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2024年6月の記事一覧

【雑感】さようなら、「読書」

【雑感】さようなら、「読書」

文章を書くことを、「ペンを執る」などと言う。いまだに言う。みんなスマホやパソコンで書いているのに。

それでいうと、いまだに「書く」って言う。フリック入力してるのに。キーボードたたいてるのに。

このモヤモヤはいつまで続くのだろう。もっと早い段階ではっきりさせておくべきではなかったか。

今、同じような問題が起こりつつある。

オーディオブックだ。

「読書」。読んでないのに「読書」。モヤモヤする

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タイトルの意味はよくわからんがとにかくすごい小説だ【読書感想文】東山彰良『流』(2015)

タイトルの意味はよくわからんがとにかくすごい小説だ【読書感想文】東山彰良『流』(2015)

国共内戦を取り上げた日本の娯楽小説で直木賞受賞、なんてもう二度とないだろうと思うので、ずっと気になっていたが、なかなか読む機会がないまま、10年くらい経ってしまった。

予想以上におもしろかった。

Audible 様々だ。

テーマ、文体、ストーリー、どれも個人的には直球ド真ん中だ。

でも、この作家がメジャーになりきれていないのもよく分かる。

ウ◯コネタで始まって、一番印象深いシーンがゴキ◯

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英文学とラノベの融合【読書感想文】ジャスパー・フォード『文学刑事サ-ズデイ・ネクスト (1)ジェイン・エアを探せ!』(2005)

英文学とラノベの融合【読書感想文】ジャスパー・フォード『文学刑事サ-ズデイ・ネクスト (1)ジェイン・エアを探せ!』(2005)

初回は20年以上前、訳本を読んで強く印象に残っていたが、今回は Jane Eyre を読んだのをきっかけに、満を持して原書で読んでみた。

内容はほとんど忘れてしまっていたが、まごうかたなき傑作だった。

舞台は、第一次大戦も第二次大戦も起きておらず、クリミア戦争(史実では1853-1856)が今も延々と続き、ウェールズが独立し、飛行線が空を飛び、シェイクスピア劇を本当は誰が書いたのかが人々の最大

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天才的な中学生による、ちょっと変わった中学生の観察日記【読書感想文】宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』

天才的な中学生による、ちょっと変わった中学生の観察日記【読書感想文】宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』

4話目で挫折。

1話目は95点、2話目は90点と高得点だったが、3話目と4話目は普通の小説だった。

学園モノ?はほとんど読まないが、数少ない経験から言わせてもらうと、ジャンル的には重松清みたいな感じだろうか。

申し訳ないが、興味の範疇外である。

しかし1話目は本当によかった。

プログレ華やかなりしころに現れたセックス・ピストルズ、LAメタル全盛期にデビューしたニルヴァーナくらいのインパク

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年末大そうじ【読書感想文】ソン・ウォンピョン『三十の反撃』

年末大そうじ【読書感想文】ソン・ウォンピョン『三十の反撃』

ふと「クリスマスケーキ」という言葉を思い出した。

知らない方のために簡単に説明すると、二十五を越えると売れ残り、という意味だ。「オールドミス」なんて言葉もあった。最後に耳にしたのは、それこそ四半世紀ほど前のことだろうか。

しかし今や三十にもなって、まだ結婚もしてないどころか、どんな大人になりたいだとか、自分探しだとか、他の人と違う自分らしさとは何か、などと言ってるわけである。

クリスマスどこ

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今はアウトか【読書感想文】黒岩重吾『ワカタケル王子』(2002)

今はアウトか【読書感想文】黒岩重吾『ワカタケル王子』(2002)

タイトルも出演していた俳優も忘れてしまったが、10年くらい前の真っ昼間、テレビで昔の西部劇映画(60年代か70年代?)を観るとはなしに観ていた。

林の中を移動中、主役の男性が突然ヒロインに襲いかかった。

敵を欺くために悪漢のふりをしているとか、ヒロインに口を割らせるために芝居をしている、とかなら分かるが、どうやらそういうわけではないらしい。

マジだ。マジ発情である。

恋は突然、とか言ってる

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