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2023年8月の記事一覧

詩|afternoon tea

詩|afternoon tea

あしたもたべたい
いつでもたべたい
うんとたべたい
えがおでたべたい
おなかいっぱいたべたいな

カロリーなんか
きにしないで
クリームたっぷりぬっちゃって
けっとうちも
このさいむしして

さわやかなかぜにふかれながら
しあわせなきぶんで
すてきなじかんをすごしたい

せかいじゅうが、あまいものでいっぱいになっちゃったら?!

そんなせかいにいってみたい!!

たいじゅうなんて
ちっともふえなく

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詩|花弁にファスナー

詩|花弁にファスナー

お水を
あげても、
咲かない花が
あって。もしかし
たら満月の夜に咲く
のかなと楽しみにしてた
のだけど。咲いてちょうだい
よと、頭を撫でたら、ファスナー
がついてたの。白いお花に白いファ
スナー。私は恐る恐るファスナーを開け
たわ。ゆっくりと、とてもゆっくりと。白
い花は唇をあけるように一枚ずつ花弁を広げ
少しずつ匂いを放ち、あたりは甘い匂いに包
まれた。飲み込まれてしまいそうなその匂い
に、私

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詩|階段、おりるか、のぼるか

詩|階段、おりるか、のぼるか

のぼり続け
て苦しくな
って一気に
駆け下りた。のぼる時
よりも足取りは軽いが
焦れば焦るほど、もつ
れそうになる。焦るな焦るな慌て
るな。誰も追ってきてやしない。
勝手にのぼってきただけで、誰か
に要求されたわけじゃない。自分でのぼると
決めただけだ。降りるのに理由は必要ない。
のぼるも降りるも、自分の好きにすればいい

くだらない。格好悪いぞ、情けない。諦める
にはまだ早い。ここまでのぼってこ

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詩|こぼれて、おちる。

詩|こぼれて、おちる。

春が淡い桜色のカーディガンを羽織る頃、
そわそわとついたため息が、私の鼻をくすぐった。

むずむずした私を見て「大丈夫?」とあなたが笑う。
大切にしまっていた四文字は、くしゃみと一緒に、

こぼれて、おちる。

ひらひらと落ちた四文字は、桜色の絨毯に埋もれてしまった。

夏が白いシャツから肌を覗かせる頃、
太陽からの視線に、私は思わず目を細めた。

汗を拭うあなたの笑顔の眩しさに、私の体温は上昇す

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詩|魔女は、ファスナーを抱え空を飛ぶ。

詩|魔女は、ファスナーを抱え空を飛ぶ。

ある日、魔
法の箒を手
にいれて、
私は魔女に
なった。す
べての仕事
を放棄して
夜な夜な空
を飛んだ。
ある晩、満
月にファス
ナーをつけ
て私は満月
を二つに割
ったんだ。
ひとつは、煎
餅にして、お師匠
様に渡そう。もうひと
つには、もくもくの雲のク
リームをのせて、キラキラのア
ザランみたいな星をちらして私がぱ
くりと食べちゃおう。その晩はまっくら
闇になっちゃうけど、それも魔女のお仕事

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詩|Door

詩|Door

開け放て
いつもの日常には
うんざりだ

えも言われぬ美しき
思い出は
かつての恋人へ

キャラメルの包み紙に
くるまれて
気だるげに
コーヒーを飲む日々には
サヨナラしよう

飼育された
ステレオタイプの
世界観は
そろそろ
断ち切ろう

チカラいっぱい
強く握った
手のひらに汗を感じ
ドアノブをひねる

何者からも
逃げられぬ
抜け道はこの先にはない
猫背では

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詩|はじめて

詩|はじめて






が口の
中で溶けて
はじめて口の中
があたたかかった
ことを知った。雨が
私の首筋に落ちては
じめて、晴れてたこ
とを知った。喉を
水が滑り落ち
てはじめ












こと
を知った
君がいなく
なってはじめて
君がいつもそばにい
てくれたことを知った
夜になって眠れなくな
ってはじめて一人で
眠るのが寂しい
って知った









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詩|asphalt jungle

詩|asphalt jungle

アスファルトジャングルを
生き抜くには
飢えていなければならない

エアガンを小脇に抱え
応戦する準備は万端で
カーステレオは最大音量に

気が済むまで
口喧嘩をし
下剋上を待つ
腰巾着でいるのだ

サイコパスでいるのも一つの手で
知らず知らずに
荒んでいく自分を
世間に溶け込ませていくしかない

そんなことをしてまで
立ち続けることに意味があるのか

血眼になって
爪を割ってまで
てっぺんを目指

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詩|涙にファスナー

詩|涙にファスナー

なんて
綺麗に泣く
人なんだろう。
涙はポロリポロリと
机の上に溢れて落ちる
落ちた涙は形を変えず、綺
麗な雫の形を成している。僕
はそっと、雫を摘んだ。涙の雫
はぷるんと揺れて、きらりと引手
が輝いた。僕は引手をジジジと引
きファスナーを下ろす。ファスナ
ーを下ろした涙は、彼女の悲し
みを空気に変え、僕はそ
れに感染し、ただ
泣くだけ
#ファスナーをつけてみた

詩|まほうのファスナー

詩|まほうのファスナー

まほうみたい
にファスナー
をつけれたら
いいのにな。
あれやこれや
につけてみた
い。ど んより
重たい 灰色の
くもに 、ファ
スナー をつけ
て、シ ャーっ
と開け たら、
眩いほ どの光
が差し 込みま
すよう に。喫
煙所の おじさ
んたち の煙に
ファス ナーを
つけて

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詩|水たまりにファスナー

詩|水たまりにファスナー

雨が止んで水
たまりができ
ている。水た
まりにファス
ナーが浮かん
でいた。私は
どうしてもそ
れを開けたく
なった。しゃ
がみこみファ
スナーを開け
覗き込む。そ
の奥には階段
が続いている
吸い込 まれる
ように 水たま
りに飛 び込ん
だ。幅 の狭い
階段を 駆ける
ように 降りた
真っ暗 な水た
まりの 底には
キラキ

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詩|夏のはじまり、線香花火。

詩|夏のはじまり、線香花火。

鼻をくす
ぐる火薬
の匂いが
次第に薄
くなって
いく。火
をつけは
じめた時
の高揚感
も、次第
に鎮火し
て、もう
花火も終
わりを迎
える。ま
だ夏のは
じまりな
のに、胸
がぎゅっ
っとなる
線香花火
を一緒に
しようと
一本ずつ
手に持ち
どちらが
長持ちさ
せられる
かと勝負
を持ちか
けた。こ
の間に想
いを伝え
るんだ。
ご め ん と 申
し わ  け

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