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筋トレ効率化に必要な「カーボドリンク」の作り方+α

この記事では特に運動中に利用する「カーボドリンク」の作り方についてまとめています。また運動中だけでなく、運動前や運動直後におけるサプリメントの方法についてもまとめています。

尚、プロテインの飲み方については別の記事で解説しています。詳しくは『プロテインを選ぶ際に知っておくべき「原材料による違い」』からお読み下さい。


運動を行う1時間前におけるアルギニンの摂取方法

運動を行う1時間前にオススメなのが「アルギニン」です。アルギニンは空腹時に摂取する方が吸収が良いと言われていますが、それでも実際に血中濃度が高まるまでには少しラグがあるため、このタイミングでの摂取になります。

運動前におけるアルギニンの摂取量の目安は3~5g程度です。これを水に溶かして飲むか、カプセルあるいは錠剤をそのまま水で飲むと良いでしょう。

一方、アルギニンは強いアルカリ性のため、そのままだと胃腸に不快感が出る事があります。気になるようなら「クエン酸」を一緒に混ぜると良いでしょう。

もしアルギニンと一緒にクエン酸を利用する場合、アルギニンの1/2程度の量がオススメです。すなわちアルギニンが5gならクエン酸は2.5g程度、3gなら1.5gが良いと思います。ただしクエン酸は大量に摂取すると脂肪酸の合成を促す事があるため、念のため注意しておきましょう。

ちなみに「プロテイン」と言えば運動後に飲むイメージですが、実は1時間~1時間半前にプロテインを飲んでおくという利用の仕方もできます。その場合、ペプチド化されているなど、より吸収の速いプロテイン(加水分解ホエイ、いわゆるハイドロホエイ)がオススメです。アルギニンやクエン酸と一緒に飲んでも良いと思います。もちろんプロテインはなくても全く構いません。


運動を行う1時間前におけるクレアチンの摂取方法

クレアチンは筋肉に多く存在し、瞬発的な運動を行う際のエネルギーになっています。強度の高い運動を行う場合、運動中のエネルギー不足を避ける必要があります。

特にこのクレアチンは吸収が速い訳ではないため、運動中に供給するためには、運動を行う1時間前ぐらいに摂取しておくようにします。量の目安は3~5g程度です。これを水に溶かし、前述のアルギニンやクエン酸と一緒に飲むと良いでしょう。

一方、クレアチンが効率良く吸収・利用されるためには、十分な水分、各種ミネラル(ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム)、pH(弱酸性)が重要と言われています。これはクレアチンが水分と一緒に細胞内へ取り込まれるためです。それらがないと、細胞の劣化に繋がるなんて事も言われたりします。

またクレアチンはインスリンの作用によって効率良く吸収されるため、少量の糖(マルトデキストリンなど)もあると良いでしょう。後述のように運動前~運動中に糖を補給する事を考えると、ここでは少量で良いと思われます。

よってクレアチンをアルギニンと一緒に利用する場合、マルトデキストリン10~20g、アルギニン3~5g、クエン酸1.5~2.5g、クレアチン3~5g、マルチミネラルを1~2gというような感じになります。これをプロテインシェーカーなどに入れ、数100mlの水に溶かして飲むと良いでしょう。

ちなみにクレアチンは起床直後や寝る前、あるいは食事と食事の間のタイミングなどでも摂取できます。基本は空腹時に摂取し、そうして毎日少しずつ補給する事が重要です。運動前後以外で摂取する場合、1~3g程度で良いでしょう。


運動前~運動中における糖の摂取方法

運動を行う15~30分前、及び15分前~運動中までの間は、いわゆる「カーボドリンク」を利用します。カーボドリンクとは、簡単に言えば「糖を含む飲み物」の事で、これによって運動中のエネルギー切れを防ぎます。

運動中にオススメの糖は「マルトデキストリン」です。特に運動中は筋肉に血流が集中するため、胃腸に大量の食べ物や飲み物が入ってくると、胃腸へ不要な負担をかけてしまいます。マルトデキストリンは分子がたくさん連なっていて、胃腸に入っても濃度が高くならず、浸透圧を上昇させません。これにより消化液の分泌を最低限に抑え、胃を素早く通過、腸内で素早くエネルギーを供給する事ができます。

そんなマルトデキストリンの摂取量の目安ですが、だいたい体重1kg当たり0.5~1g程度と思われます。例えば体重80kgなら40~80g程度です。

ただ、そのように運動前や運動中においては濃度を高くしない事が重要なので、マルトデキストリンの量が多くなる場合、それに応じて水の量も増やす必要があります。

特にマルトデキストリンを水に溶かした時、5%前後の濃度(1g×20mlとして計算すれば良い)になるような水の量にすると良いと思われます。つまり例えば体重が80kgの場合、マルトデキストリンが80gなら、水は1600mlになります。また体重が100kgなら、マルトデキストリンは100g、水は2000mlになります。

一方、マルトデキストリンの量は体重で固定化されず、運動の内容や時間によって大きく変わります。30分以内など短い時間で運動を終える場合、マルトデキストリンと水の量は半分に減らしても良いでしょう。また運動を行う時間が2時間やそれ以上に及ぶ場合、マルトデキストリンと水の量を1.5倍程度まで増やすと良いと思われます。

そしていずれの場合も、運動前~運動中に大量の糖を摂取すると、運動中に血糖値が乱高下し、パフォーマンスが低下してしまう事があります。

水の量が多くなる場合、運動前から少しずつ口にするようにし、運動中もセット間のインターバルなどを利用し、とにかく少しずつ口に含む癖をつけましょう。特に運動後半で大量に余っているという事がないよう、飲み方を上手く調節する事が大切です。また水の量が少ない場合も、少ないからと言って一気に飲まないように注意しましょう。


運動前におけるその他の栄養摂取

まずオススメなのが、水溶性ビタミンであるビタミンB群とビタミンCです。ビタミンB群は筋肉の合成やエネルギーシステムを補助してくれます。またビタミンCは酸化を抑えたり、コラーゲンの合成に関与し、筋肉の必要以上の分解を抑えてくれます。

ビタミンB群に関してはB-50がオススメです。ビタミンCに関しては水溶性のビタミンCを1~2gが目安です。このように水溶性ビタミンに関しては「マルチビタミン」を利用するよりも、それぞれのビタミンを別々に摂取した方が十分量を補給できます。その意味でも、前述のクレアチンの所で「マルチミネラル」を紹介しています。

また脂溶性ビタミンであるビタミンDと脂肪の摂取もオススメです。ビタミンDはカルシウムの補助、筋肉の合成の補助、後述するHMBとの組合せ、そして脂肪は単純にエネルギーになる事と、脂溶性ビタミンの吸収補助のためです。

ビタミンDに関しては前述のマルチミネラルに入っているので、そちらで問題ありません。一方、脂肪に関しては、α-リノレン酸を豊富に含むアマニ油またはエゴマ油を2g程度、あるいはDHA・EPAのサプリメント、あるいはMCTオイル10gを利用すると良いでしょう。

これらも運動前に摂取しておくと良いかも知れません。ただし運動前に朝食や夕食を十分に取る事ができる場合、これらは必ずしも必要ではありません。


運動前~運動中におけるBCAAの摂取方法

糖を摂取する事で血糖値が上がるとインスリンが分泌されます。これによって糖は筋肉の細胞に効率良く取り込まれ、運動中のエネルギーを供給します。一方、インスリンはアミノ酸の代謝を促す機能もあるため、糖と一緒に各種アミノ酸を摂取する事が重要になります。

そこで、運動前~運動中に利用すべきなのが「BCAA」です。BCAAはバリン・ロイシン・イソロイシンという3つの必須アミノ酸の事で、筋肉の合成や分解に深く関与しています。実は運動中からも筋肉の合成と分解は起こっているのですが、筋肉に大きなストレスがかかると、分解が必要以上に起こってしまう事があります。BCAAはそれを抑えてくれます。

そんなBCAAの摂取量の目安ですが、だいたい5~10gぐらいで十分と思われます。これを前述したマルトデキストリンと一緒に水に溶かし、運動を行う15~30分前及びそこから運動中の間、少しずつ飲むようにすると良いでしょう。特にBCAAは吸収は速いのですが、持続力がないため、そのように「30分前」から摂取すると、ちょうど運動中に血中濃度が高まります。

ただし慣れていない人の場合、BCAAを大量に摂取すると下痢をする事があります。いきなり10gを利用するのではなく、最初は少ない量で様子を見ると良いでしょう。


BCAA?EAA?運動中はどちらが良い?

運動前~運動中においては、BCAAではなく「EAA」を利用する事もできます。

EAAとはBCAAを含む9種類の必須アミノ酸の事であり、十分な量のEAAがあれば、筋肉の合成と分解に深く関与している「BCAA」も、そのEAAの中に十分量存在するため、代わりに利用できるようになります。

こちらのEAAをBCAAの代わりに利用する場合、15~20g程度の量が必要になります。その分、水に溶けにくくなるのと、前述のように濃度が高くなってしまうので、水の量を更に少し増やすと良いと思われます。

特に筋肉はBCAAだけでは合成できないため、その意味ではEAAを利用する価値は大いにあると思います。しかしEAAはBCAAよりも高価です。また大抵のEAAは美味しくないです(ここではその中でもマシなものを紹介)。継続利用を考えると、現状ではやはりBCAAの方がオススメです。


運動前~運動中におけるHMBの摂取方法

ちょっと話が前後してしまって読みづらいと思いますが、ここでHMBの紹介です。

HMBは前述したBCAAの内の「ロイシン」の代謝物です。BCAAの中では特にこのロイシンが重要で、運動強度が高い場合、ロイシンが足りなくなる事があります。HMBはそれを抑えてくれます。また脂肪を落とす場合、それに伴って筋肉が落ち、基礎代謝も落ちやすくなりますが、HMBはそれを緩やかにしてくれます。

HMBを利用する場合、運動を行う30分前に1回摂取しておきましょう。カプセル状であれば、そのまま飲むだけなので楽です。1回の量は1~2gと少量で十分と思われます。粉末状ならカーボドリンクに混ぜる際には便利ですが、美味しくないので無理をする必要はありません。

ただ、HMBは吸収は速いものの、持続力がありません。そのためそのように運動を行う30分前に摂取しても、運動の時間が長くなると運動中に不足する可能性があります。よって運動を行う直前にも別途1~2g、そして運動の直後にも別途1~2gを摂取すると良いでしょう。その他では、起床直後、寝る前、食間にも摂取が可能です。HMBもクレアチンと同じように、そうして毎日少しずつ摂取するのがポイントになります。

ちなみにHMBは「ダイエット効果がある」なんて宣伝される事があり、よく見ると他の成分で内容量を誤魔化していたり、そもそも具体的な内容量が分からない商品も多いです。日本製だとオススメできる商品はあまりない印象ですね・・・決して騙されぬよう。


運動直後におけるグルタミンの摂取方法

グルタミンはアミノ酸の一種で、筋肉に多く存在し、筋肉に大きなストレスがかかった時、大量に消費されます。そのままグルタミンがない状態が続くと、筋肉で必要以上の分解が起こると言われています。

またグルタミンは小腸のエネルギーにもなります。運動後は大量の飲食はできませんが、その後の昼食や夕食を考えると、運動直後には吸収の良いグルタミンを摂取すると良いと思われます。

このグルタミンの摂取量の目安ですが、5~10g程度が良いと思われます。ただし大量に摂取すると、腸内でアンモニアが増えてしまうと言われています。せいぜいその程度の量で十分でしょう。それ故に運動前でのグルタミンの摂取も避けています。

ちなみに睡眠中にエネルギー不足が起こると、筋肉での必要以上の分解が起きたり、腸の調子を崩したり、免疫が低下する事があります。必ずしも必要という訳ではありませんが、運動強度が高くなる場合、起床直後と寝る前にも、グルタミンを1回3~5gずつ摂取しておくと良いかも知れません。


運動直後におけるその他の栄養摂取

運動直後においてはグルタミン以外に、アルギニンも3~5g摂取する事をオススメします。またアルギニンを摂取するという事で、クエン酸も1.5~2.5g、ついでにクレアチンも3~5g、各種ミネラルも1~2g、HMBを1~2g摂取すると良いと思われます。

一方、糖に関しては運動中のカーボドリンク、及びその後のプロテインと一緒に飲む糖があるので、必ずしも必要ではありません。またプロテインを飲んだ後、昼食や夕食を行う事ができる場合も、必ずしも必要ではなくなります。この「運動直後」での栄養摂取のタイミングは、あくまで時間稼ぎなので、それで良いのです。

特に運動後と言えば、やはりプロテインのイメージが強いのですが、プロテインは吸収が速いとは言え、吸収が始まるまでに1時間~1時間半ぐらいかかります。

また運動中は筋肉に血流が集中しており、そこで大量の飲食をすると胃腸へ負担となる事があります。それを抑えるためにも、運動中に吸収の良いマルトデキストリンやBCAAを摂取していたり、運動直後にグルタミンを摂取しています。それぞれの特徴を最大限に利用するよう心がけましょう。


運動前・中・後における栄養摂取の方法まとめ

最後に栄養摂取の方法をまとめてみると、

運動を行う3時間前まで:朝食または昼食を取っておく。

運動を行う1時間~1時間半前:アルギニン3~5g、クエン酸1.5~2.5g、クレアチン3~5g、各種ミネラル1~2g、(プロテイン20g)、(ビタミンB群とビタミンC)、(ビタミンDと脂肪酸)、水を数100ml。糖はあってもなくても良いが摂取する場合は少量。

運動を行う30分前にHMBを1~2g。

運動を行う30分前~運動中まで:マルトデキストリンを体重1kg当たり0.5~1g(その時々、体格にもよる)、BCAA5~10gまたはEAA15~20g、HMB1~2g、水を~2000ml前後。これをいわゆる「カーボドリンク」として運動中に利用する。

運動直後:アルギニン3~5g、クエン酸1.5~2.5g、クレアチン3~5g、各種ミネラル1~2g、グルタミン5~10g、HMB1~2g、水を数100ml。糖はあってもなくても良いが摂取する場合は少量。

運動30分後:マルトデキストリン20~40g、プロテイン20~40g、水を数100ml。尚、運動後1時間程度で昼食や夕食を取る事ができる場合、このタイミングでの栄養摂取は必ずしも必要ではない。

運動後1~2時間程度:昼食または夕食を取る。

このような感じになります。もちろんこれは私が個人的に考えた方法であり、あくまで一例です。人によって考え方は異なると思うので、自分に合った方法、自分の気に入った方法に各自改良して下さい。

尚、この記事ではサプリメントの摂取方法を中心に説明しており、各栄養素の役割などについては省略しています。それについては別途記事にします。



以上です。お役に立てれば幸いです。

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