生で考えたら一瞬のこと。
どんな道をたどっていっても
最終的にゴールにたどり着ければいい。
時間がかかってもいい。
「美容師になる」って
髪を切ることができるようになることが
ゴールじゃない。
美容師になってからのほうが、
ずっと、ずっと長いんだ。
自分が立ち止まった分だけ
必ず成長がある。
人の気持ちがわかる人になる。
自分のことがわかる人になる。
人生の中で一番長く付き合う
「自分」のことを
もっと、大切に深く理解してほしい。
今回立ち止まったのは
自分の弱さではなく
自分自身を知る学びを
与えられるチャンスだったんだ。って、
必ず、思える日が来るから。
その日が来るまで
一緒に立ち止まり歩いていく力を蓄えて
必ず光を探して共に伴走するので
苦しいことがあったら
体調がおかしかったらサインを感じたら
カウンセリングに来てほしい。
待っている人がいることを忘れないでほしい。
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