見出し画像

人生に「百合」がある喜び

私は「百合」が好きだ。
わざわざカギ括弧に太字で書く辺り、ピンと来た人もいるかも知れない。この「百合」は植物ではなく女性同士の恋愛や友愛などを描いた物語のジャンルを指している。

正直、呼び方は「エス」でも「GL」でも「シスターフッド」でも「ロマンシス」でも良い。上記は全て女性同士・少女同士の恋愛や友愛、連帯などを描く作品のジャンルだ。しかし、微妙に定義の異なるこれらの言葉を丸ごと包み込める寛大さから、私は「百合」という言葉をよく使う。

私が学生だった十数年前は「百合=学生百合」と言っても良いほど、中高生を主人公にした作品が主軸だった。(自身の年齢に近い作品を好んでいた、というバイアスはあるかも知れない)。思春期における関係性の儚さを愛でる作品が多く、最後には失恋や死別を以って終わるものも少なくなかった。

2010年代後半からは「社会人百合」や「大人百合」と呼ばれる、20〜30代が主人公の作品が増加した。仕事や生活についての描写が入り、学生百合よりも地に足を付けて生きている印象だ。また、学生百合においても先の未来を感じさせるような作品がずいぶん多くなった。
ジャンルとして「百合」を名乗る商業作品が急増したのもこの頃だろうか。(かつては既存の作品の中から「AとBの関係性は百合」と読者や視聴者が解釈して楽しむパターンも多かった)

以上は、全て私の個人的な所感だ。
たったの十数年、ぼんやりと百合作品の流行を追っていただけなので、見当外れな部分はあると思う。しかし、「百合」は壊れず、死なず、生きられるようになった、ということは間違いない。

私は、それが嬉しくてたまらない。
百合作品で描かれる年齢層が広がったということは、これからも百合と一緒に歳を重ねていけるということだ。女性同士の絆は、大人になれば取るに足りない些末なものになるか、遠い思い出に変わる。そう思い込んでいた少女時代の私に教えてやりたい。願わくば、老女同士の絆を描いた百合作品ももっと増えてくれたらなと思う。

この記事を下書きに保存している間に、好きな社会人百合漫画『彩香ちゃんは弘子先輩に恋してる』のドラマ化が発表された。最近は様々なメディアで百合作品を楽しめるようになったのも嬉しい。

これからも、百合と共に人生を歩んでいきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?