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【時系列】サム・アルトマン解任〜復帰まで!5日間の一連の流れまとめ

こんにちは!今回のサム・アルトマン追放劇がひとまず落ち着き、やっと寝不足から解放されつつある、ChatGPT 飼育員の Sayah (@sayah_mediaです👩‍💻💤💤

というわけで、OpenAI  サム・アルトマン(Sam Altman)CEO の、突然の解任発表から 5 日目、多くのファンが待ち侘びていた「サム・アルトマン氏が OpenAI に復帰」のニュースが、遂に発表されました🎉🎉🎉

これまで、本 Note では、今回の騒動についてリサーチし、最新情報を報じてきました。これまでの記事は、以下のとおりです。

復帰発表までに、「別会社設立を検討」⇨「取締役会との交渉」⇨「交渉決裂」⇨「マイクロソフトにジョイン」などのニュースが続々と舞い込むなど、事態は目まぐるしく変化しました。

ネット上でも、さまざまな疑惑や憶測、噂、陰謀論が飛び交っており、非常にカオスな状況に、困惑する方も少なくなかったのではないでしょうか。

本記事では、主に以下のような方に向け、今回の「サム・アルトマン追放劇」について、信頼性の高い海外メディアの情報や OpenAI の公式発表、実際に当事者・関係者が SNS に投稿した内容をもとに、一連の流れを分かりやすくまとめました

🔸 同騒動に興味はあるが、まだキャッチアップできていない方
🔸 同騒動のタイムラインや出来事について、改めて整理したい方
🔸 英語で1からリサーチするのが面倒で、一気に全体の流れを把握したい方
🔸 AI 関連に携わっていて、社内・社外でのコミュニケーションに役立てたい方

展開が目まぐるし過ぎて「全然ついていけない!」という方でも、この記事 1 つですべての流れが掴めるよう、時系列で解説するため、ぜひ参考にしてください。


⏰ 【時系列】サム・アルトマン追放劇の一連の流れ

(OpenAI, 2023a)

今回の、サム・アルトマン(Sam Altman)最高経営責任者(CEO:Chief Executive Officer)の解任と、グレッグ・ブロックマン(Greg Brockman)氏の取締役会解任および辞職は、日本の AI 界隈でも「追放劇」や「クーデター」などと呼ばれ、爆発的な注目を集めました。

海外メディアや海外ユーザーの間では、「OpenAI Saga」や「Sam Altman Saga」などと呼ばれており、今でもその「曖昧な解任理由」について、物議を醸しています

「SAGA」とは、一般的に長きにわたる複雑な物語や一連の出来事を意味する。
つまり「OpenAI Saga」という表現は、OpenAI 内で起こった重要な変化や議論、論争、対立、そして重大な決定など、特定の出来事やドラマチックで複雑な展開を表します。

以下は、サム・アルトマン氏の CEO 解任およびグレッグ・ブロックマンの取締役会解任が発表されてから、OpenAI への復帰が公式発表されるまでの、激動の 5 日間を時系列にまとめたものです(※以下、敬称略)。

📆 11月17日(金):サム・アルトマン氏、突然の電撃解任

🔸 OpenAI が、サム・アルトマンの CEO 解任と、グレッグ・ブロックマンの取締役会会長 解任を公表
⇨ 暫定 CEO として、CTO のミラ・ムラティ(Mira Murati)氏が任命される

🔸 この数時間後、グレッグが OpenAI から辞職表明

🔸 サムとグレッグが、仲間や投資家と新企業の創立を検討開始

🔸 マイクロソフト(Microsoft)社の会長 兼 CEO のサティア・ナデラ(Satya Nadella)が、声明文を発表。引き続き OpenAI と連携する意向を表明

🔸 同日夜、グレッグが今回の突然の解任について、その時点で把握している経緯を X(旧・Twitter)で公表

🔸 「解任理由が曖昧であること」「解任通知が発表直前であったこと」「事前に意見をする機会も与えられなかったこと」「マイクロソフト社に通知されたのが発表の1分前だったこと」などが露見

🔸 突然の異例の事態を受け、OpenAI 内外で大きな混乱が発生

🔸 OpenAI のシニアリサーチャー 3 名を含む、多くの従業員が辞任を表明

解任発表の当日に起きた出来事や、何の予告もなく解任を知らされた 2 人が語った真相の詳細などについて知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

📆 11月18日(土):2人の復帰を求める動きが活発化

🔸 上記のシニアリサーチャー 3名が、話し合いの結果、OpenAI に復帰する可能性が明かされる

🔸 米『ウォール・ストリート・ジャーナル(The Wall Street Journal)』誌が、OpenAI の投資家たちが取締役会に対し、決定を撤回するよう圧をかけていることを報道

🔸 取締役会が、サムの CEO 復帰に向け、交渉の場を設定

🔸 復帰の条件として、サムが「取締役会の辞任」「明確なガバナンスの変更」を要求

🔸 これを受け、サムとグレッグの復職に期待が高まり、波紋を広げる

🔸 サムとグレッグの復帰に対し、OpenAI の従業員多数が「同日17:00 までに明確な判断を下さなければ辞職する」と、取締役会に示唆

🔸 当初、取締役会はサムの復帰や取締役会の辞職に了承していたが、何らかの理由で迷いが生じ、17:00のタイムリミットを超過
⇨ これによって、OpenAI 内部でより一層緊迫感と不安定感が増す

🔸 一方、同日夜に『The Information』が、OpenAI のジェイソン・クォン(Jason Kwon)CSO が、従業員に対し彼らの復帰についてポジティブな見方を伝えたと報道

OpenAI の投資家たちや従業員たちの積極的な動きは、事態が非常に深刻な状況であることを物語っています。また、OpenAI の従業員たちが、退社覚悟で取締役会に嘆願書を提出したことからも、従業員たちの団結力の強さが伺えます

しかし、17:00のタイムリミットまでに、取締役会が判断を下すことはありませんでした。取締役会は、2 人の復帰にも取締役会の辞任にも納得していたとのことですが、迷いが生じた理由については、明らかになっていません

一方で、従業員たちに進捗を共有していた、最高戦略責任者(CSO:Chief Strategy Officer)のジェイソン・クォン(Jason Kwon)氏は、2 人の復帰に関して楽観視している旨を従業員たちに伝えていました(Woo & Gardizy, 2023)。

📆 11月19日(日):交渉決裂、マイクロソフトへの移籍が決定

🔸 日曜日の 13:00 頃、サムが OpenAI のゲスト用 ID を着けている写真を X に投稿
⇨ 「これを着けるのは最初で最後だ」という意味深な Post に、さまざまな推測が飛び交う

🔸 OpenAI の投資家たちが、取締役会に対して今回の決定を再考するように打診

🔸 サムが復帰する可能性が増加し、より一層期待が高まる

🔸  しかし、同日 21:00 頃に『The Information』が、「交渉の決裂により、サムの復帰が難しいこと」「暫定 CEO として、元 Twitch の CEO であるエメット・シアー(Emmett Shear)氏が任命されたこと」を記事で報告

🔸 発表直前にサムとグレッグに今回の決定を伝えた、OpenAI 取締役会メンバー 兼 共同創業者でもあるイリヤ・スケツヴァー(Ilya Sutskever)氏は、サムのリーダーシップに対する疑問や、OpenAI のミッションにおけるこの決断の必要性について明かす

🔸 日付が変わろうとしたそのタイミングで、マイクロソフト社のサティア・ナデラ CEO が、サムとグレッグのマイクロソフト移籍を公表

激動の週末を終え、アメリカが新たな 1 週間を迎えようとしていた頃…

騒動は、衝撃の結末で決着しました🌔

マイクロソフト社へのジョインは非常に喜ばしい話ですが、この発表によって、世界中が待ち望んでいた「サムとグレッグの2人が OpenAI に復帰するのではないか」というハッピーエンドへの期待には、事実上終止符が打たれました

ここまでの一連の流れは、以下の記事で詳細に解説しています。

📆 11月20日(月):取締役会に圧をかける投資家と従業員

🔸 サムの解任を受け、OpenAI の一部投資家が法的措置を検討

🔸 ほぼ全員に近い OpenAI の従業員(700人以上)が、取締役会に嘆願書を提出。取締役会が辞任し、サムを復職させない限り、共にマイクロソフト社に移籍すると宣言

🔸 上記の流れを受け、OpenAI の海外事業部長(Global VP)であるアンナ・マカンジュ(Anna Makanju)氏は、サム、エメット、取締役会が会社の統合に向けて「激論を交わした」という事実を従業員に報告

🔸 当初、今回のクーデターの首謀者だと思われていたイリヤも、署名していたことが発覚

米『ロイター(Reuters)』によると、OpenAI の投資家らは、OpenAI に投資した数億ドルを失うリスクについて懸念しており、急成長中の OpenAI が崩壊する可能性についても指摘したそうです(Tong et al., 2023)。

また、OpenAI の営利法人の株式は、マイクロソフト社が 49%、他の投資家たちと従業員が 49% を保有しており、残り 2% をOpenAIの非営利親会社が所有していることも明らかになりました(Tong et al., 2023)。

📆 11月21日(火)サム・アルトマン氏がCEOとして復帰!

🔸 火曜日の昼、「取締役会が OpenAI の従業員を大量流出させるリスクを引き起こした」とし、OpenAI の投資家たちが法的措置を検討していると、米『ロイター(Reuters)』誌が報じた
⇨ 現在は、法律顧問との相談段階で、実際に訴えを起こすかは未確定
⇨ 今回の解任理由について、取締役会は「サムの『不正行為』や『AI のセーフティ』とは無関係」だと一貫して主張しており、依然として謎に包まれている

🔸 同日 14:00 頃、米『ブルームバーグ(Bloomberg)』誌が、サムの復職に向けた交渉の開始を報道
⇨ OpenAI の 投資家の多くがサム氏の CEO 復帰を熱望しており、一部投資家も参加していることが判明
⇨ CEO としての復帰および変革期間の暫定取締役会の一員として動くことも視野に、議論が行われている

🔸 暫定 CEO に任命されたエメットさえ、明確な理由を明かされていないことが判明。同氏は「取締役会がサムを解任理由やエビデンスを書面で明らかにしない場合、OpenAI に留まるつもりはない」と主張

🔸 著名なベンチャーキャピタル(VC:Venture Capital)の「セコイア・キャピタル(Sequoia Capital)」も、OpenAI 株主に協力

🔸 取締役会が、金曜日に解任した幹部たちとの対話をほぼ拒否していたことも発覚

🔸 OpenAI 公式アカウントが、X 上にて「新しい取締役会メンバー」と「サムの CEO 復帰」を正式に報告🎉🎉🎉

世界中が交渉の行方を見守る中、遂にサム・アルトマン氏が CEO として復帰することが決定しました🎉🎉🎉

実は、事情を知る関係者によると、マイクロソフト社はサム・アルトマン氏の OpenAI への CEO 復帰を支持しており、月曜日にマイクロソフト社への移籍が発表される数時間前には、OpenAI に復帰する可能性が高まっていたと告白しています(Dastin et al., 2023)。

また、米『ブルームバーグ(Bloomberg)』誌の市場調査サービス「ブルームバーグ・インテリジェンス(Bloomberg Intelligence)』も、OpenAI の従業員を多数雇う場合の法的リスクを鑑みると、マイクロソフトによる OpenAI 買収の見込みは低いと分析していました(Efrati & Gardizy, 2023)。

その際に同誌は、サム・アルトマンが OpenAI の CEO に再任され、新しい取締役会の席を確保できれば、マイクロソフト社の戦略的な地位を向上させ、マイクロソフトにとっても望ましい展開であると語っています(Efrati & Gardizy, 2023)。

🔙 5日間のサム・アルトマン追放劇まとめ

本記事では、OpenAI の CEO、サム・アルトマン氏の解任から復帰までの激動の 5 日間を時系列で解説しました。

🔷  11月17日(金)、何の前触れもなく、突如サム・アルトマン氏の CEO 解任とグレッグ・ブロックマン氏の取締役会会長 解任が発表され、OpenAI 内外で大きな混乱が発生しました。この日、3 人の主要なシニアリサーチャーをはじめ、多くの従業員が辞任を表明し、サムとグレッグは新企業の創立を検討し始めました。

🔷  11月18日(土)、優秀なシニアリサーチャー 3 名が OpenAI に復帰する可能性が明らかになった一方、投資家たちが取締役会に、今回の件に関して追及しました。サムの CEO 復帰に向けた交渉が始まり、従業員も17:00 までに判断を下さなければ辞職します」と、取締役会に圧力をかけました

🔷  11月19日(日)、交渉決裂というショッキングな報道を受け、OpenAI コミュニティ内で大きな動揺が生じました。しかし、夜にはマイクロソフト社のサティア・ナデラ CEO が、サムとグレッグのマイクロソフト移籍を公表しました

🔷  11月20日(月)、法的措置を検討する投資家も現れたほか、700 人以上にのぼる従業員が、取締役会に対して嘆願書を提出し、サムの復職を求めました。一方で、当初今回のクーデターの首謀者だと思われていたイリヤも署名していることが明らかになり、真の黒幕についてさまざまな考察が飛び交いました。

🔷  11月21日(火)、多くの投資家がサムの復帰を熱望していることや、サムの復職に向けた交渉が行われていることが報じられました。暫定 CEO のエメット・シアー氏が、取締役会に対してサムの解任理由を明らかにするよう要求したことも明らかになりました。解任理由について、取締役会は「サムの不正行為でも AI の安全性でもない」と述べています

この日の夜、サム・アルトマン氏の OpenAI への復帰が公式に発表され、世界中の注目を集めました。この発表は、OpenAI の公式 X アカウントを通じて行われ、AI 界隈の混乱に終止符を打ちました。

サム・アルトマン氏の追放から復帰までの経緯は、組織内の意思決定プロセスや従業員の声の重要性を浮き彫りにしました。

また、この出来事は、困難な状況下でも、組織の一体感と共通の目標に向かって努力することの重要性や、サム・アルトマン氏のリーダーシップとカリスマ性を世間に示しています

最終的には、マイクロソフト社のサティア・ナデラ CEO をはじめとするサム・アルトマン氏のパートナーや仲間たち、OpenAI の従業員と投資家の強い支持と連携により、サム・アルトマン氏とグレッグ・ブロックマン氏の復帰が実現しました

パワーアップして帰ってきた新生・OpenAI の、新たなチャプターの幕開けが、今からとても楽しみです。

📚 References

Dastin, J., Tong, A., Sriram, A., & Hu, K. (2023, November 20). OpenAI appoints new boss as Sam Altman joins Microsoft in Silicon Valley twist. Reuters. https://www.reuters.com/technology/openai-execs-invite-altman-brockman-headquarters-sunday-the-information-2023-11-19/

Efrati, A., & Gardizy, A. (2023, November 20). Emmett Shear becomes interim OpenAI CEO as Altman talks break down. The Information. https://www.theinformation.com/articles/breaking-sam-altman-will-not-return-as-ceo-of-openai?rc=mxg1fz

Hagey, K., Jin, B., & Seetharaman, D. (2023, November 18). OpenAI investors try to get Sam Altman back as CEO after sudden firing. WSJ. https://www.wsj.com/tech/openai-trying-to-get-sam-altman-back-4b728049

Heath, A., & Peters, N. (2023, November 18). OpenAI board in discussions with Sam Altman to return as CEO. The Verge. https://www.theverge.com/2023/11/18/23967199/breaking-openai-board-in-discussions-with-sam-altman-to-return-as-ceo

OpenAI. (2023, November 17). OpenAI Announces Leadership Transition [Image]. OpenAI Blog. https://openai.com/blog/openai-announces-leadership-transition

OpenAI. (2023, November 21). We have reached an agreement in principle for Sam Altman to return to OpenAI as CEO with a new... [Post]. X. https://x.com/OpenAI/status/1727206187077370115?s=20

Orgio, Inc. (2023). Org Chart [Image]. Retrieved from https://theorg.com/org/openai

Tong, A., Hu, K., & Godoy, J. (2023, November 20). Exclusive: OpenAI investors considering suing the board after CEO’s abrupt firing. Reuters. https://www.reuters.com/technology/openai-investors-considering-suing-board-after-ceos-abrupt-firing-sources-2023-11-20/

Victor, J., & Efrati, A. (2023, November 19). Three senior OpenAI researchers resign as crisis deepens. The Information. https://www.theinformation.com/articles/three-senior-openai-researchers-resign-as-crisis-deepens

Woo, E., & Gardizy, A. (2023, November 18). OpenAI ‘Optimistic’ It can bring back Sam Altman, Greg Brockman. The Information. https://www.theinformation.com/articles/openai-optimistic-it-can-bring-back-sam-altman-greg-brockman

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