佐和島ゆら

ライターしてます。小説やシナリオ置いてます。小説書くのが死ぬほど好きな成人。

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最近の記事

FF14で救われたとあるもの書きの話

珍しい自分語りのnoteです。 これは私のコンプレックスを語ると共に FF14で起きたことで、モチベが復活して救われたんだよ という記事になります。 そういうの興味ないよというのはDont'Look Backで お帰りください。 ○好きがないから困ってしまうコンプレックス私は長ーく同人の世界にいて、同人のお仕事にもかかわることもあるのですが。それにつきまとってきた悩みというかコンプレックスが。 「特に強い好きがない」 そう、私には何かが猛烈に好きがない。 皆わりと平等な

    • 「朗読台本」恋人が望むことは「星月堂へようこそ」

      「カプチーノは元気ですよ、お仕事頑張って……」 思わずメールを口に出して読んでしまって、駅の真ん中で恥ずかしくなった。 僕はすっかりというか、とうの昔からというか、彼女の言葉を待ち遠しくなっているようだ。 いつもなら感謝の言葉を書いて、それから「何時」に帰るとかいいだすだろう。 けれども残念なことに、ただいま出張中で……僕は住まいのある町から、ずいぶんと遠い場所にいる。 電話、すべきなのかな……と思った。 宿について、一通りのことが終わってからだ。 ぽんと、そんなことを思

      • 【音声】「再演される戀の話」【台本】

        兄さん  妹と二人で暮らしている男性。妹のことを大切にしている。  実は大富豪。本名はソワール 妹  兄と二人暮らしをしている。  不器用で努力家  普段は兄に「シュシュ(お気に入り)」と呼ばれてる。  本名は「エール」 シーン1 朝・自宅 妹、ベッドで体だけ起こしている。 首を傾げながら、呟いている。 妹「あれ……私……って誰……」 兄「おはよう、シュシュ。どうしたの、寝坊するなんて珍しい」 妹「え、え、あっ!」 兄「どうしたの……手の動きが面白すぎるけど」

        • 【百合】四日間の恋人【台本】

          柏崎音羽(かしわざきおとは)(♀) 高校二年生 小さめで可愛い外見ではあるが、中身はばりばりの子供っぽさとガサツさがある女の子。故に身近な人間からは女の子とは思われてない。 惚れっぽく、すぐに告白もするが毎度振られてしまう。 全然気にしてはいないというフリをしてるが、毎度ショックを受けている。 姉下鈴子(あねもとすずこ)(♀) 高校二年生 中肉中背の側から見ると普通の女の子だが、音羽が本気で好き。 周囲からも分かるほど、音羽にラブコールを送っている。 告白じみた言葉をかけて

        FF14で救われたとあるもの書きの話

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        • 短編集
          7本
        • 君の手をとるその日のために~暁善の国と夜羽の国シリーズ~
          8本
        • 東京文学フリマ
          7本
        • 短編集②
          25本
        • 音川太一の家族と恋について
          5本
        • テキレボ(サンプル)
          2本

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          しかめ面叔父さんのラブレター(小説版)

           苦虫をかみつぶしたようなしかめ面。楽しげに周囲は食べているのに、独りでもくもくとパフェを食べるスーツの壮年の男は、あまりにその場で異質だった。  その店の店員でも風変わりなお客だと言う。私は店員として、男の前に立つ。 「おじさん……だよね?」  男は、あんぐりと口を開けた。 「沙由理っ……」                ・  普段は神保町のチェーンの喫茶店でバイトをしている。だけどその店は本店になのに、暇になりやすく、私は近隣の店にかり出されてる。大きなタワーの中

          しかめ面叔父さんのラブレター(小説版)

          「台本」しかめ面の叔父さんのラブレター

          蓮沼沙由理(21・♀)……飲食店で働いている。叔父の蓮沼夫妻から実の子のように可愛がられていた。 蓮沼公人(きみひと)(56・♂)……一流企業を早期退職したサラリーマン。やや気難しく、しかめ面が多い。 蓮沼美都子(52・♀)……故人、数ヶ月前になくなっている。明るく茶目っ気のある性格だった。 店員A……沙由理がヘルプで行った先の店員 親族A……蓮沼家の親族 親族B……蓮沼家の親族 シーン1 ○喫茶店「キャンバス」(昼)   蓮沼沙由理が食事をお客様に提供している。

          「台本」しかめ面の叔父さんのラブレター

          「朗読台本」仕事する前の彼は「星月堂へようこそ」

          人の足取りはその人の性格に影響されていると思う。  せわしない人の足取りは小走りで、のんきな人は少し重たげな音、僕の薫さんの足取りは少しゆっくりで、足音もそれほど立たない歩き方だ。    僕は朝が苦手で、でも薫さんが朝から、ご飯の準備をしたり調べ物をしたり、動き回るから、僕も頑張って起きる。数時間後にまた、薫さんのベッドで眠ってしまうけど。   「ああ、おはよう」  薫さんは小さく笑いながら、僕を見る。そしていつものように、頭を軽く撫でるのだった。僕も目を細くする。薫さん、

          「朗読台本」仕事する前の彼は「星月堂へようこそ」

          「宣伝」星月堂へようこそ「シチュエーションボイス」

          サークル「rain」がお送りするシチュエーションボイス音源。 「星月堂へようこそ」 あらすじ(紹介) 星月堂へようこそ とある町の片隅にあるリラクゼーションサロンで繰り広げられる。 優しく温かい一人語りのボイスです。 支倉薫……添い寝付きリラクゼーションのお店、星月堂で働いている。物腰は柔らかいが軽みのある性格。 親が整体師でその影響で人を癒す仕事についてる。 シーン1(プロローグ)(00:58) 疲れたあなたを支倉がお迎えします。 シーン2(ドキドキしてるあな

          「宣伝」星月堂へようこそ「シチュエーションボイス」

          君の手をとるその日のために「第8話」~君の手をとるその日のために〜

           意識がかすんでいく。近くで自分に声をかけている人の存在は分かる。きっと大声で声をかけているのだろう。けれどもその声は、もやにかかっているように遠い。血を口から吐き出しながら、彼女が向かった先とは別の方向を示す。救護以外の人は慌てて走り出していく。そうだ、勘違いしろ。これで凛子が無事に逃げおおせればいい。秋山にとって、何よりも彼女の無事が第一だった。 「おい! しっかりしろ……!」  秋山に声をかけてくる人間の声に覚えがあった。きっと電話を取り交わしていた、蓮河原だろうか。真

          君の手をとるその日のために「第8話」~君の手をとるその日のために〜

          君の手をとるその日のために「第7話」~生きて~

           昨日と今日、秋山のやることが多くなっている。 その原因は簡単なことだ。雨が止んだためである。 黒電話はそれまでと打って変わって頻繁に鳴り、山に登れるよう、作業が随時進行していることが伝えられた。 もう少しですよという蓮河原の真面目で明るい声が、胸に棘のように刺さった。 「はい……ありがとうございます。待ってます」  蓮河原へ伝えた言葉に、うまく感情が乗っていただろうか。 自分の本心を悟られずに済んだのだろうか。  とんとんと小刻みな音が聞こえてきた。 電話を終えてみると

          君の手をとるその日のために「第7話」~生きて~

          君の手をとるその日のために(第6話)~それは儚く消えゆくモノ~

           この世には侵してはいけないことがあると思っていた。 けして暁善の国では大統領に逆らってはいけないし、治安警察は絶対の正義だから立ち向かってはいけないし、敵と恋に落ちていいのは、禁忌の物語だけだ。  それなのに、自分は……自分は今、どんな感情を抱えている?  派手な水音が響く。しとしとと昨日よりも弱くなる雨の中で その音はひどく乱暴に聞こえた。秋山は水の張った桶で顔を洗っていた、冷たい水が頬を叩く。  真夜中、とっくに凛子は寝ているだろう。秋山は濡れた顔を拭き取らず、ため息

          君の手をとるその日のために(第6話)~それは儚く消えゆくモノ~

          君の手をとるその日のために(第5話)~自覚~

           顔をあげられないことがある。 どうしようもない恥をかいたとか。 情けないものを見られてしまったとか。 弱みを見せたんじゃないかとか。 その三つが同時に来てしまったのだ、翌日の朝食を食べるときは秋山は顔をとてもあげられなかった。  凛子もそんな秋山に気を使っているのかわからないが、何も言わない。 ただもくもくと食べている。せめて笑ってくれたら、感情が高ぶって何もないのだが。  外はまだ雨が降っている。だいぶ雨がおさまってきているが、もう一回はひどいものが降りそうな、不穏な雲行

          君の手をとるその日のために(第5話)~自覚~

          君の手をとるその日のために(第4話)〜竜の涙は落ちる〜

          「本、本を、読む……」  秋山は意を決せないまま、客間であぐらをかいていた。 とりあえずどの本を読むのかは今日中に決めることになり、先に凛子が自分に協力してくれることになった。 お陰で湯浴みをした後の着替えも確保することができた。布団の場所も教えてもらった。最初凛子は一人で布団を引き出しをしようとしていたが……。 「結構重いじゃないか、女の手では余る」  秋山はそう言って自分でやることにした。時間の節約だった。そう、ちまちまと時間のかかる作業を見るのは、神経がイライラしてくる

          君の手をとるその日のために(第4話)〜竜の涙は落ちる〜

          君の手をとるその日のために(第3話)~2つの条件~

           終わったと思うことがある。 酒の席の失敗に、思わぬ失言、その他諸々。今、秋山に訪れたのは、逮捕するべき人物の前で盛大に腹を鳴らしたこと。 女は目を瞬かせる。 「今の音……」 「ぁ……」 「秋山殿は本当に空腹なのですね」 「違う、そんなことはない!」 「ここにきて否定するとは……あなた、相当に頑固ですね」 「はあああ、犯罪者が私を分析するな!」 「私は別に悪いことをしたつもりはありませんわ おかしいのは国の方よ!」 「なんだと……!」  秋山は思わず前のめりになって女を睨ん

          君の手をとるその日のために(第3話)~2つの条件~

          君の手をとるその日のために(第2話)~腹が減っては戦は出来ぬ~

          女は手錠で手首が痛んだらしく、濡れタオルで手の赤みを引かせようとしていた。 秋山と女の間に会話はない。当たり前だ、話すことなどないし、何より相互の立場はあまりに違っていたのだ。 片や反逆者で片や反逆者を取り締まるもの。しかもこの女は五年も逃げ続けてきた人間だ。  秋山からすれば同じ人間だと思うのも厳しい。女も秋山を話す必要のない人間だと思っているのだろう。 貝のようにむっつりと黙り込んでいた。六畳間の部屋で、秋山は腕を組んで立ち、女は座り込んでタオルで冷やしている。 このまま

          君の手をとるその日のために(第2話)~腹が減っては戦は出来ぬ~

          君の手をとるその日のために(第1話)~大雨の中、女と二人~

           どしゃぶりの雨が、平屋の外でごうごうと降っていた。雨はたった一時間前から降り出していたが、その雨量は尋常ではない。平屋の前にある川は大きく氾濫し、家屋と山道をつないでいた橋を、引きちぎるように流してしまったのだ。この事態、全く想定していたものではない。現状の報告をしようと思ったが、黒電話の奥から聞こえる音はツーツーという電子音だけだった。どうにかして相手に連絡を取りたいのに何とも言えない状況、それを秋山慎次郎は耐えなければいけなかった。 「まったく、運が悪いと笑えないレベル

          君の手をとるその日のために(第1話)~大雨の中、女と二人~