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地域に関わりたいけど何からはじめたらいいかわからない学生へ

全国各地のおもしろそうな地域に関わりたい。
まちづくりや地域活性化といわれるような活動をやってみたい。

そう思っていても何からはじめたらいいかわからない方へ、とくに学生に向けて、地域の入り口となるような情報をお届けします。



人脈もお金も情報もない

大学1年生の夏、私は「大学だけにいては腐る!!」と悟って、地域の実践現場に近づこうと必死でした。

地域系の無料イベントを見つけては参加していたのだけど、たまにハズレがあって、よくわからない黒スーツのおじさまたちと循環型農業の説明を永遠ときかされることになったり

地域活性化・地方創生といえばここ!という有名どころに一人で行ってみたものの、お目当てのキーパーソンもいなくて、地域の人と交流するタイミングもつくれずに素泊まりしただけになってしまったり

地域系ベンチャーの単発インターンに参加したら、空き家のペンキをひたすら剥がすだけでこき使われて1日が終了したり

数々の失敗をくりかえしてきました。こんなんじゃせっかく行動しても得られるものないじゃーん。泣

10年ほど前とはちがって、今は「関係人口」という言葉もあるように、地域への入り口がたくさん用意されていますね。(いい時代になったのぉ)

◎お金の負担も少なく
◎実践的な経験を積むことができて
◎観光や視察よりも深く地域とつながることができる

この3点セットを重視して私がオススメしたい地域への入り方をまとめました。

どれも私自身が利用したことがある or 友だちが参加していた信頼できるものです。ぜひ参考にしてみてください。



インターンプログラム(暮らし体験型)

地域のことをがっつりと学ぶならインターンがおすすめ。短期から長期までいろいろなプログラムがあるので、夏休みの2週間だけ行ってみる、大学を休学して1年間住んでみるなど、好きなように活用できるのがありがたいですね。


■ふるさとワーキングホリデー

総務省が窓口となって、各自治体で受け入れをおこなっている「ふるさとワーホリ」

2週間から1ヶ月、地域に滞在しながら働きます。しっかりとお給料がもらえて、週休2日が保障されているので、ほとんど自己負担もなく地域の仕事を体験できるのが魅力です。

私は長野県の伊那市によくいるので、ふるさとワーホリの方に何人かお会いしたことがあるのですが、移住希望の方がおためしで参加されていたり、大学生が農業を体験しにきていたりと、参加目的はさまざまな様子です。

受け入れの事業所や時期によりますが、朝5時くらいには起きてブロッコリーの収穫へ向かうようなお仕事もあって、結構がっつり仕事するんだな~大変そうだな~という印象もありました。

伊那の場合は滞在先がゲストハウスなので、いっしょにご飯をつくったり、アウトドア好きな方と山に登ったりと交流も楽しめます。


■若者の地方体験交流

「若者の地方体験交流」は国土交通省が窓口となって、各自治体で受け入れをおこなっています。

一般にはあまり知られていない制度かなと思うのですが、私はこちらを利用して山口県の長門市俵山地区に2週間ほどお世話になりました。

大学4年生の卒業研究で俵山に入らせていただくことが決まっていたので、本格的な調査をする前に地域のことを知って地域の方と仲良くなれればという目的でした。

体験がメインだったので、そば打ちをしたり、特産品ゆずきちを試食したり、梨農園さんでお話をきいたり、河川プールのそうじをしたり、夏祭りに参加したり、海で泳いだりと、たくさん楽しい思い出があります。

総務省のふるさとワーホリとの違いは給料が出ないこと。あと、地域によっては参加費がかかります。ただ、仕事メインのふるさとワーホリに比べて、遊びや交流などの自由な時間も多いので、地域のことを幅広く知るには「若者の地方体験交流」の方がよいかもしれません。


■緑のふるさと協力隊

「緑のふるさと協力隊」は1年間どっぷり地域に根ざして暮らすプログラムです。

活動の内容は地域によって異なるのですが、家具付きの住居が用意されていることと月5万円の生活費がもらえます。あと、同じ期に派遣されるメンバーやOBOGとの仲が良い印象があります。

私の周りでは、大学を休学して地域に入ったり、大学を卒業してから就職せずに協力隊になった方がいます。

ちなみに、総務省がやっている「地域おこし協力隊」とはまったくの別ものです。「緑のふるさと協力隊」は、なんと1994年から30年続いていて、「地域おこし協力隊」(2019年~)よりも蓄積がある取り組みなんですね。

「地域おこし協力隊」は最大3年間で地域への定住・定着をはかることが目的ですが、「緑のふるさと協力隊」は若者と地域をつなげることが目的で、地域おこしというよりは個人の成長におもきが置かれているように思います。とはいっても「緑のふるさと協力隊」も結果的に4割ほど定着しているそうなので興味深いです。


■若葉のふるさと協力隊

いきなり1年間はちょっと…という方のために「若葉のふるさと協力隊」という4泊5日の農山村ボランティアプログラムもあります。

現役の緑のふるさと協力隊やOBOGがコーディネートしてくれるので、実際に暮らしてみてどうなのかといった話もきけると思います。ただし、参加費・交通費は自己負担です。


■大人の島留学

「大人の島留学」の舞台は島根県の隠岐島。高校魅力化プロジェクトで有名な海士町といったらピンとくる方もいるかもしれません。海士町と、おとなり知夫村、西ノ島町の3島で島留学生を受け入れています。

お仕事内容は、役場でまちづくりを担当したり、観光協会で戦略を考えたり、小中学校の給食をつくったり、隠岐牛のお世話をしたり、カキ工場で販路拡大をサポートしたり、やりたいことにあわせてカスタマイズもできるみたいです。


滞在期間によって3つのプログラムがあります。
 ①大人の島留学:1年間~、20~29歳対象、報酬あり(月15万)
 ➁島体験:3か月~、20~29歳対象、報酬あり(月8万)
 ➂お試し島留学:3泊4日、20~35歳対象、食費自己負担


ほかのプログラムとちがって年齢制限がありますね。昨年、隠岐にあそびに行く機会があったのですが、確かにそのとき会った島留学生はほとんど大学生でした。

きいたところ週1回ほど研修もあるそうです。普段はバラバラに活動しているけど、研修であつまって振りかえりができるから楽しいといっていました。人を育てるということに熱い島なので、自分にじっくりと向き合って考えて行動する力をぐーんとのばしたい人にはぴったりだと思います。


---(追記)---

■北海道農業インターン ~ネイチャーダイブ・アグリダイブプログラム~

北海道浦幌町(子ども・若者を軸に次世代育成と新規事業構築を通して持続可能な社会に貢献しようと動いている地域)に訪れた際におしえていただいたアグリダイブプログラム。自己認識を深める機会としてもよさそうでした。

「想像を遥かに超える北海道の大規模農業での農作業と全国各地から集まる仲間や農業従事者の方と対話を続ける自分発掘ワークを組み合わせたインターン」




インターンプログラム(事業構築型)

暮らしよりもビジネスに挑戦したい方へ事業構築型のインターンを紹介します。


■地域ベンチャー留学

その名のとおり、地域のベンチャーに留学して、新規事業や商品開発などにチャレンジするプログラムです。対象は高校生から大学院生まで。参加費は無料です。現地では地域コーディネーターが伴走してくれます。

起業家育成で定評のあるNPO法人ETIC.が事務局なので安心ですね。個人的な印象ですが、ETIC.とつながっておくと今後の地域系の活動も幅が広がると思うのでよいと思います。

ちなみに、既に自分で事業を立ちあげようと動いている方は、同じくETIC.が事務局でやっている「MAKERS UNIVERSITY」で革命児を目指すのもよいかもしれません。


■武者修行プログラム

「武者修行プログラム」といえばベトナムのイメージでしたが、今は地方創生のプログラムもあるみたいです。にしてもすごい名前だな、武者修行!

泣かずには帰れないみたいな体育会系のゴリっとしたイメージがあります。あ、でも、お会いしたことのあるファシリテーターの方々は愛があふれている人ばかりでした。ご安心を。

参加者は大学1~2年生が多いみたいですよ。私はベトナム修行の説明会に参加したことがあって、参加費の負担がけっこう大きかったので断念してしまったのですが、参加した友だちは参加して本当によかった~と目を輝かせていました。

チームごとに活動するので、チームビルディングを学びたい方にもよいと思います。


■ TURE-TECH(ツレテク)

ゴリっと感のあるインターンその2「TURE-TECH(ツレテク)」。某ソフトバンク主催の地方創生インターンプログラムです。TECHとあるように、ICT技術を活用して地域課題を解決するアイデアを提案するインターンのようです。

ソフトバンクの社員さんが伴走してくれるとのことで、なんともスマートでクリエイティブな雰囲気が感じられます。事前・事後研修をあわせて1週間ほど。濃密な7日間になりそうですね。


■100DIVE

「100DIVE」は3か月間地域に通いながら新たなローカルビジネスを生み出すプログラムです。事業提案だけでおわらせず、プロトタイプをつくって、うまくいけば自走するところまで伴走してもらえます。

地域の人たちとチームを組んで活動するので、地域の外からの一方的な目線ではなく、当事者の立場から手ざわり感のある事業につなげていけるのがほかとは違うところです。

参加者は学生よりも社会人が多いそうなので、多様なバックグラウンドとスキルをもった方と関われるのも刺激になりそうですね。



旅のおともに

旅好きあつまれー!王道な観光名所より、地域の人たちが集まっていそうな居酒屋とかローカルスーパーとかに興味がわいてしまう私です。


■おてつたび

おてつだいと旅をかけあわせた「おてつたび」。ひとむかし前は、リゾートバイトとか農業ボランティアとよばれていたものも、「おてつたび」の登場によって、報酬だけではない人と人・人と地域がつながる価値という位置づけに変わってきたように思います。

旅をしながら地域の人といっしょに汗をかくことができてお金も経験も得られるなんて最高ですね。”特別な地域” が増えることまちがいなしです。

月1回のMeetupにはだれでも参加できるそうなので興味がある方は参加してみてはいかがでしょうか。


■WWOOF

世界中の農業・農村好きに愛されている「WWOOF」は、有機農家さんのお手伝いを無償でする代わりに寝床とご飯をいただけるサービスです。ただし、WWOOFジャパンへの年会費(5000円ほど)がかかります。

農家さんとはお金のやりとりがないので、家族の一員みたいにあたたかく迎えてもらえることが多いです。環境意識の高い農家さんも多いので、おいしい有機野菜をたべながら、環境に負荷をかけない暮らしの話ができたり、自然と共生していく知恵をおしえてもらえたりします。

外国人もWWOOFに登録されているので、日本にいても国際交流できるというのもポイントですね。ホストも海外経験のある方が多いです。


■ADDress

月額制で全国の拠点に住めるサービス「ADDress」
プランは予約チケットの枚数に応じて選ぶことができます。翌月にチケットを繰りこせるのがうれしいですね。

「はじめよう。
 いつもの場所が
 いくつもある、
 という生き方。」

というコンセプト。旅先にいつもの場所があるって安心するんですよね〜。

ADDress会員の方々も多様なライフスタイルをおくっている人が多いので、いろんな交流ができそうです。

家守さん(ADDress拠点のオーナー)もおもしろい人ばかり。このあいだは神奈川秦野市の家守さんのところで梅もぎ体験をさせていただきました。


■ゲストハウス

旅先で地域のことを知るならゲストハウスに泊まらなきゃ!個人的に思い出深い、楽しかったな~また行きたいな~と思うゲストハウスを列挙します。

長野だと
長野市の1166バックパッカーズ
下諏訪のマスヤゲストハウス
辰野のおいと間
辰野のアトリエ和音
辰野のO to &
伊那の街宿MILLE
飯田のYamairo guesthouse

それ以外の地域だと
岩手一関のcafé&GuestHouse kaziya
新潟佐渡のHOSTEL perch
名古屋のゲストハウスよるよなか
鳥取南部町のてま里
山口俵山のゲストハウスねる山

もっともっと素敵なゲストハウスは全国にたくさんあるはず。旅にでたくなってきたー。みなさんのオススメもおしえてください。


こちら↓
ディープなローカルを追い求めて旅する私の行った場所・行ってみたい場所です。研究に偏った視点が含まれますが、よかったら旅のスパイスにどうぞ。

📍 Saeのローカル旅MAP(クリックでGoogleマップにとびます)
https://goo.gl/maps/Y5ePJx18p8Hgmgvj9


---(追記)---
友だちがおしえてくれたものを追加しました。

■田舎ホームステイ

「私の友人が田舎ホームステイというサービス作っていて、参加者が継続的に関わったりと、満足度高いです!」とのこと


■国内・海外ボランティア NICE

週末の2日間から長期の1年間まで、国内外幅広くプログラムが用意されています。学生時代にNICEを通じていろいろな国際協力の場に参加していた友人は、大学卒業後、青年海外協力隊として活動していました。社会課題に向き合いたい人におすすめです。

「国際ワークキャンプとは、国内・海外で世界の仲間や住民と一緒に、地域のために動く「合宿型のボランティア」のことです。日本を含め、世界約90ヶ国で年間5,000回で開催されています。」



地域系コミュニティ

オンラインでつながれる時代。現地へ行かなくても人と人がつながって、地域のことを知れたり、それぞれがもっている情報や経験を共有できたり、いっしょにイベントや旅を企画したりと、コミュニティの価値は絶大です。


■Rural Labo

地域活性化に興味がある学生のコミュニティとして真っ先に思い浮かんだのが「Rural Labo」。500人くらいメンバーがいるらしい。出身も興味も幅広い同世代と出会えそうですね。

地域別にオンラインで交流会をしたり、免許合宿をしながら地域のことも知れちゃうプログラムを企画していたり、若者目線で地域との関わり方を広げられるのが楽しそう。


■ふるさとLIFE CAMPUS

「ふるさとLIFE CAMPUS」は「ふるさとを自分たちの手で創り、地域の方と関わりながら、自己表現として仕事や暮らしを模索したい若者のコミュニティ」

長野県にゆかりのあるメンバーを中心に、都会から長野への入り口をつくるような活動をしています。学生よりも若手社会人がほとんどで、生き方や働き方を自分なりに摸索しているメンバーが多いです。

今の暮らしにモヤモヤしてる、地域で何かやってみたいな~、長野に興味があるという方にオススメです。東京にある銀座NAGANOで定期的にイベントや相談会もしています。


■しまコトアカデミー

地域のことをしっかり学びたい方島根Loverは「しまコトアカデミー」へ。

月1回の座学(東京・大阪開催)、2泊3日のインターンシップ(島根)、「しまコトプラン」発表(自分なりの地域との関わり方を表現したもの)の3本立てです。

移住しなくていい” という前提があるので、かなり濃ゆ~い島根のつながりができていくなかでもプレッシャーなく関係をつづけられそう。

参加者は年齢もバックグラウンドが幅広くて、島根に根づいた実践者とたくさん出会えるのが特徴です。


■自分でつくっちゃう

自分でサークルや学生団体を立ち上げちゃうのもアリですね。こんなことやってます~と旗を振っていると、おもしろがって集まってくれる人や協力してくれる人が意外とまわりにいたりします。

気合いを入れてコミュニティをつくろうとしなくても、地域でわいわいやってたらコミュニティになっていたりね。楽しいのが一番です。


---(追記)---
■熱中小学校

「もういちど7歳の目で世界を・・・北海道から沖縄まで全国21地域と米国シアトル1地域が連携し、地域の垣根を飛び越えた全国レベルの地方創生プロジェクトとして注目を集めています。」

十勝が好きで地域に関わるきっかけを探していたとお話してくださった方がおしえてくれた「熱中小学校」。講師陣は大学の教授から農家さんまで多種多様。自身の学び直しにもよさそうですね。対象は学生よりも社会人向けな印象です。




地域情報まとめサイト

インターン、旅、コミュニティときましたが、探せば全国各地で募集しているプログラムはたっくさんあります。地域からの募集情報がまとまっているサイトで検索してみるのもよいかもしれません。


■ SMOUT(スマウト)


■地方創生インターンシップポータルサイト



おわりに

\人とのつながりを大切に/

ここまでいろいろな情報を並べてきたのですが、人につないでもらったり、偶然の出会いから「今度遊びに行ってもいいですか」みたいな感じで地域に出入りするようになったり、ということの方がなんだかんだ長続きしていたりします。

実際どんなにうまくできたプログラムに参加しても、また会いたいなと思える人をみつけられなかったら地域との関係はつづかないんですよね。

 あの人たち元気かな~
 今年もあの時期だな〜
 あの場所は今どんな風になってるだろう? 

そうやって想いを馳せられる地域があるのはうれしいことです。

今回まとめた情報は地域と関わるきっかけにすぎないのですが、出会い方によって人の印象がちがうように、地域への入り方によって地域との関係性は変わってくると思います。

「こんなことしてみたいのだけど、こんな人・地域、知りませんか?」というようなコメントをいただければ、私の引き出しであればいくらでもお返ししますし

よかったらみなさんの「地域の入り口」もおしえてもらえたら飛んで喜びます!

あなたにとって大事な人・場所・地域と出会えますように。願っています。


最後までお読みいただきありがとうございました!新しい里づくり研究室では、都会と田舎、山と海、自然と人間のあいだにある「里」に光をあてた研究や実践を紹介しています。記事の感想、里づくりのお悩み、気になるテーマなど、お気軽にコメントお待ちしております😊


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