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筋トレのコツ34:リン酸とセロトニンによる疲労感

この記事では、疲労に関わる「リン酸」や「セロトニン」ついて簡単にまとめています。その特徴を理解する事で、トレーニング効率を上げていきましょう。

尚、この記事は以前書いた記事を分割させたものです。


疲労を残さないような「体の動かし方」

筋肉内に蓄えられた「グリコーゲン」を利用する全力での運動は、僅か30秒程度しか持ちません(解糖系)。

このグリコーゲンは、完全に近い形で消費しきった場合、回復までに2~3日かかると言われています。その間、筋肉が動かしづらく、体が重く感じ、強い疲労感に襲われる事になります。

一方、それよりも更に短時間の全力運動、特に7~8秒程度の全力運動では、グリコーゲンが利用されるより前に、まず「クレアチンリン酸」がエネルギーとして利用されます。

この時に消費されるクレアチンリン酸は、速くて数分、遅くても数時間程度で回復すると言われています。もちろんそのクレアチンリン酸の元になるエネルギーは必要で、それが切れればスムーズに合成できなくなる事はありますが、そのように回復は非常に速いです。

ここからまず言える事は「全力運動は7秒程度しか行わない」ようにすれば、その日の疲労感を軽減したり、あるいは次の日になるべく疲労を残さないようにする事ができます。1年を通して試合があるようなスポーツの場合、これが「疲労を残さないための術」の一つになります。


「リン酸」による疲労感

クレアチンリン酸やグリコーゲンを代謝する過程では、「ATP(アデノシン三リン酸)」が作られます。またそのATPに結合している「リン酸」を受け渡しする事で、エネルギーを運搬し、それによって細胞を動かしています。

一方、そのリン酸、実はミネラルの一種である「カルシウム」と結合しやすい性質を持っています。

「カルシウム」と言えば「骨の主成分」というイメージが強いのですが、実は神経伝達にも深く関与しており、筋肉の収縮を制御する役割があると言われています。

つまりそうして神経伝達に使われるべきカルシウムが、リン酸と結合し、次第に筋肉の収縮がスムーズにできなくなっていくのです。「疲労」と言えば「乳酸」のイメージが強いのですが、運動後の疲労感には、実はこのリン酸が大きく関係していると言われています。


ミネラルの補給が疲労回復に繋がる

筋肉の収縮にはミネラルが大きく関係しています。

簡単に説明すると、

・ナトリウム濃度が高まる
→カルシウムが筋肉に取り込まれる
→筋肉が収縮する

・カリウムがナトリウムを追い出す
→マグネシウムがカルシウムを追い出す
→筋肉が弛緩する

という流れです。

疲労回復と言えば「糖の補給」が重要になりますが、このように「ミネラルの補給」も、実は疲労回復に繋がる可能性があります。

また前述のようにリン酸はカルシウムと結合します。そのリン酸を滞らせないために「血流を促す事」も、疲労回復に繋がる可能性があります。

すなわち休養時は全く体を動かさないのではなく、ある程度体を動かした方が、筋肉の疲労感を和らげる事ができるのです。


セロトニンによる運動後の疲労感

脳内では運動中や運動後に「セロトニン」の分泌量が増えます。

「セロトニン」と聞くと、一般的にも良いイメージがあり、適度な分泌であれば、心身を活性化・安定化させ、集中力を高めてくれるため、運動時のパフォーマンスを向上できます。

しかし適度であれば良いのですが、大量に分泌されると、神経伝達が活発になり過ぎて、それが逆に「精神的な疲労感」に繋がると言われています。つまり「体は元気なのに、何故か(脳が)疲れている」という状態になる訳です。疲労回復を行う際には、これも改善しなければなりません。

そこで「BCAA(必須アミノ酸であるバリン・ロイシン・イソロイシンの事)」の登場です。

特にセロトニンは必須アミノ酸の一種である「トリプトファン」から作られていますが、実はこのトリプトファンが脳内に入る際、BCAAやフェニルアラニンなど他の必須アミノ酸と競合すると言われています。

つまり運動前~運動中にBCAAを摂取したり、あるいは運動後にBCAAを含むアミノ酸を摂取する事で、脳内へのトリプトファンの供給量を抑え、疲労感を軽減できる可能性がある訳です。

特にBCAAは「集中力を高める作用がある」などと言われる事がありますが、それにはこの事が関係しています。



以上です。何かのお役に立てれば幸いです。

「サポート」とはチップのようなものみたいです。頂いたチップは食品やサプリメントなどの検証に活用させていただき、後日記事にしたいと思います。