【連載小説】たましいのみなと vol1.
「じいちゃーん、入るよー」
カラカラと玄関の戸を開けて、大きめの声で挨拶する。
木造の古い家に住んでいるのは、今はもう、じいちゃんだけなので、少し声を張れば家中どこにいても声が届く。
靴を脱いで玄関に上がると、清けさの中に床のきしむ音が鳴った。
どこもかしこも古くなってガタがきているから、住みにくさを挙げればキリがないんだけど、僕はこの家を気に入っている。
静けさが心地よくて、風通しが良くって、時間も喧騒も忘れて過ごせる、秘密の部屋があるからだ。
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