シュレディンガーのぬい
家にひとつ、ぬいぐるみが増えた。
増えてしまった。
別にぬいぐるみが嫌いという訳ではないが、あまり多くは持ちたくない。でも、今回のは貰い物なので無下にはできない。
サンダルを玄関に置くように、麦茶を冷蔵庫に入れるように、ぬいぐるみの置き場は枕元と相場が決まっている。柔らかいものは柔らかい場所に。その日は枕元に新入りのぬいぐるみを置いて眠った。
翌朝ベッドから起きると、新入りはフローリングの上にこてんと転がっていた。それを受けて、ぱたぱたとドミノ倒しのように幼少期の感覚が蘇る