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60代女性の【友人がいなかったことに落胆】をコーチングするとしたら?

😞 今回は「話を聞いてくれる友人がいなくて落胆」という事例です…🙂行動の選択理論でコーチング人生案内#156

 60代の女性。30代で離婚しました。息子がいますが、現在は外国で働いているため、一人で生活しています。

 若い頃から、自分はたくさんの友達に恵まれていると思っていたのですが、この年になって、それは勘違いだったということに気づきました。

 私はこれまで、友人から相談を持ちかけられた時は、親身になって考えてきました。愚痴であっても、何時間もつきあうことがありました。

 ところが、最近、私の悩みを聞いてもらおうとしたら、どの友人も途中から自分の話ばかりするのです。母の介護についても、大事なパートナーが急逝したことについても、相談している途中でさらりとかわされてしまいました。心が穏やかになる慰めの一言が欲しかっただけだったのですが、何も返ってきませんでした。

 いったい今までの付き合いは何だったのか、自分の話を聞いてくれる友人などいなかったのかと、がっかりしています。心の持ちようをアドバイスしていただけると助かります。(埼玉・S子)

(読売新聞2022年8月17日)

✅次のようなプロセスで、相談者の答えを引き出す質問、コーチングの展開を考えてみました💦


▶︎ 相談者の「困りごと」をまとめてみると

・自分は友人から相談を持ちかけられたときは、親身になってきたのに、最近、自分の悩みを聞いてもらおうとしたら、どの友人も途中から自分の話ばかりして、自分は慰めの一言が欲しかっただけなのに何も返ってこなかった。

 自分はたくさんの友達に恵まれていると思っていたが、自分の話を聞いてくれる友人などいなかったのかと、がっかりして、困っている。

▶︎ 相談者の「困りごと」を「願いごと」に転換してみると

・自分はたくさんの友達に恵まれていると思っていたが、自分の話を親身に聞いてくれる友人がいなかった。いったい今までの付き合いは何だったのか、とがっかりしており、心の持ちようについて、アドバイスがほしい。

▶︎ 相談者の困りごとのパターンを考えてみると

  • 願いごとが叶わない、願いごとが不明確

  • 相手や状況に振り回されている

  • 「自分」に自分が振り回されている(この事例では、一種の喪失感に自分が振り回されている?)
    (注:ここでの「自分」は、自分の気分や感情、喪失感、記憶、思い込み、もう一人のダメな自分、完璧主義の自分など指します)


🚩 以上をふまえて、次の質問とや展開を考えました

・「愚痴であっても、何時間もつきあうこと」は、なかなか誰でもできることではありません。一種のカウンセラー的な役割で、時間いくら、とか、給料をもらって、とかの対価があり、その時間を、クライアントの援助のために提供するというような、ある意味でハードな仕事だと思います。

・そのような、友人というだけでは、誰でもができることではないことを、あなたは長年にわたり、ご自分の友人にされてきたのだと思います。

・あなたが最近になって、ご自分の話をされた相手の方にとっては、あなたは、いつもどおりの「話を親身に聴いてくれる友人」だったのかもしれませんね。

そして、あなたが、母の介護や、大事なパートナーが急逝したことについて話されたとき、友人たちは、あなたのお話から、「あなたに聴いてもらいたい、自分の話」をついつい思い出し、いつもの感じで、「自分の話」をあなたに聴いてもらいたいと話し始めたのかもしれません。

そして、相手の友人達にとって、あなたは、「いつもの聴き上手のあなた」に見えて、そのまま、自分の話に夢中になり、あなたは、心中では、自分の話を聴いてほしいのにと思いながらも、友人の話に付き合った。

相手は、話し終えてスッキリして、「ああ、私は、やっぱり良い友人に恵まれている」と思っていたかもしれませんね。

・ところで、あなたは、「今日は、母の介護や、大事なパートナーが急逝したことについて、私の話を聴いてほしい」と相手にリクエストされましたか?

また、途中で、相手が自分の話をし始めたとき、「今日は、先に私の話を聴いてほしい、そして、心が穏やかになる慰めの一言をかけてもらいたい」というようなことを、相手に話されましたか?

 もし、そのような、「今日は特別なのだから聴いてほしい」というリクエストを、あなたがされており、また、相手の方が自分の話をし始めたときに、「悪いけど、今日は先に私の話を聴いてほしいの」と軌道修正を試みられていたら、結果が違っていたかもしれませんね。

相手の方は、「いつもの感じ」で、「聞き上手のあなた」に甘えてしまっていたということはありませんか?


・会話は相手とのキャッチボールです。今日は特別に、「自分の話を聴いてほしい」「とりあえず、最後まで聴いてほしい」というボールを、上手に相手に投げかけるようなことも、必要かもしれません。

・ところで、話は変わりますが、あなたが、友人たちに、親身になって聴き上手のカウンセラー役をされた時間は、累積で、どの位の時間になりますか? また、仮に、時間あたり、1000円もらったとしたら、累積で、いくらくらいになっていますか?

おそらく、少なくとも、何十万円以上になるのではないかと思いますが、その分、あなたは、友人達に、ある意味、「親身に話を聴くこと」という一方的なサービスを提供し、友人達は、あなたの親身なサービスを受け取って、ありがたさと感謝の気持ちを持っておられたと思いますよ。

あなたのおかげで、「助かった」という人が何人もいらっしゃったのではないでしょうか?

・ただ、人の辛い話や、愚痴をなどを親身に聴くことは、「聴き手」にとっても、とてもしんどいことです。一度、専門のカウンセリングを受けてみられてはいかがですか。そうすれば、あなたは、あなたの求めている、話を聴いてほしいこと、聴き手に共感してもらうこと、などを得られると思います。

そして、その対価を払うことで、これまで、あなたが、友人達に与えてこられたことの価値を再確認することができるかもしれませんね。

・今回の経験をされたことで、あなたの「聴き上手」は、ますます深いものとなり、あなたの友人達にとって大事なものとなるでしょう。

その一方で、あなたの、これからの大事な(本当の)友人作りにも、大いに役立っていくのではありませんか。


✅参考:回答者(久田恵さん)の言葉です💖

 あなたはいつも相手の話や愚痴を聞いてあげていた優しい方なのですね。そういう方はそうはいない。だからこそ、あなたは好かれ、たくさん友達がいたのだと思います。でも長い間に、彼女たちにとってあなたは、自分の話を「聞いてくれる役割」の人になってしまっていたのでしょうね。その頃のあなたは、相手を受容できるゆとりもあったのだと思います。

 ちょっと切ないですが、今、あなたの話を聞いてくれない友人たちは、自分のことで精いっぱい、聞くゆとりのない方たちなのです。一人で暮らすあなたは寂しいでしょうが、「寂しさを埋めるための友はいらない」と、いったん思い切ることも大事かと思います。

 今の自分を自分で支えて生ききる覚悟を持ちましょうよ。好きな本を読み、音楽に浸り、一人旅を楽しみ……。好きに自由に暮らしていると、必ず、どこかで、誰かと出会うものです。

 なんだか気が合うわねぇ、という感じできっといい友を得るでしょう。晩年に出会った友は、かけがえのないものですよ。

(読売新聞2022年8月17日)


✅ 以下、選択理論コーチングの補足です。

                😋 筆者独自の見解や表現も入っています.

1,相談者が満たせると幸せ感が増えそうな基本的欲求

  • 愛所属の欲求(愛したい、愛されたい、仲間でありたい、仲間がほしい)

  • 力・自己価値の欲求(自分が価値ある存在でありたい、認められたい、自分を認めたい)


2,選択理論コーチングの基本的な三角モデル


3,今回使った「選択理論の考え方のエッセンス」

🌻 選択理論の第1の原理
・自分の考え方や見方、行動は、自分が自由に選択できるし、変えられる、と考えましょう。
 
・自分には、未来に向って自分が幸せになるために行動する責任がある、と考えましょう。

🌻 選択理論の第2の原理
・相手(本人)の行動を変えられるのは相手(本人)だけであって、他者は助言や情報提供、リクエストができるだけ、と考えましょう。(影響は与えられるが、相手を変えることはできない。「相手が自ら変わることを決める」と考える)

🌻 選択理論における「人間関係」の重要性
人は、現時点で、一つ以上の満足できる人間関係が持てていなければ、幸せな生活を送れない。逆に、一つ以上の満足できる人間関係を持つことができれば、今よりも幸せになれる可能性がある。

🌻 外的コントロールと人間関係
・いやがる相手を変えようとしても、相手の抵抗を生み、人間関係が遠ざかるだけ、と考えましょう。

・(本人を外側から変えようとして)相手を批判したり、強制したり、脅したり、文句を言ったりすることはやめましょう。

🌻 「外的コントロールの心理」から「内的コントロールの考え方」に転換
・変わろうとしない相手(変えられない状況、環境)に、自分が振り回されていることに気づきましょう。

・自分は自分なりに、相手は相手なりに、それぞれが「精一杯の行動」をしていると考えましょう。

・同じするなら、いやいやでなく進んでする方が自分のコントロール感も高く自由度も広がると考えましょう。
 
🌻 相手の内的コントロールと行動、願望、欲求充足
・相手の行動も、自分のと同じく、ニーズや価値観、欲求を満たすための精一杯の行動なのだと考えましょう。
 
・「相手がしてほしい行動で自分がしてあげられること」があれば、積極的に協力し貢献しましょう。
 
・「人間関係を育む行動」を習慣にしましょう。具体的には、傾聴する、支援する、勇気づける、信頼する、受け容れる、尊敬する、意見の違いは交渉する、などの行動です。
 
🌻 自分の「現状の知覚と願望」
・自分は今、人生やキャリアのどのようなステージにいて(入って)、未来(次のステージ)に向って何を望んでいるかを具体的に考えてみましょう。

🌻 相手との人間関係(具体的やりとり)の願望-人間関係の距離感
・自分は相手(職場、グループ)との関係で、未来に向って、どのような距離感で、具体的にどのようなやりとりができる(叉はしない関係)でありたいのか(自分の立ち位置をどこにするのか)、そして、そうであることによって、自分は相手とどのような人間関係を得たいのかを考えましょう。

🌻 自分の「自分」との関係
・もう一人の「自分」も、「自分なりに精一杯がんばっているんだ」と考えましょう。そして、もう一人の「自分」の心の声を聴き、応援者として励まし、勇気づけてあげましょう。
(注:ここでいう「自分」は、自分の気分や感情、喪失感、記憶、思い込み、もう一人のダメな自分、完璧主義の自分などを指すものとします)

🌻 自分の欲求充足
・自分が満たせていない、自分にとって大切なニーズや価値観、欲求が何か、を考えましょう。

🌻 現在とっている行動とこれからの行動プラン
・自分が願っていることのために、今どんな行動をしているか、それをしていて実現できそうか、どんな新しい行動ができるかを考えてみましょう。
 

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