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梅もぎしながら遊休資源の活用を考えた話

蒸し暑い季節になってきました。台風が来るといよいよ夏が近づいてきているなと感じます。

体もなんとなく夏の準備をしはじめたようで、ちょっと重だるかったり、気合が入りづらかったり。

そんなときは梅シロップを炭酸で割ってシュワッと爽快に夏を乗り越えていきたいところです。

てなわけで梅もぎへ行ってきました!

耕作放棄地が交流の場に

今回お世話になったのは神奈川県の秦野市、鶴巻温泉のあたりに小さく残っている里山です。鶴巻温泉駅から車で10分、徒歩で30分ほど坂をあがったところにあります。

土でできた細い用水路に水が流れていて、それをひょいっと乗り越えて進むと、段だんに広がる小さな棚田が見えてきます。地域の方かな、手でお田植えされていて、その風景がなんとも今の季節らしくてほっこりしました。こんにちはーと挨拶しながらさらに進み、こじんまりとしたお墓の前を控えめに通過していくと、30本ほどの梅の木がありました。

地図を見ればイメージがわくでしょうか。知らない土地に行くと国土地理院の地図で今と昔を比較するのが好きなのです。高度経済成長期の頃の写真と見比べて、頑張って守ってきた里山なのかなと想像したりね。

2007年以降撮影
1961年〜1964年撮影


ここは地主農家さんがご高齢で管理しきれなくなってしまい、しばらく放棄されていたそうです。それを山口修平さんという方(後ほど紹介します)が引き受けて、人が集まれるような形で整備されています。

さ、山ヒル対策をして準備完了。「ヒル下がりのジョニー」っていうスプレーの名前がおもしろかった。


こんなに鈴なりになっている梅なんて見たことありますか!
これまでいろんな里山へ行く機会はあったものの梅もぎは初めてだった私。まるで狩猟時代の本能が呼び覚まされたかのように夢中になって梅をもぎもぎしました。

木になっている青梅もよいけど、地面におちてる完熟梅もおいしそうです。袋がぱんぱんになるまで美しい梅たちを詰め込んで大満足。自然の恵みに感謝だな~。

5人がかりで8袋がいっぱいになるまで収穫させていただきましたが、まだまだ梅の勢いはとどまることを知らず。毎日誰かしら採りに来られるそうです。ここが放棄されていたなんてもったいないですね。

この日は私たち以外にも2グループほど来られていて、梅の木を剪定したり梅を収穫したりキャンプ飯をつくって食べたりしながらゆったり過ごされていました。どこから来たんですか~、めっちゃカレーおいしそうですね~とお話したりもして、梅でつながるご縁、梅友なんてのもいいなと思ったりしました。

梅もぎのあとは梅の木陰でBBQ。ポトっとたまに落ちてくる梅がかわいかった。


モノよりコト、コトより人

人口が減り高齢化が進んでいくなかで、使われなくなってしまった農地はどんどん増えています(耕作放棄地を大集合させたら富山県の広さとほぼ同じだそう)。

農地だけじゃなくて空き家や廃校も。これらの遊休資源をどう活用していくかは全国どの地域でも考えていかなきゃいけない問題ですよね。

梅もぎしながら思ったんですけど、梅がほしいだけっだたら別にここに来てないだろうなって。たとえば、梅もぎ体験1袋つめほうだい1,500円!という広告をみても絶対スルーです。

やっていることは同じなのに、なんでここの梅林へ行こうと思ったのか。それは、人のつながりとしか言いようがないなと思います。

たまたま知り合いのA子さんが ”新里はこういうの好きじゃろうな” と声をかけてくださったのですが、そのとき一緒に山口修平さんの記事も送ってくださいました。

なんだかすごく興味が湧いて、修平さんのお話をきいてみたいなと思ったのです。

「梅もぎ」「里山」だけじゃなくて「地域の暮らし」「人との出会い」が加わってくるとスイッチはいりましたーと行く気満々になる私。笑

地域のあり余った遊休資源の活用もポイントはここだなと。場所とコンテンツで発信するよりも、まずは人のつながりを広げたり頼ったりするのが大事なのではないかなと思います。

今回の梅林の場合も、修平さん自身がいろんな人的ネットワークのハブとなっていますし、ADDressという常に人が出入りする拠点と組み合わせることで、人が人をよぶ流れができているように見えました。

農地でも空き家でも何か場所を活用したいな~と思ったら、点だけで整備するのではなくて、面として人が人をよぶ仕組みを整えること。そこから一緒に活用の仕方を考えたり、関わってくれる人たちのアイデアで場を育んでいくようなプロセスにしていけるとよいのだろうなと教訓を得ました。

モノよりコト、コトより人ですね。

***

里山の恵み(測ったら4キロあった‼︎)は母の力を借りて無事に梅酒と梅シロップになろうとしています。
梅しごと。昔から日本人がこの季節に手をかけてきた暮らしの営みなんだなぁ。その仲間入りができたことにちょっぴり嬉しいような誇らしいような気持ちです。

みなさまも夏バテにお気をつけて。夏を乗り越えていきましょー!


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