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【小説】たましいのみなと

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たましいのみなと。それは、すべてがはじまる場所。命の煌めきも、感情の揺らめきも、この港から旅立っていく。
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#たましい

【連載小説】たましいのみなと vol.6

じいちゃんの家にある離れの部屋は、僕にとって秘密基地みたいな場所だ。

行くまでの道のりもワクワクして、そこが自分の居場所のように心地よく、無敵になれるような感覚がした。

たとえば家や学校で嫌なことがあった日も、彼女とうまく行かなくて悩んだ日も、仕事で失敗して落ち込んだ日も、ここに来ればリセットされた。

じいちゃんやそのまたじいちゃんが集めた本を読んでいるうちに、悩みや不安の答えになるようなこ

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【連載小説】たましいのみなと vol.3

離れの部屋には、今はもう、僕とじいちゃんしか足を運ぶ人はいない。

出入りする人が少ないからだろうか、廊下を奥に進めば進むほど、別の世界へ入っていくような不思議な感覚がする。

風の音と、鳥の鳴き声だけが耳に心地よくて、外の世界より楽に呼吸ができるのだ。

「入るよー」

離れの部屋の引き戸を開けると、窓辺の椅子に腰掛けていたじいちゃんと目が合った。

「やぁ、純くん。いらっしゃい」

読んでいた

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【連載小説】たましいのみなと vol.2

廊下を渡った角の台所に入って、冷蔵庫からオロナミンCを取り出した。

特別好きだと言ったこともないけれど、子供の頃からずっと、じいちゃんの家の冷蔵庫には僕のためにオロナミンCが常備されているのだ。

栓を開けて、ゴミ箱の横にぶら下がったコンビニ袋にそれを投げ入れ、暖簾をくぐり廊下の先を進んでいく。

中庭に射す陽の光は、いかにも古めかしい造作で植えられた草木を照らしている。

まるで、この家の中だ

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【連載小説】たましいのみなと vol1.

【連載小説】たましいのみなと vol1.

「じいちゃーん、入るよー」

カラカラと玄関の戸を開けて、大きめの声で挨拶する。

木造の古い家に住んでいるのは、今はもう、じいちゃんだけなので、少し声を張れば家中どこにいても声が届く。

靴を脱いで玄関に上がると、清けさの中に床のきしむ音が鳴った。

どこもかしこも古くなってガタがきているから、住みにくさを挙げればキリがないんだけど、僕はこの家を気に入っている。

静けさが心地よくて、風通しが良

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【連載小説】たましいのみなと promenade

【連載小説】たましいのみなと promenade

たましいのみなと。

それは、すべてがはじまる場所。

命の煌めきも、感情の揺らめきも。

この港から旅立っていく。

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春の空のように凪ぎ、澄みわたる場所。

たましいのみなとには今日も、数え切れないほどのボートが浮かびます。

ぷかぷか、ゆらゆら。

ぷかぷか、ゆらゆら。

風も、波も、ここにはあり

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