【連載小説】たましいのみなと promenade
たましいのみなと。
それは、すべてがはじまる場所。
命の煌めきも、感情の揺らめきも。
この港から旅立っていく。
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春の空のように凪ぎ、澄みわたる場所。
たましいのみなとには今日も、数え切れないほどのボートが浮かびます。
ぷかぷか、ゆらゆら。
ぷかぷか、ゆらゆら。
風も、波も、ここにはありません。
地球上のどこを探しても見つからず、誰の目にも映ることはありません。
このみなとから旅立つのは、たましいを持つ数多のいのち。
その一瞬の煌めきが、今日もあちこちで、ボートに乗って旅立ちます。
どこにあるボートを選んでも構いません。
はじめはどれも、同じなのです。
思うがまま、大きさも色も形も変化します。
ほら、あそこでも。
ボートがまたひとつ、漕ぎ出したようです。
軌道ひとつない海原を、ぐんぐん進んでゆきます。
はるか遠く、水平線の向こう側か。
地平線を超えて、空の彼方か。
その光が、無事に届きますように。
光の粒を降らせながら、天使たちは祈るのです。
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