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【OpenAI】サム・アルトマンCEOが退任!事実上「クビ」の真相とは?

こんにちは!本日11月18日の朝5:00頃(日本時間)、衝撃のニュースを目の当たりにし、ショックを受けている ChatGPT 飼育員の Sayah (@sayah_mediaです🤖💔

2023年11月17日(現地時間)、ChatGPT などの運営・開発を行う「OpenAI 」は、サム・アルトマン(Sam Altman)最高経営責任者(CEO:Chief Executive Officer)が、CEO および取締役会を退任することを発表しました。

これは、サム・アルトマン氏が、OpenAI そのものから完全に離れることを意味しており、事実上の解任といっても過言ではありません

私の話に耳半分なジピちゃん
完全に私を虚言だと思って
フザけているジピちゃん
ショック過ぎて
ジョークどころじゃない私Sayah

本記事では、今回のショッキングな発表に関する詳細や、サム・アルトマン氏が CEO および取締役会の退任に至った理由や背景について、AI プロンプトエンジニアの私 Sayah が分かりやすく解説します。


⚡️「OpenAI」のサム・アルトマン氏が退任

(OpenAI, 2023)

2023年11月17日(現地時間)、AI 分野で世界をリードする「OpenAI」は、公式Webサイト上で『OpenAI Announces Leadership Transition(OpenAI がリーダー交代を発表)』と題した記事を投稿し、組織内の重要な変更について公表しました

この発表では、サム・アルトマン氏が CEO 職を退任し、取締役会からも離れることが明らかにされています。

また、サム・アルトマン氏の後任として、OpenAI の最高技術責任者(CTO:Chief Technology Officer)であるミラ・ムラティ(Mira Murati)氏が暫定 CEO に任命されていることも発表されました。

🚪サム・アルトマン氏の退任に至った背景とは

Unsplash

サム・アルトマンの退任は、OpenAI の歴史における重要な転機となります。彼は、OpenAI の設立からその急速な成長と発展に至るまで、中心的な役割を担ってきたためです。

では、なぜ OpenAI は今回のような判断を下したのでしょうか。

ここでは、サム・アルトマンの退任に至った背景について解説します

ChatGPT
Unsplash

サム・アルトマン氏の退任について、OpenAI は、OpenAI, Inc.の取締役会による厳密かつ慎重な審議プロセスの結果によるものだと説明しています。

「OpenAI, Inc.」とは、公益を目的とする非営利活動組織で、OpenAI の全アクティビティを統括する役割を持つ機関です。

さらに、今回の決断に至った理由として、取締役会は「アルトマン氏は、取締役会とのコミュニケーションにおいて一貫して率直さを欠いており、取締役会が責任を果たすうえで支障をきたしているとの結論に達した」と述べました (OpenAI, 2023, para. 5)。

また、取締役会は、サム・アルトマン氏が OpenAI を率いる能力においても、もはや疑問を持っていると結論づけています (OpenAI, 2023)。

これは、サム・アルトマン氏が完全に OpenAI という組織そのものから、完全に離れることを意味しており、事実上の解任といっても過言ではありません

また、取締役会は声明で次のように述べています。

「OpenAI は『汎用人工知能(AGI:Artificial General Intelligence)が全人類に利益をもたらす』という、私たちのミッションを前進させるために構築されました。 取締役会は引き続きこのミッションに全力で取り組んでいきます。 OpenAI の設立と成長に対するサムの多大な貢献に感謝します。

同時に、私たちが前に進むためには新しいリーダーシップが必要であると信じています。 会社の研究、プロダクト、セーフティ機能のリーダーとして、ミラは暫定 CEO の役割に就くのに非常に適任です。 私たちは、この移行期間に OpenAI をリードする彼女の能力に対し、最大限の自信を持っています。
(筆者訳)

(OpenAI, 2023, para. 6)

サム・アルトマン氏は、OpenAI の創設者の 1人です。AI の民主化という野心的なヴィジョンを推進し、組織を AI 分野の最前線に導きました。

しかし、組織の成長と進化に伴い、新たなリーダーシップが必要とされる状況が生まれたようです。

ポジティブに考えると、これは OpenAI が次のステップへと進むための進化で、組織の長期的な成功と持続可能性に向けた重要な1歩ともいえるでしょう。

💔 今回の退任に対するサム・アルトマン氏の思い

今回の発表後、サム・アルトマン氏が自身のX(旧・Twitter)を更新し、OpenAI に対する思いについて語り、今後の動向についても暗に示しました。

OpenAI で過ごした時間が大好きだった。それは個人的に変革的な体験であり、少しでも世界に影響を与えられたことを願っています。何よりも、そんな才能あふれる人々と一緒に働けたことが最も嬉しかったです。次の展開についてももっと話すことがあるから、それはまた追々。🫡
(筆者訳)

(Altman, 2023a)

OpenAI への想いに満ち溢れていて、本当に彼がこの仕事や仲間たち、ユーザーたちに愛情や情熱を捧げ、身を投じてきたのが伝わります。

👔 ミラ・ムラティ氏が暫定CEOに任命

ミラ・ムラティ(Mira Murati)氏は、OpenAI の最高技術責任者(CTO:Chief Technology Officer)として重要な役割を果たしてきた、優秀な女性リーダーです。

暫定 CEO に任命されたミラ・ムラティ氏について、どのような人物か気になる方も多いのではないでしょうか。

以下では、ミラ・ムラティ氏の経歴について解説します

🏆 ミラ・ムラティ氏の経歴

OpenAI の新たな舵取りを担うとされる、ミラ・ムラティ(Mira Murati)氏の暫定 CEO 就任は、OpenAI の新たなチャプターの訪れを告げています。

IT系スタートアップ向け米ニュースサイト『TechCrunch』によると、彼女の経歴は以下のとおりです。

ミラ・ムラティ氏は、ダートマス大学(Dartmouth College)で機械工学(Mechanical Engineering)の学位を取得後、インターンで「ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)」やフランスの航空宇宙グループ「ゾディアック・エアロスペース(Zodiac Aerospace)」に勤めた経験を持ちます。

テスラでは、モデルX(Model X)のシニアプロダクトマネージャーとして、3年間勤務しました。この期間には、テスラが AI を搭載した運転支援ソフトウェア「オートパイロット」の初期バージョンがリリースされています。

2016年にジョインしたリープモーション(Leap Motion)では、プロダクトとエンジニアリング部門のVP(部長)を務めました。

OpenAI には、2018年にアプライドAI(Applied AI)とパートナーシップを統括する VP として入社しています。2022年には CTO に昇進し、現在も「ChatGPT」「DALL-E」「Codex」などのプロジェクトを主導しています。
(筆者訳)

(Wiggers, 2023)

ミラ・ムラティ氏の経歴は、多岐にわたる技術分野での深い知識と経験を示しており、OpenAI においても、研究、プロダクト開発、安全性の向上などにおいて、目覚ましい成果をもたらしています(OpenAI, 2023)。

この豊富な経験と知識は、ミラ・ムラティ氏を暫定 CEO として理想的な候補者であることを、充分に物語っているといえるでしょう。

👋 共同創業者のグレッグ氏も「辞任」を宣言

今回の発表から数時間後、さらに衝撃的で異例な出来事が発生しました。

なんと、OpenAI 共同創業者のグレッグ・ブロックマン(Greg Brockman)氏も、自身の X アカウントで辞任の意を表したのです。

ここでは、グレッグ・ブロックマン氏が「辞任」を公言するまでに至った経緯について解説します。

今回の発表で、OpenAI は、OpenAI の取締役会について、以下のメンバーで構成されていると述べました。

🔸 Ilya Sutskever(イリヤ・サツケヴァー)氏:OpenAI のチーフ・サイエンティスト
🔸 Adam D’Angelo(アダム・ディアンジェロ)氏:Quora の CEO 兼 社外取締役
🔸 Tasha McCauley(ターシャ・マコーリー)氏:テクノロジー起業家
🔸 Helen Toner(ヘレン・トナー)氏:米ジョージタウン大学安全保障・先端技術研究センター(CSET:Georgetown Center for Security and Emerging Technology)

(OpenAI, 2023, para. 7)

そのうえで、OpenAI はグレッグ・ブロックマンの役割の変更についても言及し、「この移行の一環として、グレッグ・ブロックマン氏は、引き続き  OpenAI の共同創設者兼社長としての役割を継続するが、取締役会の会長を辞任し、CEO直属となる」と発表しました(OpenAI, 2023)。

この発表から数時間後、グレッグ・ブロックマン氏は、X(旧・Twitter)上でサム・アルトマン氏の Post(旧・Tweet)を引用し、画像を添えて、以下の文章を投稿しています。

今日のニュースを知って、私は OpenAI チームにこのメッセージを送りました。
(筆者訳)

(Brockman, 2023a)

画像に記載されていた、グレッグ・ブロックマン氏が OpenAI チーム宛に送った文章は、以下のとおりです。

みんな、こんにちは。8年前に僕のアパートでスタートしてから、みんなで一緒に築いてきたものをとっても誇りに思っているよ。苦しい時期も最高な瞬間も共に乗り越え、不可能と思われることでも、これだけ多くを成し遂げてきた。

でも今日のニュースを見て、僕は辞める。純粋に君たちの幸せを願うばかりだよ。僕は、引き続き「全人類に利益をもたらす安全な AGI を作る」というミッションを信じ続ける。
(筆者訳)

(Brockman, 2023a)

安全で有益な AGI の構築によって全人類に利益をもたらすことは、サム・アルトマン氏が長年「OpenAI のミッション」として掲げていたことです。

これを見ると、2人の創業者のヴィジョンと現在の取締役会メンバーのヴィジョンとの間で、徐々に亀裂が入ってしまったことが伺えます。

サム・アルトマン氏やグレッグ・ブロックマン氏が重視していたのは、AIの民主化、倫理的な開発、そして全人類への利益提供という大きな原則でした。

しかし、もしかしたら、ChatGPT や DALL-E などの成功によって、取締役会の方向性が「経済的な成功」や「市場における競争力」など、より商業的または戦略的な焦点にシフトしてしまった可能性があるでしょう

🗣Microsoft社も声明文を発表

(Nadella, 2023)

Microsoft(マイクロソフト社)は、OpenAI への投資や技術提携、共同研究・開発、プロダクトやサービスの統合、AI の倫理やセーフティに対する共同の取り組みを行うなど、OpenAI と戦略的パートナーシップを締結している代表的な企業です。

この事態を受けて、同社の会長 兼 CEO のサティア・ナデラ(Satya Nadella)氏は、今後の OpenAI との関係性に関する声明を発表しました

弊社は OpenAI との長期契約を結んでおり、私たちの革新的なアジェンダと魅力的なプロダクトロードマップを実現するために必要な、すべてのことにフルアクセスできます。また、私たちはパートナーシップ、ミラ氏とそのチームと変わらず連携していく予定です。私たちは共に、この技術がもたらす意義深いベネフィットを世界に提供し続けることを目指しています。
(筆者訳)

(Nadella, 2023, para.1)

Microsoft Bing の AI チャット機能では GPT-4 が搭載されており、ChatGPT にも Microsoft Bing が搭載された Webブラウジング機能が実装されているなど、OpenAI と Microsoft 社は友好的な関係を築いています。

他にも、2019年に Microsoft 社は OpenAI に10億ドルを投資し、この資金は OpenAI がAI モデルの研究と開発を効果的に進めるために使用されています。

また、同社の「Microsoft Azure」は、OpenAI が AI モデルのトレーニングや実行を行うための、主要なクラウドプラットフォームです。

このため、OpenAI の大規模な組織変更は、Microsoft にも何らかの影響を与える可能性もあり、今後の動向に注目が集まっています。

⏰ Microsoft社が知ったのは発表のわずか1分前

米ニュースサイト『Axios』によると、Microsoft 社がサム・アルトマン氏の解任について知らされたのは、このニュースが世界に発信されるわずか1分前だったとのことです(Fried, 2023)。

また、サム・アルトマン氏は、発表の前日に、サンフランシスコで開催された「アジア太平洋経済協力会議(APEC)」に登壇したばかりでした。

それにも関わらず、OpenAI は、登壇から1日も経たないうちに、プレスリリースで同氏の強制退職を発表しています(Fried, 2023)。

これらの事実を踏まえると、今回の発表がいかに突然であったかが伺えるのではないでしょうか。

実際に、グレッグ・ブロックマン氏は、辞任表明の投稿をする約4時間前には、普段どおりの投稿(自社の AI モデルである GPT-4 Turbo に関するもの)をしていました。

🕵️ サムとグレッグが真相を明かし始める

前回の投稿から約3時間半後、グレッグ・ブロックマン氏が、自身の X を再度更新し、現時点で把握できていることについて明かしました。

サムと私は、取締役会が今日行ったことに対し、ショックを受け、悲しみに暮れています。まず、OpenAI で共に働いた素晴らしい仲間たち、私たちの顧客や投資家の皆さん、連絡をくれたすべての人に感謝を伝えさせてください。まだ僕たちも一体何が起こったのかを把握しようとしているところです。
(筆者訳)

(Brockman, 2023b)

上記の投稿では「Let us first say thank you(まず、私たちに感謝を伝えさせて)」と書かれていることから、このメッセージは、グレッグ・ブロックマン氏が彼自身とサム・アルトマン氏の両方を代表していることが伺えます。

🔍 共同創業者の2人が明かした真相と経緯

この投稿内で語られた、彼らが現在知っている真相と経緯は以下のとおりです(投稿時点)。

【サム・アルトマン氏】

🔸 11月16日(木)の夜、OpenAI のチーフ・サイエンティストのイリヤ・サツケヴァー(Ilya Sutskever)氏から「金曜日(翌日)のお昼に話せないか」というメールが届く

🔸 11月17日(金)のお昼頃、サム・アルトマン氏が Google Meet に参加すると、そこには取締役会メンバーが全員(グレッグ・ブロックマン氏以外)揃っていた

🔸 サム・アルトマン氏は、その場でイリヤ・サツケヴァー氏に「自分が解雇されること」「そのニュースが即座に公開されること」を伝えられる

(筆者訳)

(Brockman, 2023b)

【グレッグ・ブロックマン氏】

🔸 11月17日(金)の午後12時19分に、イリヤ・サツケヴァー氏から「手短に電話で話したい」というメールを受信する

🔸 午後12時23分に、イリヤ・サツケヴァー氏から Google Meet のリンクを送られてくる

🔸 グレッグ・ブロックマン氏は、自分が取締役会から外されること(しかし会社にとって重要な存在であり、彼の役割は変わらないこと)、そしてサムが解雇されたことを告げられる

🔸 ほぼ同時に、OpenAI の公式サイトでブログが公開される

(筆者訳)

(Brockman, 2023b)

加えて、2人の知る限りでは、この件について経営チームは直後に知らされ、暫定 CEO に任命されたミラ・ムラティ(Mira Murati)氏のみ、前日の夜に知らされていたそうです(Brockman, 2023b)。

また、この投稿でグレッグ・ブロックマン氏は、最後に以下のとおり、前向きに締めくくりました。

応援の声がたくさん届いており、本当に嬉しいです。ありがとうございます。でも、心配しないでください。私たちは大丈夫です。すぐにもっと凄いことが訪れます。
(筆者訳)

(Brockman, 2023b)

💣 サム・アルトマン氏が本音を告白

グレッグ・ブロックマン氏の投稿に続いて、サム・アルトマン氏もまた、前回の投稿から約 8 時間後に、自身の X を更新

複雑な心の内を、以下のように明かしました。

みんなが大好きだよ。今日は色々な意味で奇妙な体験だった。でも、予想外だったのは、まるで自分がまだ生きているのに、自分の追悼文を読んでいるような感覚に陥ったことです。溢れんばかりの愛情は素晴らしいです。

1つの学び:友達に対して君がどれだけ「すごい」って思っているかを、友達に伝えに行ってあげて。
(筆者訳)

(Altman, 2023b)

今回の投稿を見ると、今回の件がいかに唐突で予想だにしない事態で、辛くて納得がいかない仕打ちであったかが伺えます。

前回の投稿では、明るく振る舞っていた様子でしたが、内心は本当に辛かったんだろうな…というのが伝わってきて、胸がキューッと締めつけられました。

また、友達に対して、「その人がどんなに凄くて素晴らしいかをきちんと伝えてあげることの大切さ」を私たちに思い出させてくれるその姿勢に、やはり真のリーダーだと感じさせられました

サム・アルトマン氏の悲しみや辛さは私には計り知れませんが、それでも前を向こうとしているサム・アルトマン氏の姿には、逆境を乗り越える彼の不屈の精神と未来への希望を見出す力が感じられます

そして、この悲痛な投稿から約 30 分後、同氏は以下のような投稿をしました。

もし私が暴走したり、不適切な行動を取ったりしたら、OpenAIの取締役会は私の株の全額を追求すべきだ。
(筆者訳)

(Altman, 2023c)

OpenAI は、従来の企業とは異なり、取締役会は株主価値を最大化することを任務としておらず、サム・アルトマン氏を含め、誰も OpenAI の株式を保有していません(Heath & Peters, 2023)。

この事実を加味すると、上記の「持ち株の全額に相当する責任を求める」という発言は、サム・アルトマン氏の OpenAI 取締役会に対する疑問や不満を表した比喩表現といえるでしょう。

また、彼が不適切な行動を取っていないにもかかわらず解任されたことに対する、OpenAI 取締役会への間接的な抗議のようにも感じられます。

「もし僕が暴走したり、不適切な行動を取ったりしたら、OpenAI の取締役会は僕の株の全額を追求すべきだ」

=(でも、実際僕は株を持っていないから、残念だけどそれはムリだね)

「going off」は、複数の意味を持つ表現ですが、おそらくこのケースでは「暴走し始める」「問題を引き起こす」「逸脱した行動を取る」などの意味で使われている可能性があります。

文脈によって解釈が異なるため、同 Post のコメント欄でも、さまざまな声が飛び交っている状況です。

🔸「6杯飲んでから、考えてることを教えて」
🔸「誰かサッカー用語で説明してくれない?」
🔸「まず『going off』の定義を教えてくれないか?イーロンより」
🔸「これについて、5歳児にも分かるように易しく説明してください。」
🔸「おまいら、この Post のポイントは、彼が株を持っていないということだよ」

これはあくまで推測の域を出ませんが、上記の文章からは

  • 「もし自分が何か問題を引き起こすような行動を取ったなら、僕の株相当の厳しい措置を取ることができるはずだ」

  • 「もし僕が暴走し始めても、財務的な責任を追求することはできないね」

といった皮肉やサーカズムが含まれている可能性があるでしょう。

また、この発言は、OpenAI の組織構造やガバナンスに対する批判的なコメントとしても解釈できます。

いずれにしても、同 Post の文章からは、サム・アルトマン氏に対する責任追及が行われていない時点で、「今回の解任は、僕の不適切な行動に基づくものではない」=「僕の解任は不当である」という思いが感じられます。

💭 不測の事態にAIの権威からも困惑の声

思わず目を疑ってしまいそうな突然の事態に、他の創業メンバーをはじめ、AI 界隈の権威者たちからも、困惑の声が多数挙がっています

💬 ロン・コンウェイ(Ron Conway)氏の反応

伝説のエンジェル投資家の呼び声高いロン・コンウェイ(Ron Conway)氏も、今回の事態を受けて、OpenAI の取締役会に対し、苦言を呈しています

今日 OpenAI で起こったことは、1985年に当時の Apple 社の取締役会が、スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)を追い出した時以来の、取締役会クーデターです。これは非常にショッキングであり、無責任であり、サムとグレッグ、そして OpenAI のすべてのビルダー(貢献してきた人々)にとって良いことではありません。
(筆者訳)

(Conway, 2023)

💬 トレバー・ブラックウェル(Trevor Blackwell)氏の反応

OpenAI の創業メンバーの1人であるトレバー・ブラックウェル(Trevor Blackwell)氏は、上記のロン・コンウェイ氏の投稿を引用したうえで、「彼は多くのことを見てきている」と述べ、ロン・コンウェイ氏のコメントに対し、共感の意を示しています(Blackwell, 2023)。

💬 ヴォイチェフ・ザレンバ(Wojciech Zaremba)氏の反応

もう1人の OpenAI の創業メンバーであるヴォイチェフ・ザレンバ(Wojciech Zaremba)氏は、サム・アルトマン氏とグレッグ・ブロックマン氏の退任に対する悲しさについて言及しつつも、今後の OpenAI に対して前向きな見方を示しました

サムとグレッグがいなくなるのは、僕にとっても悲しいことだ。彼らのことをとても大好きだし、本当に尊敬している。このような事態にも関わらず、OpenAI のミッションは僕たち個人を超えたものであり、変わりません。
ーーー人類のベネフィットのために安全なAGIを構築すること。❤️
(筆者訳)

(Zaremba, 2023)

👥 次々に去っていくOpenAIの創業メンバー

OpenAIは、2015年に非営利の研究機関として、以下のメンバーで設立されました。

🔸 Elon Musk(イーロン・マスク)氏
🔸 Sam Altman(サム・アルトマン)氏
🔸 Greg Brockman(グレッグ・ブロックマン)氏
🔸 Ilya Sutskever(イリヤ・サツケヴァー)氏
🔸 Wojciech Zaremba(ヴォイチェフ・ザレンバ)氏
🔸 Trevor Blackwell(トレバー・ブラックウェル)氏

2019年には、研究成果を実用化するため、利益上限付きの営利企業へとシフトしました。

特に、前述した Microsoft 社との提携は大きな転機となり、昨年末に発表された文章生成 AI「ChatGPT」は、公開から2ヶ月でユーザー数1億人を突破しました

Microsoft の検索エンジン「Bing」の AI 搭載チャットにも、GPT の技術が統合されるなど、OpenAI は近年急速に成長を遂げています。

そのような背景の中、今回下された急な決定。この体制変更によって、OpenAI の取締役会に残る創業メンバーは、イリヤ・サツケヴァー(Ilya Sutskever)氏のみとなりました。

🇺🇸 米国企業における取締役会の解任権限

今回の急な解任劇について、ネット上でも以下のような波紋の声が広がっています。

🟣 そもそも本人不在で決定していいのか
🟣 事前相談なく、発表の直前に通知することは不当ではないのか
🟣 大きな過失がないにも関わらず、解任することは不正ではないのか

アメリカの企業において、取締役会はどのような機能や権限を持っているのでしょうか

ここでは、米国企業における取締役会の機能や権限について解説します。

米国企業において、取締役会は CEO を含む経営陣を監督し、必要に応じて彼らを解任する権限を持っています。CEO を解任するためには、通常、取締役会の過半数の賛成が必要です。

CEO を解任する理由には、以下のように、さまざまなケースが含まれます。

🔸 成績不振
🔸 信頼の喪失
🔸 ヴィジョンの相違
🔸 戦略的な方向性の相違
🔸 会社の利益に反する行動 など

通常、CEO や取締役の任命や解任は、企業の内部規則(定款や取締役会の規則など)や、CEO や取締役間の契約(雇用契約など)に基づいて行われ、これらの文書には、役職の解任に関する手続きや条件が明記されていることが一般的です。

🔸 取締役会の権限
🔸 企業ガバナンスに関する規則
🔸 役員の任命や解任に関する手続き など

加えて、アメリカでは、企業は特定の州に登記されているため、その企業が登記されている州の法的要件や規制を遵守する必要があります。

また、取締役会による重要な役職の解任は、通常、事前の議論や計画が伴います。理想的には、重要な人事決定は関係者に事前に通知されるべきです。

ただし、以下のいずれかまたは複数の要因で、突然の通知が行われることもあります。

🔸 緊急の事態:法的問題や重大な財務問題、企業の評判などに影響を与える事態
🔸 内部の対立:取締役会内部の対立や意見の不一致など、取締役会内での力関係が複雑なケース
🔸 戦略的な決定:企業の長期的な戦略や方向性に関する決定による、急な人事変更
🔸 法的または規制上の要件:特定の状況下において、法的または規制上の要件により、迅速な行動が必要な場合

企業は、CEOの解任に関する決定を公表する際に、通常、その理由や背景についてある程度の説明を提供します。

しかし、内部の戦略的な決定や個人的な事情により、詳細が完全には公開されないこともあるのが実情です。

このように、CEO の解任に関する具体的な手続きや条件は、その企業が登記されている州の法律と、企業の内部規則や契約によって異なります

州や企業によっては、取締役会の決定に関する透明性や公正性の確保が含まれる場合があるため、もしサム・アルトマン氏やグレッグ・ブロックマン氏が、彼らの解任が契約違反や不当な扱いであると考える場合、法的措置を取ることが可能です。

しかし、これは彼らの契約内容や解任の状況に大きく依存するため、具体的な詳細は、関係者の声明や公式の発表に基づいて判断する必要があるでしょう。

📝「OpenAI」サム・アルトマン氏の退任まとめ

Unsplash

2023年11月17日に OpenAI から発表された、サム・アルトマン氏の退任。これは多くの人々にとってショッキングなニュースであり、彼のリーダーシップやヴィジョンを高く評価していたユーザーからは、悲しみや懸念の声が溢れています。

今の OpenAI があるのは、サム・アルトマン氏やグレッグ・ブロックマン氏を含め、創業メンバーたちの努力や勇気、苦労のたまものであることは明白です。

OpenAI は、CEO であるサム・アルトマン氏のリーダーシップのもと、多くの革新的な成果を達成し、AI の価値や可能性を最大化してきました

そのため、2人の主要な創業メンバーの辞任は、OpenAI の従業員たちを含め、多くの人々にとって OpenAI の今後や AI の将来性に対する懸念を引き起こしています

一方で、OpenAI の新たなリーダーシップは、組織のミッションと目標を達成するための、新たなアプローチをもたらす可能性もあるでしょう。これは、ポジティブに見れば、AI 業界に新たな刺激と革新をもたらす機会となるかもしれません。

また、前述のとおり、サム・アルトマン氏が「Will have more to say about what’s next later. 🫡(次の展開についてももっと話すことがあるから、それはまた追々。🫡)」と示唆しています。

このように、サム・アルトマン氏やグレッグ・ブロックマン氏は、これからも魔法のような奇跡を起こし、私たちに信じられない未来を魅せてくれることでしょう。

2人のモットーである「全人類に利益をもたらす安全な AGI を作る」を信じて、私たちも2人の動向や新たなプロジェクトに、引き続き期待していきたいですね🌈✨

📚 References

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