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【本レビュー】『カトリーヌ・ドヌーヴの言葉』

先日、フランスの女性作家、フランソワーズ・サガンに注目した『サガンの言葉』を読んだ感想を綴った。

実はもう1冊読んでいたので、そちらについても触れていきたい。フランスを代表する映画女優、カトリーヌ・ドヌーヴの言葉をまとめた『カトリーヌ・ドヌーヴの言葉』だ。


徹底的な個人主義

この本を読んで感じた、カトリーヌ・ドヌーヴの印象は「徹底的な個人主義者」。彼女は、「よそはよそ、うちはうち」という考えの個人主義者だ。


数々の映画に出演し、周りから見ると華やかな女優人生を歩んでいるように見える。しかし私がこの本を読み進めるうちに、大勢の人に群れることを嫌い、少数派の存在意義を肯定していることが分かった。

それは彼女が、あくまでも”個人”として他人を捉えているから。「誰しも他人をジャッジする権利をもたない。」という言葉からも、彼女がいかに”個人”を大切にしているかが分かる。

私は彼女のそういう部分が、心から好きだ。この部分を知ってから、人目ばかりを気にする私の心がフッと軽くなったような気がする。


確かに、世の中は多数派の意見によっておおむね動いている。しかし、多数派に流されることが必ずしもいいとは限らない。なんなら、流されない方がいい。

彼女の言葉を通じて、「自分の意志をしっかり持つこと」の大切さを学んだ。当たり前ではあるんだけれど、日々生きているとつい抜け落ちてしまうこと。でも、彼女のように強く生きていくためには必要なことなのだろう。本を読み終えた後、私はそんなことを思った。


彼女と私は正反対

私は本を通じて、カトリーヌ・ドヌーヴを知った。フランスの映画女優であることも、日本の有名な映画監督・是枝裕和監督の作品に出演していたことも、本を読んで知った。

そんな彼女と私自身が、明らかに正反対だと感じたことがある。それは、「秘密主義」だ。


彼女は、私生活において秘密主義を貫いていた。特に恋愛に関しては、30歳以降の恋愛を一切明かしていないという。

きっと彼女としては、家族を守りたい、自分自身を守りたい、という思いがあるのだと私は思う。特に現代は、一度SNSに情報が流れてしまうと、どんどん拡散されていく。彼女はそれを嫌っているのだろう。

一方私は、わりとオープンにできるタイプ。むしろ、自分のことをもっと知ってほしいから、私生活を公にできる。だから、本を読みながら彼女の秘密主義を理解できなかった。彼女の考え方が私の正反対の位置にあったから。


SNSで自分をさらけ出すことが美しいとは思えない。

彼女のこの言葉と出会い、私は腑に落ちた気持ちになった。現代の日本は、SNS主体の生活をしている人が多い。なんでもかんでも”インスタ映え”を意識している。SNSに投稿するために、なんでもかんでも写真に収める(厳密に言うとSNS投稿のため、とひとくくりにはできないけれど)。

でも、全てをさらけ出さない方がいい。「ミステリアスな女性に惹かれる」という男性が一定数いるくらいだから、ちょっと不思議なくらいがちょうどいいのかもしれない。だから、彼女は魅力的な女性に見えるのだろう。私も彼女を見習おう。


カトリーヌ・ドヌーヴ。世界中の人を魅了する映画女優。

彼女の言葉には、強さとしなやかさが共存している。『カトリーヌ・ドヌーヴの言葉』を読みながら、私はそう実感した。

彼女のように、強くしなやかに美しい女性になるために。

私はどれだけの道のりを歩けばいいのだろう。

どれだけの壁を乗り越えていけばいいのだろう。

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